看護師の過去問
第103回
午後 問216
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問題
看護師国家試験 第103回 午後 問216 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文を読み、問いに答えよ。
Aさん(43歳、男性、会社員)は、1か月前に右頸部の腫瘤に気付き、自宅近くの診療所を受診し、大学病院を紹介された。検査の結果、Aさんは、非Hodgkin〈ホジキン〉(non-Hodgkin lymphoma)リンパ腫と診断され、縦隔リンパ節腫大による上大静脈の圧迫も確認され、化学療法導入のため入院した。Aさんは「悪性リンパ腫と言われたときにはショックだったけど、化学療法は有効であると聞いて、頑張ろうと思っている」と話す。入院時、Aさんは体温37.5℃、呼吸数18/分、脈拍84/分、血圧124/64mmHgであった。血液検査データは、赤血球302万/μl、Hb10.3g/dl、白血球6,400/μl、総蛋白7.6g/dlであった。
治療は正午から開始され、午後5時ころから胸やけと悪心が出現した。その後、Aさんは制吐薬を追加投与され、症状は軽減した。それ以降、Aさんに悪心・嘔吐はないが、翌日も食欲がなく、食事は1/4程度の摂取であった。治療後3日には症状が改善し、食事は全量摂取できた。Aさんは「楽になったけど、やっぱりつらかった。思い出すだけでもちょっと気持ち悪くなる」と話す。
治療後3日までの状況を踏まえて、次回の治療時の対応で最も適切なのはどれか。
Aさん(43歳、男性、会社員)は、1か月前に右頸部の腫瘤に気付き、自宅近くの診療所を受診し、大学病院を紹介された。検査の結果、Aさんは、非Hodgkin〈ホジキン〉(non-Hodgkin lymphoma)リンパ腫と診断され、縦隔リンパ節腫大による上大静脈の圧迫も確認され、化学療法導入のため入院した。Aさんは「悪性リンパ腫と言われたときにはショックだったけど、化学療法は有効であると聞いて、頑張ろうと思っている」と話す。入院時、Aさんは体温37.5℃、呼吸数18/分、脈拍84/分、血圧124/64mmHgであった。血液検査データは、赤血球302万/μl、Hb10.3g/dl、白血球6,400/μl、総蛋白7.6g/dlであった。
治療は正午から開始され、午後5時ころから胸やけと悪心が出現した。その後、Aさんは制吐薬を追加投与され、症状は軽減した。それ以降、Aさんに悪心・嘔吐はないが、翌日も食欲がなく、食事は1/4程度の摂取であった。治療後3日には症状が改善し、食事は全量摂取できた。Aさんは「楽になったけど、やっぱりつらかった。思い出すだけでもちょっと気持ち悪くなる」と話す。
治療後3日までの状況を踏まえて、次回の治療時の対応で最も適切なのはどれか。
- 治療前日の夕食を控えてもらう。
- 治療薬の減量を医師に相談する。
- 1日1,000mlの水分摂取を促す。
- 病院食以外は食べないよう指導する。
- 治療前の制吐薬の追加投与を検討する。
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この過去問の解説 (3件)
01
1・5:吐き気・嘔吐は抗がん剤投与後から出現する急性のものと、投与後2~7日経ってから出現するもの(遅延性)があり、数日間に渡って現れます。また、口内炎が出現すれば、より食事摂取は難しくなるかもしれません。体力低下を予防するためにも、できるだけ食事は摂っていただいた方がよいです。また、抗がん剤投与後のステロイドの内服をしっかり行うためにも、吐き気のコントロールは大切になります。
2:抗がん剤の量は、その人に合わせて調整されているため、減量すれば十分な効果が得られなくなります。
3:シクロスファミドは、体内で分解され、尿に含まれて排泄されます。この尿中の分解物が膀胱内に長期間溜まると、膀胱に炎症をきたすことがあります。(出血性膀胱炎) きちんと排泄させるためにも、普段よりも多めに水分を摂るように促す必要があります。
4:体力低下を予防するためにも、カロリーは摂取した方がよいため、食べたいもの、食べられるものを少量ずつ摂取するように説明しましょう。しかし、骨髄抑制が生じている時は、非加熱のものは避けた方がよいので、医師や看護師に確認するよう伝える必要があります。
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02
1・5:治療開始後から1週間ほどは吐き気や嘔吐、食欲不振などの消化器官症状が現れます。これは食事量を調整したところで治まるものではありません。
むしろ、5日目以降は口内炎も出現してくるため、余計に食事量の減少が考えられます。口内炎が治れば、今度は骨髄抑制による白血球の減少と、どんどん抵抗力が低下する原因が出てくるため、制吐薬の量を調整し、できる限り食事を摂取して、体力低下を予防できるよう働きかける必要があります。
2:治療薬は患者に負担を与えないよう計算した上で、ギリギリの量を投与することとなっているため、薬剤の減量は効果の半減どころか治療が無駄になりますので、このような提案は誤りです。
3:投与される薬剤のうち、シクロホスファミド(商品名:エンドキサンなど)は腫瘍の成長を阻害し死滅させる薬剤ですが、体内で分解され、尿によって排出されます。
この分解後の成分が腎臓や膀胱内に長時間溜まると炎症を引き起こすため、患者さまには排出を促すために、意識して多めの水分摂取をお願いします。
設問の1000mlではなく、2000ml程度は摂ってもらうように声がけした方がよいでしょう。
4:吐き気や食欲不振などの消化器官症状がある時に病院食のみと限定すると、まず食事量は増えないでしょう。
白血球減少による抵抗力の減少は治療後3日目ではまだ出現していないので、患者さま自身が食べたいと思えるものをできるだけ食べてもらい、栄養分を摂取し、体力を蓄えてもらいます。
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03
治療開始してから、消化器症状が出現しています。抗がん剤の副作用だと考えられます。症状を軽減するために、治療前の制吐薬の投与を追加したほうが良いです。
1 治療前日の夕食を控えたことで、症状軽減にはつながりません。
2 治療投与量は、患者さんの身長と体重から計算をして、体表面積から決定します。重篤な副作用の出現がないので、減量する必要性は低いです。
3 シクロスファミドの副作用で、出血性膀胱炎を引き起こす可能性があります。予防のため、水分摂取を促します。1日に、2000mlの水分を摂取したほうが良いです。
4 消化器症状が出現しているので、食べやすい物を摂取したほうが良いです。病院食以外の食べ物も摂取可能です。
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