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看護師の過去問 第103回 午前 問94

問題

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次の文を読み、問いに答えよ。

Aさん(56歳、女性、主婦)は、胆石症(cholelithiasis)と診断され、腹腔鏡下胆囊摘出術予定で入院した。Aさんは身長152cm、体重70kgである。Aさんは、数年前に脂質異常症(dyslipidemia)を指摘されたが、治療は受けていない。Aさんにその他の特記すべき既往歴はない。

看護師が手術オリエンテーションを行い、術後の入院期間は5日程度であると説明した。これに対してAさんは「1年前に妹が同じ手術を受けたが、食事はしばらく食べられず3週間以上管が抜けなかった。自分にも妹と同じ合併症が起こるかもしれない」と心配そうに話した。
Aさんが心配している、妹に起こった合併症はどれか。
   1 .
肺炎(pneumonia)
   2 .
胆汁瘻
   3 .
皮下気腫
   4 .
深部静脈血栓症(deepveinthrombosis)
( 看護師国家試験 第103回 午前 問94 )
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この過去問の解説 (3件)

2
胆石症とは、胆道系(肝内胆管、総胆管、胆嚢)に形成された結石で、疝痛(せんつう:比較的強い疼痛が一定の時間をおいて周期的に繰り返すもので、腹部の管腔臓器の壁をなす平滑筋の痙攣状の収縮に基づく)発作、胆道感染症などを認めることもあるが、約半数は無症状です。多くはコレステロール胆石です。胆石発作(右季肋部痛、発熱、黄疸)は過食、疲労などが誘因となります。40~50歳代の肥満女性に多いと言われています。
腹腔鏡下手術とは、従来では開腹して行われていた手術を内視鏡(腹腔鏡)の観察下で行うものです。開腹手術に比べ傷口は小さく、術後の痛みを少なくなり、入院期間も短くなりました。全身麻酔下で行われます。デメリットとして、モニターの映像でさらに限られた視野で行うため、難易度は高く、他臓器損傷をきたす可能性があることなどがあります。

1.肺炎は、腹腔鏡下など関係なく、主に全身麻酔下での手術で考えられる合併症です。全身麻酔下で呼吸が抑制されるため、挿管して人工呼吸などを使用します。その結果、気道内分泌物が増え、それをうまく排出できなくなります。
なぜ排出できなくなるのかというと、傷の痛みで咳がうまくできなかったり、ずっと寝たままで咳がしにくかったりといった理由があげられます。その気道内分泌物が排出されずに停滞するため無気肺に、そのまま放っておくと感染して肺炎となります。しかし、だいたいは加湿や早期離床などにより気道内分泌物の排出を促し、感染している場合には抗生剤の投与などを行います。咳ができない理由が疼痛であれば、痛み止めを使用したりもします。
管を入れて治療を行う、食事がとれない、などのことは肺炎だけではありえないでしょう。

2.胆汁廔とは、簡単に言うと胆汁が漏れるということです。胆汁は本来は胆道を経て、十二指腸から消化管へと流れていくのが正常ですが、この途中で破綻して胆管から腹腔内に漏れ出た状態を言います。胆汁が腹腔内へ漏れ出ることで、胆汁性腹膜炎となります。
原因のほとんどは胆嚢管結紮部(胆嚢を摘出した後の胆道の胆嚢側の部分)の破綻です。漏れ出る胆汁の量が多く、感染を合併した場合は、腹部膨満感、腹痛、発熱、嘔気・嘔吐などの症状があります。胆嚢摘出術を行った後、数週間経過しているのに手術した部位の周囲の液貯留がなかなか消失せず、むしろ増えてきているといった場合、胆汁廔を起こしている可能性があります。
量が多く自然に塞がらない場合には外科的手術も必要ですが、腹膜炎を起こしていても限局的である場合、ドレーンチューブを留置して、ドレナージ(排液)と抗生剤投与で様子を見ることもあります。Aさんの妹は管が抜けなかった、などの情報からこの合併症が起こったのだと思われます。
3.術後に考えられる皮下気腫として、皮膚から直接空気が入ったことが考えられます。術中の操作によって皮膚から空気が入ったためです。
腹腔鏡下手術の場合、視野を確保するために腹腔内に炭酸ガスを送りますが、その炭酸ガスが皮下に溶け込んで皮下気腫を起こすことがあります。炭酸ガスは血液によく吸収されるため、外科手術後歩行をすることで1~2日で症状は解消します。
4.深部静脈血栓症とは、エコノミー症候群とも言われます。術後など関係なく、長期臥床など、下肢を動かさないことで、静脈を流れる血液がうっ滞、さらに術中・術後に血圧が低くなるとさらにうっ血が進む、そして全身麻酔のため全身の力が入らず、手術台に足が押し付けられることで血管内膜が損傷します。そして、手術そのものの侵襲によって血液凝固能が亢進します。このようなことが理由で深部静脈血栓症が起こります。
深部静脈にできた血栓が、術後の離床に伴い下肢を動かすことで、血液のうっ滞が一気に改善され、そのまま心臓へ戻り、肺へ流れてしまうことがあります。血栓が肺まで到達すると肺塞栓症になり、命を落とすことがあります。予防するために弾性ストッキングなどを着用します。深部静脈血栓が作られた場合、心臓に戻らないようにフィルターを挿入することもあります。離床直後の呼吸状態の変化に注意が必要です。

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正解は、2です。

胆汁瘻は、胆石症による腹腔鏡下胆囊摘出術の合併症の1つです。胆汁瘻は、胆嚢を切除した時に,胆管を切り、胆汁が腹腔内へ流れ出ることです。チューブを挿入して、胆汁を外で出す治療で、禁食となります。

1 肺炎は、発熱や痰の量の増加や呼吸苦などの症状がみられます。設問の内容から、該当しません。

3 皮下気腫は、皮下組織内に空気がたまった状態です。手術中の操作によって、引き起こすことがあります。症状は、患部を触ったときに、ザクザクと雪を握るような感触です。設問の内容から、該当しません。

4 深部静脈血栓症は、深部静脈に血液のかたまりが形成される病気です。肺塞栓症の場合、胸の痛みや息切れなどがみられます。脚の太い静脈の血流が遮断されると、ふくらはぎがむくんで、痛み、圧痛、熱感などの症状がみられます。設問の内容から、該当しません。

0
正解は 2 です。


1:肺炎は術後に同一体位が続くために起こりやすい合併症として有名ですが、今回は「腹腔鏡下」にて行う手術のため、傷口は数センチ程度のものがいくつか残るだけです。
そのため、通常の手術よりも歩行開始は早く、術後も長期間臥床状態状態が続くことはあまりありません。
疼痛による呼吸抑制や運動能力の低下も少ないため、まず呼吸器系の合併症の可能性は低いと考えてよいでしょう。


2:胆汁瘻は胆嚢を切除したり、胆管の術後に起こりやすい合併症です。
肝臓で作られた胆汁は術後も普段通り胆嚢に貯蔵されるつもりで胆管を通ってきますが、胆嚢は摘出されており、存在しません。
その上、胆管には本来存在しないはずの手術跡としての傷口がありますので、そこから胆汁が漏れ出てくる危険性が高くなるのです。
もちろん対策としてクリップや糸にて傷口は塞がれますが、それが外れたり傷口が炎症を起こさないとも限らず、選択肢の中では一番危険性が高い合併症と言えるでしょう。


3:皮下気腫は創傷や外傷により皮下に空気が入り込む状態です。
ただし、これは肺がある胸部や上半身の創傷で発生するため、腹部から術具を挿入する腹腔鏡での手術で引き起こされる可能性は低いです。


4:Aさんは確かに脂質異常症を指摘されたことがあると問題文にもあるため、通常の場合よりも血栓が発生する危険性は高いですが、その場合は肝臓の静脈よりも上部の血管に詰まる可能性の方が高いため、四肢(特に大腿部)で起こりやすい深部静脈血栓症の危険性は選択肢2の胆汁瘻よりは低いと考えられます。

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