正解は3と4です。
肝硬変とは、肝臓全体が線維化と呼ばれる変化をきたし、肝臓全体が硬くなる状態のことを言います。原因としては、ウイルス性肝炎や薬剤性肝炎、慢性アルコール中毒などがあげられます。症状は、初期には現れにくく、肝機能障害や門脈圧亢進症状がみられます。
肝機能障害の症状として、腹水、浮腫(低アルブミン血症)、出血傾向(凝固能の低下)、黄疸(高ビリルビン血症)、くも状血管腫、手掌紅斑、女性化乳房(エストロゲン代謝異常)などがあります。
門脈圧亢進症状として、食道静脈瘤、脾腫、腹壁皮下静脈怒張(メデューサの頭)などがあります。
まずは、肝臓の解剖生理をきちんと把握しておく必要があります。
肝臓の重要な働きは、体内の様々な物質の代謝です。生物の三大栄養素である炭水化物、蛋白質、脂質をはじめ、ビリルビンやビタミン、ホルモンなども肝臓で代謝されます。
1:門脈圧亢進により、脾臓に血液がうっ滞して脾腫が起こり、脾機能が亢進されることにより、汎血球減少が起こります。よって、血小板は減少します。
2:アミノ酸代謝によって生じたアンモニアは、肝臓の尿素回路(オルニチン回路)で尿素に変換され、尿中に排泄されます。肝臓での代謝能の低下により、アンモニアを尿酸に代謝することができず、尿酸値は低下します。
3:アルブミンは蛋白質代謝によりアミノ酸から作られますが、代謝能の低下によりアルブミンが産生されず、血清アルブミン値は低下します。低アルブミン血症により、浮腫が起こり、やがては胸水や腹水を生じることもあります。
4:アンモニアは肝臓の解毒作用により尿素へ変換され、尿中に排泄されますが、肝機能低下によりアンモニアを尿素に代謝できなくなるため、血中アンモニア値は上昇します。高アンモニア血症は肝性脳症の原因になります。
5:凝固因子は肝臓で合成されますが、肝機能障害によって凝固因子の合成能も低下し、プロトロンビン時間は延長します。