看護師の過去問
第103回
午前 問58

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問題

看護師国家試験 第103回 午前 問58 (訂正依頼・報告はこちら)

高齢者のうつ病(depression)の説明で正しいのはどれか。
  • 電気けいれん療法は行わない。
  • 認知症との区別はつきやすい。
  • 三環系抗うつ薬を第一選択薬とする。
  • 若年者と比べて身体症状の訴えが多い。

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この過去問の解説 (3件)

01

1 . 電気けいれん療法は行わない。
×不正解
電気けいれん療法は、電気で頭部を刺激することで脳のけいれんを誘発し、様々な精神疾患によって障害を受けた脳の機能を回復させようとする治療法です。
高齢者でも自殺企図など重度のうつ病で電気けいれん療法がおこなわれます。よって、不正解です。

2 . 認知症との区別はつきやすい。
×不正解
うつ病になると、活動が低下します。そのため、何となく元気がなかったり、一日中ぼうっとしているような状態になります。それが認知症の初期症状とも似ているため、うつ病ではなく高齢者=認知症と勘違いしてしまうことがあります。よって、不正解です。

3 . 三環系抗うつ薬を第一選択薬とする。
×不正解
高齢者の抗うつ薬の第一選択は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)です。
三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬では副作用の低血圧、眠気、口の渇き、便秘、物忘れなどが強く出るため、高齢者には使われません。よって、不正解です。

4 . 若年者と比べて身体症状の訴えが多い。
〇正解
若年者だと気分の落ち込みや自己肯定感が低下したりといった感情に対する症状を訴えます。しかし、高齢者では、何となく気分がすぐれない、食欲がない、肩こり、頭痛といった不定愁訴が多くなります。よって、正解です。

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02

老人性うつ病は、老化に伴う脳機能低下、生活変化など環境的要因が原因です。いわゆる若年期・壮年期で発症するうつ病とは異なり、遺伝的・内因的要因は少ないと言われています。なお、加齢によって身体機能が低下していることから、うつ病によって身体的症状も訴えやすくなることも特徴です。また記名力低下など、認知症と類似した症状も出現することから、専門医であっても認知症と老人性うつ病を見分ける診断を行うことは難しいと言われています。
そのため、4が正解で、2は不正解です。

以下、他の選択肢が不正解である理由です。↓
1 電気けいれん療法は、自殺企図があるなど、重度の患者に実施される治療法で、年齢制限はなく、老人性うつ病にも実施されます。
3 「三環系抗うつ薬」はうつ病では古くからある治療薬ですが、便秘・口の渇き・認知機能低下・眠気・めまいなどの副作用が、高齢者では多く発現します。そのため副作用が軽い「四環系抗うつ薬(SSRIなど)」を第一選択とするため、3は不正解です。

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03

高齢者のうつは、統計的には男性よりも女性が、過去にうつ病になったことのある、または配偶者との死別などがリスク因子になっていると言われています。
高齢者のうつ病の特徴として、悲哀の訴えが少なく、気分の落ち込みやうつ状態が目立たない、意欲や集中力の低下、認知機能の低下がみられる、身体的な不調(疲労感や不眠、食欲低下、痛みなど)を訴えることが多い、などがあります。
認知機能の低下がみられることから、認知症と非常に間違えやすいと言われています。認知症とうつ病の違いの目安として、何らかのきっかけがあり発症するうつ病と、そうでない認知症、などがありますが、見分けるのは専門医でも非常に困難です。
基本的に、高齢者のうつ病も、一般的なうつ病とは何も違いません。重症であれば電気けいれん療法も行います。しかし、高齢者では基礎疾患が様々ある場合が多く、それらとの兼ね合いから、治療法が異なってくることもあるでしょう。

3.三環系抗うつ薬は、昔からある薬ですが、高齢者にとっては便秘、口渇、認知機能低下、眠気、めまいなどの副作用が強くなることがあります。よって、高齢者には特に慎重に使うべき薬となっています。

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