看護師の過去問
第103回
午後 問229

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問題

看護師国家試験 第103回 午後 問229 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。

Aさん(32歳、男性、会社員)は、2年前にうつ病(depression)による入院歴がある。Aさんは仕事中に「新しい営業戦略を考えついた」と上司に大声でまとまりのない話を続け、止めようとすると激怒するようになった。会社から連絡を受けたAさんの両親に付き添われて精神科を受診したところ、Aさんは双極性障害(bipolar disorder)と診断され入院した。

Aさんは常に動き回り、次々と他の患者に一方的に話しかけている。看護師が止めようとすると、Aさんは「自分は営業職なんだから、人と話すのは得意なんだ。邪魔しないでほしい」と強い語調で言い返してくる。
看護師の対応で優先されるのはどれか。
  • 家族に付き添いを依頼する。
  • Aさんを静かな場所へ誘導する。
  • Aさんに病気に関する説明をする。
  • 納得できるまで看護師に話すよう促す。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は2です。

双極性障害とは、うつ状態に加え、うつ状態とは対極の躁状態も現れ、これを繰り返す慢性の精神疾患です。20~30代前半に発症することが多く、男女差はありません。
躁の状態に応じてⅠ型(重い躁状態とうつ状態を繰り返す)とⅡ型(軽い躁状態とうつ状態を繰り返す)に分けられます。

1:Aさんは「止めようとすると激怒する」とあり、上記診断にて入院となっています。入院治療が必要な状態であるということは、家族でも対応が困難であった可能性も考えられます。入院中でもあるため、まずは看護師にて対応する必要があります。

2:Aさんは興奮状態であり、他害の可能性もあるため、まずは落ち着いてもらう必要があります。

3:Aさんは興奮状態であり、まとまりのない話をしていることから、病識がないことも考えられます。そのような状態で病気に関して説明しても理解してもらえません。

4:Aさんは躁状態であり「人と話すのが得意なんだ、邪魔をしないでほしい」と話していることから、話が止まらなくなることが考えられます。

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02

正解:2
(解説)
双極性障害とは、躁状態とうつ状態を繰り返す脳の病気になります。躁状態では、気分の高ぶりが見られ、誰でもかまわず話しかけたり、まったく眠らずに動き回ったりと、活動的になります。状態によっては、ギャンブルや上司と大ゲンカしたりなど、財産や職だけでなく社会的信用を失ったりする激しい状態になる場合もあります。うつ状態では、憂鬱な気分で、不眠や過眠、無関心、食欲の低下、何をするにも億劫で身体を動かすことができないといった症状があります。
問題文で、Aさんは「常に動き回り、次々と他の患者に一方的に話しかけている。看護師が止めようとすると、Aさんは強い語調で言い返してくる」などの記載があり、躁状態であると考えられます。躁状態では、感情高揚に精神運動興奮があいまって、他者の迷惑をかえりみない言動を数多くとり、トラブルを起こしやすくなるため、落ち着いてもらうために周囲の刺激を減らすなどの他者との調整を必要とします。よって、正解は「2」となります。
(補足)
1について:現在のAさんは、躁状態であり、また「止めようとすると激怒するようになった」との情報もあることから、まずは刺激の少ない環境を整えて、落ち着いてもらう必要があります。よって、両親の付き添いは刺激になる可能性が高いため、正解には該当しません。

3について:このような躁状態で、病気に関する説明を落ち着いて聞き、理解することは困難であると考えられます。また、問題文の情報だと、Aさんは病識がまだない可能性があり、興奮している状態で病気に関する説明をすることは、かえって本人を刺激してしまう可能性があります。よって、正解には該当しません。

4について:躁状態であり、多弁となっているため、話がとまらなくなり、納得できるような状態になることはないと考えられます。よって、正解には該当しません。

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03

正解は 2 です


双極性障害とは、以前は躁うつ病と呼ばれた気分障害の一種であり、うつ状態とそれとは全く反対の躁状態を繰り返す病気です。


1:Aさんは止めようとすると、激怒していたとの設問から、家族でも対応が難しいために、入院している部分もあるのではないかと推測されます。
こういった症状が起こるたび、家族を召喚していては入院の意味がないので、看護師で適切に対処する必要があります。


2:他の患者に対する悪影響が懸念されるため、まずは静かな場所へ誘導し、落ち着いてもらう必要があります。


3:躁状態で興奮している上、この設問のAさんは病識が無いような様子も見られるため、「自分はそんな病気にはかかっていない」とさらに興奮して否定してくる可能性もありますので、この選択肢は不適切です。


4:躁状態の方の頭の中は「次々にいいアイディアが競争するようにあふれ出してきて止まらない」と表現されることがあります。
そのために、そのアイディアを形にしたくて多弁になるのです。
「納得するまで」と考えの表出を促すと、次々と話題が飛躍していき、むしろエスカレートするでしょう。

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