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看護師の過去問 第103回 午前 問52

問題

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Aさん(57歳、男性)は、肺癌(lung cancer)で放射線治療後、放射線肺炎(radiation pneumonitis)を発症し、1か月半前から副腎皮質ステロイドにより治療中である。2日前から38.0℃の発熱と頭痛が出現し、検査の結果、前頭葉に膿瘍が認められた。現在のAさんの血液検査データは、白血球12,000/μl、空腹時血糖101mg/dl、HbA1c5.9%、CRP4.6mg/dlである。
膿瘍の発症に関与した副腎皮質ステロイドの副作用はどれか。
   1 .
糖尿病(diabetes mellitus)
   2 .
易感染
   3 .
高血圧症(hypertension)
   4 .
創傷治癒遷延
( 看護師国家試験 第103回 午前 問52 )
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この過去問の解説 (3件)

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放射線療法は、局所的な治療法として有効とされています。
放射線肺炎、放射線肺臓炎といい、これは胸部にできた癌に対して行われた放射線治療による肺の障害が原因で起こる肺炎です。放射線治療中から終了後6カ月以内に起こりやすいと言われています。治療はこの設問の通り、副腎皮質ステロイドの投与が行われます。
ステロイドとは、副腎皮質で作られる糖質コルチコイドという副腎皮質ホルモンです。抗炎症作用と免疫抑制の作用が主です。
炎症とは、何らかの障害を受けた組織が回復するために起こる生体反応で、その際にサイトカインやプロスタグランジンといった物質が作られます。これらの物質が作られるため炎症が活性化します。ステロイドはこれらの物質が作られるのをブロックし、炎症を重くする白血球の働きを抑える作用があります。これが抗炎症作用です。
また、免疫に関わるリンパ球の作用を抑え、リンパ球が作り出す抗体の量を減少させる働きがあります。これが免疫抑制です。ステロイドは全ての有核細胞に効果を発現させます。そのため多くの疾患の治療に用いられる薬です。しかし、副作用も多く、特に大容量を投与した際には注意が必要です。
主な副作用としては、まず感染があります。免疫機能を抑制したことによる副作用ですが、時に重篤な感染症となることがあります。さらに日和見感染といって普段健康な人なら感染しない細菌やウイルスに感染してしまうことがあります。
そして、肝臓の糖新生を促進し、血糖値を上げる効果もあるため、ステロイドの副作用としてステロイド糖尿病もあります。普段より血糖値のチェックをし、必要なら血糖値を下げる内服やインスリン注射を行います。ステロイドには骨形成を低下させる働きがあるため骨粗鬆症となりやすくなります。そのため、それを予防する薬を内服します。
さらにクッシング症候群という副腎皮質ステロイドホルモンの分泌が過剰になることで出現する副作用もあります。代表的な症状として満月様顔貌(ムーンフェイス)や野牛肩(肩に脂肪がつくけど手足は細い)などがあります。そして重篤な症状として、血小板の機能が亢進し血栓症が起こりやすくなる、高血圧などもあります。
さらに、ステロイドを投与する上で重要なこととして、途中で自己中断しない、ということがあります。ステロイドを体内に外部から投与され、血中濃度が高くなると、体内の副腎皮質からは分泌されなくなります。自己中断してしまうと、体内で分泌されないために副腎皮質ステロイドホルモンが不足してしまいます。不足すると倦怠感や頭痛、吐き気などが起こります。これをステロイド離脱症候群と言います。
この設問ではこれらの副作用のどれが起こっているかを考える必要があります。
38.0℃の発熱ということから、他検査データなどがわからなくても感染かな?と何となく想像はつくかと思います。しかし、他の部分も考えていきましょう。
前頭葉とは脳の一部です。前頭葉の部分に炎症が広がり膿が溜まった状態で、脳膿瘍と言います。前頭葉や側頭葉に溜まることが多く、前頭葉は副鼻腔炎から波及することが多いと言われています。症状としては発熱、頭痛、吐き気です。特に頭痛が約70~80%の割合で起こると言われています。
白血球は感染した際に上昇し、治癒に向けてホメオスタシスを維持しようとします。CRPとは、C反応性蛋白の略です。C反応性蛋白とは、組織の破壊が起きているときに血中に現れるタンパク質のことを言います。そのため、CRPは炎症の指標として採血で一般的に測定されています。CRPが上昇すればするほど、強い炎症の状態にあるということになります。白血球の基準値は成人で3500~9000/μl、CRPは0.5㎎/dl以下です。それぞれ基準値を上回っています。これらを総合して、答えは2.易感染となります。

1.空腹時血糖の基準値は60~110㎎/dl、HbA1cは6.0%未満です。
  糖尿病と診断されるのは、空腹時血糖は126㎎/dl以上、HbA1cは
  6.5%以上の時のため、Aさんは当てはまりません。
3.高血圧かどうかは、血圧の値が設問にないためわかりません。
  頭痛は血圧が高い場合に出現する症状ですが、この設問の場合は前頭葉に
  できた膿瘍の影響と考えられます。
4.血糖値が高くなる作用の影響で、蛋白質が代謝・分解されます。その結
  果、皮膚組織の修復や創傷の治癒が遅れます。これを創傷治癒遷延と言い
  ます。
  頭部に創傷があったかどうかは不明であるため、解答としては不正解で
  す。

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副腎皮質ステロイドの副作用として、「1糖尿病」「2易感染」「3高血圧」「4創傷治癒遅延(易感染状態によって発現する)」はすべて発生頻度は高いため、覚えておく必要があります。
今回、発熱およびCRP上昇、膿瘍の発現が確認されたため、2易感染 が正解です。ステロイド投与によって免疫力が低下し、易感染状態になっていると考えられます。

以下、他の選択肢が不正解である理由です。↓
1 糖尿病は空腹時血糖126mg/dl以上、HbA1c6.5%以上が該当するため、不正解。
3 高血圧は、設問からは読み取り不明。膿瘍発現にも関係ないため、回答としては不適切です。
4 そもそも脳に創傷があったのか、この設問のみでは不明なので回答として4は不適切ですが、仮に脳に創傷があったとし、創傷治癒遅延が発現しているとしても、その原因は易感染状態によるものなので、2易感染 が回答となります。

-1
1 . 糖尿病
×不正解
糖尿病と診断されるには、①空腹時血糖値126mg/dL以上②HbA1c 6.5%以上が目安になります。
Aさんの血液検査結果では、空腹時血糖101mg/dl、HbA1c5.9%なので、正常範囲内です。よって、不正解です。

ステロイド薬の主成分はグルココルチコイド(糖質コルチコイド)で、インスリン拮抗ホルモンでもあります。末梢組織での糖利用を妨げる働きがあるので、高血糖になりやすいです。そのため、定期的な血糖値の測定が必要になります。

2 . 易感染
〇正解
ステロイドの副作用の中で最も重要な副作用の一つに、細菌、ウイルス、真菌などへの易感染が挙げられます。
前頭葉に膿瘍が見つかったこと、38.0℃の発熱、白血球12,000/μlという情報から、Aさんは何らかの感染を起こしていると考えられます。よって、正解です。

3 . 高血圧症
×不正解
血圧に関するデータがありません。また、膿瘍の発症に関与した副腎皮質ステロイドの副作用との関連もないため、不正解です。

4 . 創傷治癒遷延
×不正解
Aさんは肺癌で放射線治療をした、という情報がありますが、手術や創傷に関しての情報がありません。よって、膿瘍の発症に関与した副腎皮質ステロイドの副作用との関連が不明であるため、不正解です。

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