大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和6年度(2024年度)追・再試験
問62 (倫理(第4問) 問7)
問題文
倫理の授業で出た次の課題について、高校生GとHが後の会話を交わした。
課題
悪いことが起こるとしても、それが意図されていなければよいのか自分の行いを正当化するために、「そんなつもりはなかった」と言ったことはありませんか。このような表現は、積極的差別是正措置、生命維持治療の差し控えなどの社会的な問題の議論にも出てきます。調べてみましょう。
G:そういえば、部活の勧誘のチラシを多めに作って余らせて、a 言い訳したことがあったな。「部員を増やしたい一心で、b 資源を無駄にするつもりはなかった」って。
H:積極的差別是正措置について調べていても似た表現が出てきて、面白かったよ。例えば、女性を積極的に管理職に登用する会社の制度のことなんだけど。
G:男性の昇進が減るから、男性への逆差別だという批判もあると聞いたよ。
H:うん、だけど、意図されているのはあくまで女性の登用で、男性の昇進を減らすことではないから正当化できる、という意見もあるんだ。仮に男性の昇進を妨げることが悪いことでも、c 差別ではない、と言えるのかもしれない。
G:私は、d 終末期医療の問題の方を調べたよ。患者のe 生命の維持に必要な治療でも、回復に役立つ見込みがなく、非常につらくて、本人が望んでいない場合などには、差し控えることが許される、という考え方があるよね。
H:教科書では、「尊厳死」っていう言葉で出てきたっけ。
G:うん。それも、あくまでつらい治療を避けるためにしていることで、患者の命を短くすることは意図されていない。そんな風に言われるんだって。
H:なるほど。でも、やっぱり、どうだろう。考え方や、f 性格や気質によっても、人の意見が違ってきそうな問題だなあ。たとえg 意図が違っても、結果は同じだよ。男性の昇進が減ったり、生命が短くなったりする事実は変わらないよね。
下線部gに関して、次の資料と後の図は、反政府テロ活動での殺人行為などで服役中の人々(以下、テロリスト)、テロ活動以外で殺人を犯した受刑者(以下、犯罪者)、一般市民に、他人に危害を加える行為が道徳的に許されるかの判断について尋ねた調査の方法と結果である。後の考察は、結果についてまとめたものである。考察のa〜cに入る記述として最も適当なものをそれぞれ(ア・イ)(ウ・エ)(オ・カ)から選んだ場合、それらの組合せとして正しいものを、次の回答選択肢のうちから一つ選べ。
資料
テロリスト66名、犯罪者13名、一般市民66名を対象に、次の四つの場面における行為についての文章を読ませた。文章内で、登場人物が人に対して、(1)危害を加える意図がなく、結果的にも危害を加えなかった場面、(2)危害を加える意図はなかったが、結果的には危害を加えてしまった場面、(3)危害を加える意図はあったが、結果的には危害を加えなかった場面、(4)危害を加える意図があり、結果的にも危害を加えた場面、の4パターンの場面が描かれていた。そして、それぞれの場面での登場人物の行為に対して、それが道徳的に許されるかどうかを、「許されない」が1点、「許される」が7点になるように、1点から7点で評価させた。各行為の道徳的評価の平均得点は図の通りであった。
考察
この資料と図から、危害を加える意図の有無と、行為の結果としての危害の有無が一致しているときは、その行為に対する道徳的評価が全てのグループで同様であった。しかし危害の意図の有無と、行為の結果としての危害の有無が一致していないときには、グループの間で道徳的評価得点に差が見られた。意図せずに危害を加えてしまった行為に対して、一般市民や犯罪者はテロリストよりも、( a )。また危害の意図はあったが、結果的に危害を加えなかった行為に対して、( b )道徳的に許されないと評価していた。これらの結果から、犯罪者や一般市民に比べて、テロリストは、( c )を重視して、行為が許されるかどうかについて判断していたと言える。
aに入る記述
ア 道徳的に許されると評価していた
イ 道徳的に許されないと評価していた
bに入る記述
ウ テロリストは犯罪者や一般市民よりも
エ 犯罪者や一般市民はテロリストよりも
cに入る記述
オ 意図よりも結果
カ 結果よりも意図

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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和6年度(2024年度)追・再試験 問62(倫理(第4問) 問7) (訂正依頼・報告はこちら)
倫理の授業で出た次の課題について、高校生GとHが後の会話を交わした。
課題
悪いことが起こるとしても、それが意図されていなければよいのか自分の行いを正当化するために、「そんなつもりはなかった」と言ったことはありませんか。このような表現は、積極的差別是正措置、生命維持治療の差し控えなどの社会的な問題の議論にも出てきます。調べてみましょう。
G:そういえば、部活の勧誘のチラシを多めに作って余らせて、a 言い訳したことがあったな。「部員を増やしたい一心で、b 資源を無駄にするつもりはなかった」って。
H:積極的差別是正措置について調べていても似た表現が出てきて、面白かったよ。例えば、女性を積極的に管理職に登用する会社の制度のことなんだけど。
G:男性の昇進が減るから、男性への逆差別だという批判もあると聞いたよ。
H:うん、だけど、意図されているのはあくまで女性の登用で、男性の昇進を減らすことではないから正当化できる、という意見もあるんだ。仮に男性の昇進を妨げることが悪いことでも、c 差別ではない、と言えるのかもしれない。
G:私は、d 終末期医療の問題の方を調べたよ。患者のe 生命の維持に必要な治療でも、回復に役立つ見込みがなく、非常につらくて、本人が望んでいない場合などには、差し控えることが許される、という考え方があるよね。
H:教科書では、「尊厳死」っていう言葉で出てきたっけ。
G:うん。それも、あくまでつらい治療を避けるためにしていることで、患者の命を短くすることは意図されていない。そんな風に言われるんだって。
H:なるほど。でも、やっぱり、どうだろう。考え方や、f 性格や気質によっても、人の意見が違ってきそうな問題だなあ。たとえg 意図が違っても、結果は同じだよ。男性の昇進が減ったり、生命が短くなったりする事実は変わらないよね。
下線部gに関して、次の資料と後の図は、反政府テロ活動での殺人行為などで服役中の人々(以下、テロリスト)、テロ活動以外で殺人を犯した受刑者(以下、犯罪者)、一般市民に、他人に危害を加える行為が道徳的に許されるかの判断について尋ねた調査の方法と結果である。後の考察は、結果についてまとめたものである。考察のa〜cに入る記述として最も適当なものをそれぞれ(ア・イ)(ウ・エ)(オ・カ)から選んだ場合、それらの組合せとして正しいものを、次の回答選択肢のうちから一つ選べ。
資料
テロリスト66名、犯罪者13名、一般市民66名を対象に、次の四つの場面における行為についての文章を読ませた。文章内で、登場人物が人に対して、(1)危害を加える意図がなく、結果的にも危害を加えなかった場面、(2)危害を加える意図はなかったが、結果的には危害を加えてしまった場面、(3)危害を加える意図はあったが、結果的には危害を加えなかった場面、(4)危害を加える意図があり、結果的にも危害を加えた場面、の4パターンの場面が描かれていた。そして、それぞれの場面での登場人物の行為に対して、それが道徳的に許されるかどうかを、「許されない」が1点、「許される」が7点になるように、1点から7点で評価させた。各行為の道徳的評価の平均得点は図の通りであった。
考察
この資料と図から、危害を加える意図の有無と、行為の結果としての危害の有無が一致しているときは、その行為に対する道徳的評価が全てのグループで同様であった。しかし危害の意図の有無と、行為の結果としての危害の有無が一致していないときには、グループの間で道徳的評価得点に差が見られた。意図せずに危害を加えてしまった行為に対して、一般市民や犯罪者はテロリストよりも、( a )。また危害の意図はあったが、結果的に危害を加えなかった行為に対して、( b )道徳的に許されないと評価していた。これらの結果から、犯罪者や一般市民に比べて、テロリストは、( c )を重視して、行為が許されるかどうかについて判断していたと言える。
aに入る記述
ア 道徳的に許されると評価していた
イ 道徳的に許されないと評価していた
bに入る記述
ウ テロリストは犯罪者や一般市民よりも
エ 犯罪者や一般市民はテロリストよりも
cに入る記述
オ 意図よりも結果
カ 結果よりも意図

- a ― ア b ― ウ c ― オ
- a ― ア b ― ウ c ― カ
- a ― ア b ― エ c ― オ
- a ― ア b ― エ c ― カ
- a ― イ b ― ウ c ― オ
- a ― イ b ― ウ c ― カ
- a ― イ b ― エ c ― オ
- a ― イ b ― エ c ― カ
正解!素晴らしいです
残念...
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