看護師の過去問
第103回
午後 問237

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問題

看護師国家試験 第103回 午後 問237 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。

Aちゃん(2歳4か月、女児)は、母と会社員の父と3人で暮らしている。Aちゃんは、脳性麻痺で寝たきりのため全介助で在宅療養をしていた。3か月前に、誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)を発症して緊急入院し、気管切開をして人工呼吸器を装着した。現在、呼吸状態は安定しているが、啼泣時に気道閉塞があるため、夜間のみ人工呼吸器で呼吸管理を継続することになった。Aちゃんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳(肢体不自由1級)を所持している。

Aちゃんの母親から「家で育てることがこんなに大変だとは思わなかった。疲れました」と訪問の際に訴えがあった。
Aちゃんの母親の話を聞いた後の訪問看護師の対応として最も適切なのはどれか。
  • 「すぐに入院ができる病院を探します」
  • 「お母さんが頑張らないと駄目ですよ」
  • 「お父さんに休職してもらいましょうか」
  • 「ヘルパーさんに来てもらうことを検討しましょうか」

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:4
(解説)
母親の発言から、人工呼吸器を装着した児の在宅での介護は、介護者である母親も慣れない介護にくわえ、家事もあり、心身ともに疲弊している状態ではないかと推察できます。母親の疲労や負担を軽減するために、まず検討するべきは社会資源の活用になります。ヘルパーの導入は、母親の介護負担を減らすことができると考えられるため、正解は「4」となります。

(補足)
他の選択肢については、以下の通りです。
1について:Aちゃんの状態が悪化しているわけではないため、入院は適切ではないと判断されます。

2について:慣れない育児と介護、家事の負担で、母親は心身ともに疲弊していることが考えられます。母親を責めるのではなく、母親のこれまでの頑張りを認め、ねぎらう声掛けをする必要があります。

3について:Aちゃんの在宅療養の環境を把握するうえで、父親の仕事についての状況を知っておくことはあるが、休職などは訪問看護師が介入するべきところではありません。

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02

正解は4です。

1:退院後のAちゃんの病状について悪化が見られているような記載はありませんので、早急に入院を検討するのは誤りです。

2・3:在宅介護は対象者の健康状態の把握も大切ですが、その方を介護する家族のサポートをすることも大切になります。在宅介護では、それまでは医療者が行っていたことを家族が負担しなければならず、また24時間の介護になり、負担が大きくなります。そのような家族に対して、まずは労いや寄り添いが必要になります。
また、家族の仕事についてはプライベートのことなので、看護師が口出しすることではありません。

4:社会資源の活用について提案・助言することは大切なことです。ヘルパーを活用することによって、母親の身体的負担が減るだけでなく、日中に誰かと一緒に介護について話したり雑談するだけで、精神的にも楽になることが考えられます。

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03

正解は 4 です


在宅看護を行う場合、患者本人の経過観察も重要ですが、その生活を支える家族の観察も必須となってきます。
今回の家庭の場合、母親は医療的知識がない状態からAちゃんを支えるための最低限の手技や病状の知識など、様々なことを身につけてきています。

その慣れない状況に加えて、2歳の幼児の子育てと看護を同時に行なっている人物だということを念頭に置き、接していく必要があります。
決して、この場合の母親は自分たちと同じ医療者ではないのです。


1:今の母親の発言ではAちゃんの病状に変化があったかどうかは分かりません。
そのため、すぐに入院を提案するのは早計でしょう。


2:母親と看護師との信頼関係構築の面でも、これからの生活を続けるにあたり、自尊感情を育てる面でも第一声に対し、この返答は無神経です。
まずはここまでやれているだけでもすごいということを伝え、不安感情を表出しやすいよう落ち着いて話ができる環境を作りましょう。


3:現時点で父親の参加頻度が分からないのでなんとも言えませんが、最初からプライベートな内容に踏み込みすぎている発言です。

看護師ができることは母親から父親に対する不満があった場合、短時間でも「母親が休む時間を確保するための策を考える」という面での働きかけ方であり、父親の仕事にまで口を出す権限はないはずです。


4:ヘルパーが介入することで、その時間は母親の手が空き、自由な時間を過ごせたり、日々の細かい生活に密着した手技のコツなどを相談する機会もできるかもしれません。
気晴らしや今後を見据えた前向きな生活のためにも、有用な提案でしょう。

「依頼しましょう」と断定的な言い方ではなく「検討しましょうか」と、あくまでも提案の形をとっているのも、母親が単に弱音を吐きたかっただけなのか、もしくは本当に限界ギリギリの状態なのかを判断するうえで重要な言い回しです。

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