正解は 3 です
廃用症候群とは、身体や精神の活動性が下がることで引き起こされる二次的な障害の総称です。「生活不活発病」とも言われています。
主な原因としては以下の、
・加齢に伴い、身体が若い頃のように動かせなくなることで、活動が億劫になり、座位または臥床していることが多くなる
・痛みなどにより、関節の可動域が制限され、活動性が低下する
・入院治療などによって、活動範囲の減少や長期的な安静を強いられる
・脳卒中等後遺症による麻痺、骨折などの回復が長引いて活動量が落ちる
などが考えられます。
入院による活動性の低下などは若年者でも起こりえますが、若年者の場合は柔軟な適応力によって、そこからの回復がめざましく、リハビリやレクリエーション等で活動を促すことで、予防は容易です。
高齢者の場合は、同じようなリハビリ量では予防が難しく、また一度発症してしまった場合には、回復が困難となるため、予防的な働きかけが最も重要となります。
1:×
低カルシウム血症は、一般的には吸収や排出を司る副甲状腺の問題や食事内容、排出に関わる腎の疾患、また特定の薬剤などによって引き起こされますが、身近な要因だと日光浴不足により、血中のビタミンDが不足することでも引き起こされます。
これは、人体は自分自身の力ではビタミンDを産生できず、日光浴によってビタミンDを産生することと、ビタミンDには消化管からのカルシウムの吸収を促す作用があるからです。
ただ、活動量が低下することで外出も減り、日光を浴びる量が少なくなることとで、確かにビタミンDの生産も減り、体内のカルシウム量も減るでしょうが、その場合には血中のカルシウム濃度を保とうと副甲状腺ホルモンの分泌が促進されるため、単純に日光浴の減少だけで、低カルシウム血症まで発症することはまれです。
2:×
解説の冒頭でも述べた通り、加齢とともに廃用症候群の発症する危険性は高くなる上、精神面の適応力も低下するため、発症した際の進行も早くなります。
よって、この選択肢は明らかに誤りです。
3:○
長期臥床に伴う廃用症候群の症状の一つに自律神経の機能的な低下も含まれます。
そのため、姿勢の変化に伴う血圧の大きな変動に対し、自身で適切に調節することができず、結果として起立性低血圧が起こりやすくなります。
これは臥床状態から座位、端座位になっただけでも発症する可能性があります。
長期的に臥床状態だった対象を車椅子などに移送する際は、まずこの症状に注意すべきでしょう。
4:×
癌患者の活動性には対象の発症部位や年齢、疼痛の場所や程度により様々あり、一概に癌患者には廃用症候群は発症しないとは言い切れません。
その上、廃用症候群は身体的な症状だけでなく、精神的な症状から活動性が低下し、発症することもあり、癌の発症により、抑うつなどの症状が発症し、そこから廃用症候群へと移行する可能性もあるため、この選択肢は誤りといえるでしょう。
参照
廃用症候群とはー日本医事新報社
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=2063