看護師の過去問
第103回
午後 問220

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問題

看護師国家試験 第103回 午後 問220 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。

Aちゃん(生後1か月、男児)は、2日前から嘔吐があり、昨日は噴水様嘔吐が5回あったため外来を受診し入院した。Aちゃんは体重4,200g、体温36.8℃、呼吸数36/分、心拍数120/分である。眼球結膜に黄染を認めない。上腹部に腫瘤を触知する。Aちゃんの血液検査データは、赤血球540万/μl、Ht45%、白血球10,100/μl、血小板58.6万/μl、アルブミン4.4g/dl、Na140mEq/l、K3.5mEq/l、Cl92mEq/l、動脈血pH7.48であった。

Aちゃんは入院時にも胃液様の嘔吐がみられた。
Aちゃんの現在の状態で考えられるのはどれか。
  • 代謝性アシドーシス
  • 呼吸性アシドーシス
  • 代謝性アルカローシス
  • 呼吸性アルカローシス

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は、3です。

アルカローシス →血液のアルカリ性度が高くなりすぎた状態です。

代謝性アルカローシス →血液中の重炭酸塩の過剰または血液中の酸の減少が原因で発生します。
呼吸性アルカローシス →深く速い呼吸により血液中の二酸化炭素濃度が低下して生じます。

アシドーシス →血液の酸性度が高くなりすぎた状態です。

代謝性アシドーシス →酸の産生過剰による血液中の酸の蓄積または血液中からの重炭酸塩の過剰な喪失が原因で発生します。
呼吸性アシドーシス →肺機能や呼吸速度が低下し、血液中に二酸化炭素が蓄積して生じます。

Aちゃんの場合、胃液様の嘔吐をしている、動脈血pH7.48で体液のpHの正常は7.4±0.05(7.35~7.45)に対してアルカリ性です。
胃液様の嘔吐により、胃酸が体外に排出され、体内がアルカリ性に傾いていると考えられます。よって、代謝性アルカローシスであると言えます。

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02

正解は3です。

生体の血液の酸塩基平衡は一定のpH(7.35~7.45)に保つことで、様々な代謝が行われています。このバランスが崩れると異常をきたし、生命が危うい状態になります。

アシドーシスとは、平衡を酸性側にしようとする状態のことで、血液が酸性になっている状態をアシデミアといいます。
アルカローシスとは、平衡をアルカリ性にしようとする状態のことで、血液がアルカリ性になっている状態をアルカローシスといいます。
血液動脈血のpCO2の異常であれば呼吸性、H2CO3、BEの異常であれば代謝性であると見分けることができます。呼吸性は肺の障害で起こり、代謝性は腎臓あるいは細胞での代謝機能障害で起こります。

Aちゃんは2日前から噴水様嘔吐があり、入院時も胃液様の嘔吐があったとあり、体内の酸性成分が不足になったと考えられます。よって、体内はアルカリ性に傾いていると考えられます。Aちゃんの場合、呼吸状態に異常はなく、体液量(胃液の嘔吐)によるものなので、代謝性と考えられます。

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03

正解は 3 です


アシドーシスとアルカローシスを簡単に分類すると、

アシドーシス:体内が"酸性"に傾いた状態
アルカローシス:体内が"アルカリ性"に傾いた状態
です。

そして呼吸性と代謝性の違いは、呼吸性が主に肺疾患(過換気や換気不全)で起こり、代謝性はそれ以外の消化液や血液、代謝異常などが原因で引き起こされます。

呼吸で入るはずのものと出ていくはずのもの、消化液のそれぞれのpHが酸性かアルカリ性か、などが分かっていれば、こういった設問は簡単です。


Aちゃんは2日前からの嘔吐により、胃液を多量に失っています。
つまり”胃酸”が減少している、と推測できるため、回答は選択肢3の「代謝性アルカローシス」(体液系の酸性成分不足によるアルカリ側)という考え方で判断します。


ちなみに他の選択肢が引き起こされる病態としては、

代謝性アシドーシス
 →下痢による下部消化管分泌液の多量喪失、糖代謝異常によるケトン体の蓄積
呼吸性アシドーシス
 →呼吸数の低下や肺換気量の低下、気道閉塞等による二酸化炭素排出不全(動脈中の二酸化炭素濃度が上昇)
呼吸性アルカローシス
 →肺炎や気管支炎などの軽い呼吸困難、精神的理由などでの過換気(二酸化炭素の排出過剰)

それぞれ原因があれば結果もあるので、アシドーシスやあるカローシスによって引き起こされる症状なども一覧にして自分なりにまとめておくと、試験だけでなく実務でも役立つでしょう。

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