大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和6年度(2024年度)本試験
問60 (倫理(第4問) 問5)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和6年度(2024年度)本試験 問60(倫理(第4問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

高校生GとHが交わした次の会話を読み、後の問いに答えよ。なお、会話と問いのGとHは、各々全て同じ人物である。

G:語学を勉強しておきなさいとか、新聞を読む習慣をつけなさいとか、よく言われるよね。私の親はそういう説教をしたあと、「後悔しないように」って付け加えるんだ。思いやりで言っているのは分かっているけど、後悔することに対してやたら否定的な感じがして、少し引っ掛かるんだよね。
H:そう? a 後悔するのは苦しいことだから、避けられるものなら避けた方がいいと考えるのは自然じゃないかな。後悔しないで済むように賢く行動しなさいっていうb 家族や先生の注意がプレッシャーになるのも分かるけど。
G:後悔しないようにする慎重さが大切だってことには賛成なんだよね。実際、私は高校受験のとき、ネットでc 情報を集めて志望校を決めたけど、それも後悔を避けるためだった気もする。でもだからといって、後悔は未熟な人間がするもので、しない方がいいもの、と決めつけるのには違和感があるんだ。
H:違和感かあ。私はあまり感じないかな。後悔って自分の未熟さとか不完全さを感じて辛くなることじゃない? d 後悔の苦しみが人の成長を助けることはあっても、後悔自体をポジティブに捉えるのは難しいかなあ。
G:うーん。でも、自分が深く後悔していることについて、e 周りの人から「後悔しても仕方がないから、次のことを考えなよ」とか「あなたのせいじゃないんだから、もう気にしない方がいいよ」とかと言われてf 歯がゆい思いをすることもあるでしょ? 後悔を否定すると、後悔している人にとって大事な何かを無視することになってしまう気がするんだよね。
H:なるほど。でも、そういう助言をしたくなる気持ちは理解できるけどなあ。特に、その人の将来のためになる後悔じゃないなら、意味がない気もするし。
G:それも分かるけど、本当は後悔には大事なものが隠されていて、「自分ではどうしようもないことを後悔しても意味がない」という考え方をするとそれを取りこぼしてしまうんじゃないかとも思うんだ。

下線部eに関連して、次のア・イは、他者と関わり合うことの影響について考察した人物の説明であるが、それぞれ誰のことか。その組合せとして正しいものを、後のうちから一つ選べ。

ア  青年期の発達課題として「成熟した関係を他者と結ぶ」、「社会的責任を自覚した行動をとる」、「職業選択や結婚生活への準備をする」などを挙げた。
イ  自己の視点と他者の視点の区別がつかない乳幼児期の状態から離れて、様々な視点から物事を捉えられるようになることを、脱中心化と呼んだ。
  • ア:クーリー  イ:ハヴィガースト
  • ア:クーリー  イ:ピアジェ
  • ア:ハヴィガースト  イ:クーリー
  • ア:ハヴィガースト  イ:ピアジェ
  • ア:ピアジェ  イ:クーリー
  • ア:ピアジェ  イ:ハヴィガースト

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この過去問の解説 (1件)

01

この問題は、他者との関わりや、後悔という感情の意味について考えるGとHの対話をもとに、
発達段階での他者理解に関する心理学者の理論を結びつける問題です。

特に、下線部e「後悔している人にとって大事な何かを無視してしまう気がする」という発言には、
他者の感情に寄り添う姿勢や、成長の中での内省の重要性が表れています。

それを踏まえて、アとイの説明が誰の理論に対応するかを判断することが問われています。

では、各選択肢の人物について見ていきましょう。

 

選択肢1. ア:クーリー  イ:ハヴィガースト

アは、ハヴィガーストについての説明なのでこの選択肢は不適切です。

選択肢2. ア:クーリー  イ:ピアジェ

クーリーは「鏡に映った自我」という考え方を提唱した社会学者です。
人は他者にどう見られているかを想像し、そのイメージを通して自分自身の意識を形成すると述べました。
つまり、他者との関係が自己を作るという点を重視した人物です。なのでアの説明には合致しないのでこの選択肢は不適切です。

選択肢3. ア:ハヴィガースト  イ:クーリー

イの説明はピアジェについての説明なので不適切です。

選択肢4. ア:ハヴィガースト  イ:ピアジェ

ハヴィガーストは、発達課題を提唱しており、アの説明に合致しており、また、ピアジェは、脱中心化を提唱しており、イの説明に合致しているのでこの選択肢が正しいです。

選択肢5. ア:ピアジェ  イ:クーリー

ア、イの人物が合致しないのでこの選択肢は不適切です。

選択肢6. ア:ピアジェ  イ:ハヴィガースト

ア、イの人物が合致しないのでこの選択肢は不適切です。

まとめ

この問題のポイントは、
青年期の社会的発達課題を述べたハヴィガーストと、視点の発達を理論化したピアジェを正確に識別できるかどうかです。

アはハヴィガースト、イはピアジェに対応しており、
正しい組合せは「ア:ハヴィガースト イ:ピアジェ」です。

このように、発言の背景にある心理学的理論を理解することで、
会話文の奥にあるテーマをより深く捉えることができます。

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