看護師の過去問
第103回
午前 問67

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問題

看護師国家試験 第103回 午前 問67 (訂正依頼・報告はこちら)

Aさんは妊娠28週で子宮内胎児死亡のため死児を出産した。翌日、児との面会で、Aさんは「ごめんね」と言い、身動きせずにじっと児を見つめていた。
Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
  • 「つらいですよね」
  • 「早く忘れましょう」
  • 「元気を出してください」
  • 「次の妊娠について考えましょう」

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この過去問の解説 (3件)

01

1 . 「つらいですよね」 〇正解
2 . 「早く忘れましょう」 ×不正解
3 . 「元気を出してください」 ×不正解
4 . 「次の妊娠について考えましょう」×不正解

死産を経験した褥婦には悲しみを受容し、乗り越えていく「悲嘆のプロセス」が大切です。それと同時に子どもは亡くなって生まれたのですが、母親になることを支える必要があります。
そのため、亡くなった児との面会を希望するだけ与えたり、家族そろって過ごす時間を作ったり、生きた証を残す思い出作りを看護師として支援します。
現段階では悲しみに寄り添うことが大切なので、選択肢1が最も適切です。選択肢2、3、4はAさんの気持ちを無視しているので不正解です。

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02

死産を経験した褥婦へは、悲嘆作業への支援を行う必要があります。悲嘆のプロセスは多くの研究者によって段階説が示されていますが、
①ショック期(あまりにもショックなため現実感を喪失する)、
②喪失期(死を現実と受け入れようとするが、まだ十分に受け入れることができず、感情の起伏が激しい状態)、
③閉じこもり期(ようやく死を受け入れられることができる。そのことで自分の人生に価値観や日常生活に意味を見出すことができず無気力な状態となる)、
④再生期間(死を乗り越えて新たな自分として積極的に他人や社会と関われるように活動できる状態)、など概ねこのようなところではないかと思います。
グリーフケアを行う上で重要な点は、
①悲しむことを肯定する(人として自然な感情であることを示す)、
②悲嘆を表現させる、
③儀式を利用する(特に葬儀などは死を受け入れるきっかけになるため、積極的に行うようにしてもらう)、
④専門家や団体に相談する(同じ境遇の人、家族会などで分かち合うと精神的に楽になると言われている)、などが言われています。共通するのは一方的に励ますのではなく、段階に応じてですが相手に寄り添う姿勢が大切と言われています。
Aさんは死児の出産の翌日ということで、①ショック期に当てはまると考えられます。実際に「身動きせずにじっと児を見つめていた」という表現に見られるように、現実を受け入れられていないような様子も見られます。相手に寄り添う姿勢、肯定が見られるのは1.「つらいですよね」です。

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03

胎児死亡の翌日であり、Aさんは児の死亡をうまく受容できていないと考えられます。
人が、死別を受け止めるまでの精神的過程は、「悲嘆のプロセス」として定義されています。死が分かったときの精神的な打撃から始まり、その受け入れ、立ち直り(死別を体験する前よりも成熟し、新たな人生を生きようとする)まで、ある決まった段階を踏んでいくと定義されています。看護師は、この必要な過程を理解し、Aさんがいまどの段階にいるのかを尊重し、対応を行う必要があります。Aさんが感じている「罪悪感」は、受容までに必要な過程のうちの一つです。回答1のように「つらいですよね」と理解を示し、Aさんにとって必要な過程を認めることが適切です。2・3・4のように、気をそらすような声かけでは、Aさんは受け止められないと考えられます。また、悲嘆のプロセスを阻害することで、正しく死別を受容できなくなる可能性があるため、2・3・4は不適切です。

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