大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和6年度(2024年度)本試験
問58 (倫理(第4問) 問3)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和6年度(2024年度)本試験 問58(倫理(第4問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

高校生GとHが交わした次の会話を読み、後の問いに答えよ。なお、会話と問いのGとHは、各々全て同じ人物である。

G:語学を勉強しておきなさいとか、新聞を読む習慣をつけなさいとか、よく言われるよね。私の親はそういう説教をしたあと、「後悔しないように」って付け加えるんだ。思いやりで言っているのは分かっているけど、後悔することに対してやたら否定的な感じがして、少し引っ掛かるんだよね。
H:そう? a 後悔するのは苦しいことだから、避けられるものなら避けた方がいいと考えるのは自然じゃないかな。後悔しないで済むように賢く行動しなさいっていうb 家族や先生の注意がプレッシャーになるのも分かるけど。
G:後悔しないようにする慎重さが大切だってことには賛成なんだよね。実際、私は高校受験のとき、ネットでc 情報を集めて志望校を決めたけど、それも後悔を避けるためだった気もする。でもだからといって、後悔は未熟な人間がするもので、しない方がいいもの、と決めつけるのには違和感があるんだ。
H:違和感かあ。私はあまり感じないかな。後悔って自分の未熟さとか不完全さを感じて辛くなることじゃない? d 後悔の苦しみが人の成長を助けることはあっても、後悔自体をポジティブに捉えるのは難しいかなあ。
G:うーん。でも、自分が深く後悔していることについて、e 周りの人から「後悔しても仕方がないから、次のことを考えなよ」とか「あなたのせいじゃないんだから、もう気にしない方がいいよ」とかと言われてf 歯がゆい思いをすることもあるでしょ? 後悔を否定すると、後悔している人にとって大事な何かを無視することになってしまう気がするんだよね。
H:なるほど。でも、そういう助言をしたくなる気持ちは理解できるけどなあ。特に、その人の将来のためになる後悔じゃないなら、意味がない気もするし。
G:それも分かるけど、本当は後悔には大事なものが隠されていて、「自分ではどうしようもないことを後悔しても意味がない」という考え方をするとそれを取りこぼしてしまうんじゃないかとも思うんだ。

下線部cに関して、次の文章中の下線部ア~ウは、現代の情報技術についての説明である。その正誤の組合せとして正しいものを、後のうちから一つ選べ。

情報化の進展に伴い、 モノの生産が中心だったユビキタス社会を越えて、情報産業中心の脱工業化社会が到来した。この社会では、情報の真偽を批判的に吟味する能力が従来以上に要求される。 ブーアスティンは、メディアが作り出す本当らしい出来事を疑似イベントと呼んだが、彼によれば、イメージを通じて感覚に訴えかけるテレビの登場により、人々は情報に正確さよりも物語性を求めるようになった。その後、 双方向的なコミュニケーションを特色とする、ソーシャル・メディアも発達してきた。今日、人々が本当らしさに踊らされる危険性はさらに増していると言える。
  • ア:正  イ:正  ウ:正
  • ア:正  イ:正  ウ:誤
  • ア:正  イ:誤  ウ:正
  • ア:正  イ:誤  ウ:誤
  • ア:誤  イ:正  ウ:正
  • ア:誤  イ:正  ウ:誤
  • ア:誤  イ:誤  ウ:正
  • ア:誤  イ:誤  ウ:誤

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この過去問の解説 (1件)

01

この問題では、Gの発言に関連する「情報収集」について、現代の情報社会に関する3つの記述(ア〜ウ)の正確性を見極めることが求められています。メディアの発展や情報技術の変化を背景に、情報に対する態度や社会構造の変容を読み取る力が問われています。

では、問題を見てみましょう。

 

選択肢1. ア:正  イ:正  ウ:正

この選択肢は、ユビキタス社会とは「いつでも、どこでも、誰でも、どのような機器でも情報にアクセスできる社会」のことを指します。モノの生産が中心だったのは工業化社会や近代以前の産業社会であり、ユビキタス社会ではむしろ情報ネットワークの発達が中心です。なのでアは誤なのでこの選択肢は誤りです。

選択肢2. ア:正  イ:正  ウ:誤

この選択肢は、ソーシャル・メディアの特徴として「双方向的なコミュニケーション」が挙げられるのは正しく、従来の一方向的なメディアとは異なり、ユーザー同士のやりとりや拡散、反応が活発に行われる仕組みがあるため、情報の影響力が大きくなっています。「本当らしさに踊らされる危険性」という指摘も、現代の情報社会を適切に表現しています。なので、ウの選択肢は正なのでこの選択肢は誤りです。

選択肢3. ア:正  イ:誤  ウ:正

この選択肢は、ブーアスティンは「疑似イベント(pseudo-event)」という概念を提唱し、メディアによって演出された出来事が現実よりも重視される現象を批判しました。テレビなどのイメージ媒体の登場によって、視聴者は事実性よりも感情や物語性を重視する傾向が強くなるという主張は、正確な説明です。なのでイの正誤は正なのでこの選択肢は誤りです。

選択肢4. ア:正  イ:誤  ウ:誤

この選択肢は、ア、イの正誤が誤っているのでこの選択肢は不適切です。

選択肢5. ア:誤  イ:正  ウ:正

この選択肢は、すべての正誤が正しいので正解の解答です。

選択肢6. ア:誤  イ:正  ウ:誤

この選択肢は、ウの正誤が誤っているので不適切です。

選択肢7. ア:誤  イ:誤  ウ:正

この選択肢は、イの正誤が誤っているので不適切です。

選択肢8. ア:誤  イ:誤  ウ:誤

この選択肢は、イ、ウの正誤が誤っているので不適切です。

まとめ

この問題のポイントは、情報化社会における主要な用語(ユビキタス社会、疑似イベント、ソーシャル・メディア)とその正確な定義・文脈を理解しているかどうかです。特に、メディアの影響と情報の取捨選択に関するリテラシーの重要性が問われています。誤りが含まれているのはアの説明のみであることに注意が必要です。

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