大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和6年度(2024年度)本試験
問75 (政治・経済(第2問) 問3)
問題文
生徒Xは、国家の運営を支える公務員が結成する団体について調べてみた。そして、Xは、日本における公務員の労働基本権に関する次の資料をみながら、生徒Yと議論している(なお、資料には表記を改めた箇所や省略した箇所がある)。資料中の空欄アには後の語句aかbのいずれかが当てはまる。また、後の会話文中の空欄イには後の語句cかd、空欄ウには後の記述eかfのいずれかが当てはまる。空欄ア〜ウに当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後のうちから一つ選べ。
「公務員の従事する職務には公共性がある一方、法律によりその主要な勤務条件が定められ、身分が保障されているほか、適切な代償措置が講じられているのであるから、…(略)…公務員の( ア )およびそのあおり行為等を禁止するのは、勤労者をも含めた国民全体の共同利益の見地からするやむをえない制約というべきであって、憲法28条に違反するものではない」。
(出所)最高裁判所刑事判例集27巻4号
X:この資料は、全農林警職法事件の最高裁判所の判決だね。判決がいう代償措置とは、たとえば、( イ )が国家公務員の給与などの勤務条件の改善を勧告する制度のことだよね。
Y:そうだね。だけど、勧告された内容を国が実施しない場合には本当に代償措置があるといえるのかな。
X:Yさんの疑問もわかるよ。でも、この判決がいうように、公務員の職務に公共性があることなどの事情を考慮すると、現行法で、( ウ )と思うよ。
Y:そうなのかな。使用者と実質的に対等な地位に立つことを可能にするという労働基本権の趣旨からすれば、たとえば、代償措置が役割を果たしていないといえるときは、判決とは違う結論もとれると思うよ。
アに当てはまる語句
a 不当労働行為
b 争議行為
イに当てはまる語句
c 人事院
d 内閣人事局
ウに当てはまる記述
e 一般職の国家公務員は勤務条件の維持改善を目的とする職員団体をつくることができ、職員団体から申入れを受けた機関は交渉に応ずべき地位にあるものとされるにとどまっているのもやむをえない
f 一般職の国家公務員は勤務条件の維持改善を目的とする職員団体をつくることができないとされる代わりに、国会が勤務条件を法律で定めてその適正さを確保しようとするのもやむをえない
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和6年度(2024年度)本試験 問75(政治・経済(第2問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)
生徒Xは、国家の運営を支える公務員が結成する団体について調べてみた。そして、Xは、日本における公務員の労働基本権に関する次の資料をみながら、生徒Yと議論している(なお、資料には表記を改めた箇所や省略した箇所がある)。資料中の空欄アには後の語句aかbのいずれかが当てはまる。また、後の会話文中の空欄イには後の語句cかd、空欄ウには後の記述eかfのいずれかが当てはまる。空欄ア〜ウに当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後のうちから一つ選べ。
「公務員の従事する職務には公共性がある一方、法律によりその主要な勤務条件が定められ、身分が保障されているほか、適切な代償措置が講じられているのであるから、…(略)…公務員の( ア )およびそのあおり行為等を禁止するのは、勤労者をも含めた国民全体の共同利益の見地からするやむをえない制約というべきであって、憲法28条に違反するものではない」。
(出所)最高裁判所刑事判例集27巻4号
X:この資料は、全農林警職法事件の最高裁判所の判決だね。判決がいう代償措置とは、たとえば、( イ )が国家公務員の給与などの勤務条件の改善を勧告する制度のことだよね。
Y:そうだね。だけど、勧告された内容を国が実施しない場合には本当に代償措置があるといえるのかな。
X:Yさんの疑問もわかるよ。でも、この判決がいうように、公務員の職務に公共性があることなどの事情を考慮すると、現行法で、( ウ )と思うよ。
Y:そうなのかな。使用者と実質的に対等な地位に立つことを可能にするという労働基本権の趣旨からすれば、たとえば、代償措置が役割を果たしていないといえるときは、判決とは違う結論もとれると思うよ。
アに当てはまる語句
a 不当労働行為
b 争議行為
イに当てはまる語句
c 人事院
d 内閣人事局
ウに当てはまる記述
e 一般職の国家公務員は勤務条件の維持改善を目的とする職員団体をつくることができ、職員団体から申入れを受けた機関は交渉に応ずべき地位にあるものとされるにとどまっているのもやむをえない
f 一般職の国家公務員は勤務条件の維持改善を目的とする職員団体をつくることができないとされる代わりに、国会が勤務条件を法律で定めてその適正さを確保しようとするのもやむをえない
- ア ― a イ ― c ウ ― e
- ア ― a イ ― c ウ ― f
- ア ― a イ ― d ウ ― e
- ア ― a イ ― d ウ ― f
- ア ― b イ ― c ウ ― e
- ア ― b イ ― c ウ ― f
- ア ― b イ ― d ウ ― e
- ア ― b イ ― d ウ ― f
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この過去問の解説 (1件)
01
この問題は、国家公務員の労働基本権とその制限、および代償措置の制度について問うものです。
【アについて、正答:b】
「争議行為」とは、労働者が自らの主張を実現するために行う対抗手段で、ストライキやサボタージュなどが含まれます。
一方、「不法労働行為」とは、使用者が労働組合活動を妨害したり、組合活動を理由に不利益に扱う行為のことです。
文中では、「公務員の(ア)およびそのあおり行為等を禁止するのは…」とあり、公務員自身の行動を制限する内容となっているため、
ここには「争議行為」が当てはまります。
なお、公務員の争議行為は禁止されています。
これは、公務員の職務には公共性が高く、業務の停止が国民生活に重大な影響を与えるおそれがあるためです。
【イについて、正答:c】
「人事院」は、国家公務員の給与や勤務条件について勧告を行う独立機関です。
争議行為が禁止されている国家公務員に対しては、代償措置として「人事院勧告制度」が設けられています。
これは、労働基本権の一部が制限されている代わりに、労働条件の改善について中立的立場から勧告を受ける制度です。
「内閣人事局」は、政府全体の人事戦略を担う機関であり、代償措置の実施には関与していません。
したがって、国家公務員の給与などの勤務条件の改善を勧告するのは、「人事院」が正解です。
【ウについて、正答:e】
Yさんが言及している「労働基本権」とは、団結権・団体交渉権・争議権の「労働三権」を指します。
一般職の国家公務員には争議権と団体交渉権に制限がありますが、団結権(職員団体を結成する権利)は認められています。
そのため、「一般職の国家公務員は職員団体をつくることができ、交渉に応ずべき地位にあるとされるにとどまっているのもやむをえない」とする記述が、文脈に最も合致します。
一方で、選択肢の中には「職員団体をつくることができない」とする記述もありますが、これは誤りです。
なお、自衛官や警察官は団結権自体が制限されています。
アが間違いです。
ア、ウが間違いです。
ア、イが間違いです。
ア、イ、ウが間違いです。
正答です。
ウが間違いです。
イが間違いです。
イ、ウが間違いです。
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