看護師の過去問
第104回
午前 問109
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問題
看護師国家試験 第104回 午前 問109 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文を読み、問いに答えよ。
Aさん(35歳、初産婦)は、夫と2人で暮らしている。妊娠28週2日、妊婦健康診査で胎盤が内子宮口を全部覆っていると指摘された。自覚症状はない。その他の妊娠経過に異常は認められていない。Aさんは、身長155cm、体重56kg(非妊時体重50kg)である。
Aさんの観察項目で最も注意するのはどれか。
Aさん(35歳、初産婦)は、夫と2人で暮らしている。妊娠28週2日、妊婦健康診査で胎盤が内子宮口を全部覆っていると指摘された。自覚症状はない。その他の妊娠経過に異常は認められていない。Aさんは、身長155cm、体重56kg(非妊時体重50kg)である。
Aさんの観察項目で最も注意するのはどれか。
- 破水
- 激しい腹痛
- 子宮底の上昇
- 痛みを伴わない性器出血
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この過去問の解説 (3件)
01
前置胎盤の特徴を抑えておくことがポイントです。
胎盤が内子宮口を全部覆っているということから「全前置胎盤」が考えられます。
妊娠初期には多くが前置胎盤でありますが、胎盤の癒着があると成長とともに外出血を伴い、痛みを伴わないことが多いのが特徴です。
1 . ×
子宮口が全て胎盤で覆われていることから、破水は考えられません。
2 . ×
前置胎盤は痛みを伴わないことが特徴です。
激しい痛みを伴う胎盤の異常では、胎盤機能が早期に低下することによる常位胎盤早期剥離が考えられます。
3 . ×
子宮底の上昇は考えられません。
4 . 〇
前置胎盤では、痛みを伴わない性器出血が特徴です。
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02
母体と胎児をつなぐ臍帯(へその緒)の繋がる先である胎盤が、通常よりも低い位置(一般的には臍よりも下、膣がある方向)にあることを前置胎盤と呼びます。
前置胎盤のなかでも、胎盤子宮口をどれぐらい覆っているかによって、名称が異なり、今回の場合は設問内の「胎盤が内子宮口を全部覆っている」という説明から「全前置胎盤」と呼ばれる状態であることが分かります。
名称の種類と見分け方は以下となります。
・全前置胎盤
胎盤が子宮口を完全に覆い、塞いでいる
・部分前置胎盤
胎盤の一部が子宮口の上にあるが、子宮口の全てを覆うまでには至らない
・辺縁前置胎盤
胎盤の端が子宮口の縁にかかっている
・低値胎盤
胎盤が臍よりも低い位置にあり、全前置胎盤と似たようなことが起こるリスクがある。念のため、様子観察とする場合もある
1:×
Aさんの状態の場合、子宮の出口である子宮口が全て胎盤で覆われ、いわゆる栓をされているような状態のため、そもそも破水が起こりません。よって、観察のしようがありません。
2:×
子宮内膜は感覚が鈍く、胎盤にも痛覚はないため、どちらかに異常が起こったとしても腹痛がないことが多く、痛みの訴えばかりを頼りにすることはできません。よって、この選択肢も誤りです。
3:×
妊娠28周目であれば子宮は十分に大きく、今以上に顕著な大きさの変化は起こりにくいと考えられるため、この選択肢も誤りです。
4:○
全前置胎盤で最も注意すべきことが、この痛みの自覚がない不正出血です。
柔軟性のある風船に濡れた紙を貼り付けたまま膨らませた場合、風船の動きについていけずに紙が破けるように、子宮の進展によって、胎盤が強制的に剥がされてしまい、胎盤経由での呼吸ができなくなってしまった胎児を本来排出するべき出口である子宮口が完全に塞がれていることが問題なのです。
その上、胎盤は胎児と母体をつなぐ血管の集まりである臍帯(へその緒)の根元であり、一度剥がれると大出血につながり、母体と胎児両方の命が危険に晒されてしまう可能性もあります。
そのため、全前置胎盤の患者さんは必然的に帝王切開術での出産となり、痛みのない不正出血に目を光らせる必要があるのです。
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03
「胎盤が内子宮口を覆っている」という情報より、「前置胎盤」であることが分かります。
「前置胎盤」とは
胎盤が正常よりも低い位置にあり、内子宮口の一部または全てを覆っている状態です。
一般的に無症状ですが、妊娠28週目以降に腹痛を伴わない性器出血を起こすリスクが高くなります。
大量出血する場合もあり、母子ともにハイリスクの出産です。
ほとんどの場合、帝王切開での出産になります。
1.前置胎盤では内子宮口が胎盤で覆われているため、破水はしません。
2.前置胎盤では激しい腹痛などの症状がないことが多いです。
3.子宮底の上昇がみられることは少ないです。
4.突然、痛みを伴わない出血が起こる可能性があります。
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