看護師の過去問
第103回
午後 問234

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問題

看護師国家試験 第103回 午後 問234 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。

Aさん(40歳、男性)は、大学1年生のときに統合失調症(schizophrenia)を発症し、精神科病院に20年入院している。今回、退院して両親と同居することになった。入院中は定期的に作業療法に参加しており、日常生活は自立している。服薬は自己管理となっているが、時々飲み忘れることがある。

Aさんは受診時に「毎日父親に責められます。実家を出て生活してみたいです」と訴えた。Aさんに単身生活の経験はない。
Aさんに勧める社会資源で最も適切なのはどれか。
  • 自立訓練〈生活訓練〉
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 短期入所〈ショートステイ〉
  • 共同生活援助〈グループホーム〉

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:1
(解説)
この問題では、各選択肢の社会資源の概要の理解とAさんの状態を照らし合わせて考えていく必要があります。
各選択肢については、以下の通りになります。
1.生活訓練:知的障害または精神障害のある方に対して、障害者支援施設、障害福祉サービス事業所または居宅において、自立した日常生活を営むために必要な訓練、生活等に関する相談および助言などの支援を行っています。施設や病院に長期入所または長期入院していた方などを対象としており、地域生活を送る上でまず身につけなくてはならない基本的なことを中心に訓練を行い、地域生活への移行を支援するものになります。
2.小規模多機能型居宅介護:介護保険制度で創設された地域密着型サービスのひとつです。同一の介護事業者が通所(デイサービス)を中心に、訪問(ホームヘルプ)や泊まり(ショートステイ)を一体的に提供することができます。
3.短期入所(ショートステイ):介護者が病気などの理由により介護を行うことができない場合、障害のある方に障害者支援施設や児童福祉施設等に短期間入所してもらい、日常生活に必要な介護を行っています。
4.共同生活援助(グループホーム):障害のある方に対して、日常生活援助ならびに自立生活援助を行い、共同生活を営む住居になります。日常生活における介護や日常生活上の相談、援助を受けられる障害福祉サービスになります。

Aさんは、実家を出て単身生活をすることを希望しています。Aさんは、日常生活は自立していることや、Aさんの希望を考慮すると、選択肢2~4は該当しないと考えられます。また、大学1年生の頃から20年間入院していたこと、単身生活の経験がないことを考えると、社会生活の経験が乏しいことが予測できます。よって、Aさんの希望をこうりょしたうえで必要な社会資源は「1」となります。

参考になった数2

02

正解は 1 です


この設問の回答するにあたり重要なのは、Aさんは大学1年生の時に発症して以来20年間入院しており、設問内にも「Aさんに単身生活の経験はない」と記載してあることです。
それぞれの選択肢で提示されているサービスの違いを把握しておきましょう。

1:自立訓練〈生活訓練〉は、精神疾患や知的障害を抱えている対象が施設や病院から退所した際に、地域社会で生活を送るうえで、生活能力の向上や維持を行う必要がある場合に、訓練や相談を受け付けてくれるサービスです。
20年の入院生活のなかで単身生活の経験がなく、症状が安定しているAさんに最も適切な援助でしょう。


2:小規模多機能型居宅介護とは、利用者ができる限り自立した生活を送れるよう、日常生活に対する支援や機能訓練などを行い、援助する施設ですが、メインとなる援助は通所です。
その他の援助も短期間の宿泊や自宅への訪問などのため、「一人暮らしをしたい」というAさんの希望に沿ったサービスとは言えないでしょう。


3:短期入所〈ショートステイ〉は、あくまで短期間のあいだ病院や受け入れ可能な施設で生活することであり、今回の問題の解決に繋がる可能性は少ないため、不適切です。


4:共同生活援助〈グループホーム〉とは、主に夜間において精神的な障害のある方々が共同生活を営む住居で、入浴や食事などその他の日量生活上の援助を受けることのできる少人数向け施設です。
主に退院はしたいが、単身での生活に自信がない、孤独感が続くと病状が安定しないといった方に対する援助が目的となるため、今回のような家族との意見の相違により、単身生活を希望しているAさんに対する援助としての優先度は低いと考えられます。

参考になった数1

03

正解は1です。

1:自立訓練(生活訓練)とは、知的障害や精神障害のある方に対して、自立した日常生活や社会生活が送れるよう、生活能力の維持・向上のための訓練や援助などの支援を受けられるサービスのことです。長期間、精神科病院に入院していたり、施設に入所していたりすると、日常生活に必要な能力が低下しがちになります。
Aさんの場合も「大学1年生の時に統合失調症発病し、精神科病院に20年間入院している」とあり、日常生活は自立していても、社会生活に必要な能力が低下していることが考えられます。単身生活の経験がない今のAさんには、最適な支援でしょう。

2:小規模多機能型居宅介護とは、介護保険制度で創設された地域密着型サービスの一つです。利用者が可能な限り自立した日常生活が送れるよう、日常生活上の支援や機能訓練を行います。
Aさんの場合、「日常生活は自立している」とあるため、機能訓練は必要ないと考えられます。そもそも、このサービスは介護認定された高齢者が対象になりますので、Aさんは該当しません。

3:短所入所(ショートステイ)とは、短期間のみ施設に入所して、介護・支援を受けられるサービスです。家族の事情により、一時的に在宅で生活を送ることが難しくなった場合や、気分転換、休息が必要な場合などに入所できます。Aさんの場合は、本人の希望で単身生活を望んでいるため、このサービスの利用は適しません。

4:共同生活援助(グループホーム)とは、共同生活を営みながら必要に応じて食事の世話、日常生活における相談・指導などの援助を受けることにより、自立生活を助長することを目的としています。家から出て生活する場所としては適していると思いますが、単身生活を希望しているAさんに対しての援助としては、選択肢1の方が適切です。

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