看護師の過去問
第104回
午前 問114

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問題

看護師国家試験 第104回 午前 問114 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。

Aさん(20歳、男性、大学生)は、皆が自分を嫌っていると言い、昨年から大学を休学し、1人暮らしのアパートで引きこもるようになった。先週、アパートで夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人から両親へ連絡があった。Aさんの両親がAさんの部屋に入ってみると、窓は新聞紙で覆われていた。Aさんは「1日中誰かに見張られている。あなたは親じゃない」と叫び続けるため、精神科病院に入院した。Aさんは、統合失調症(schizophrenia)と診断され非定型抗精神病薬による治療が開始された。

入院後2か月。症状も落ち着いてきたため、退院の準備をすることになった。Aさんは看護師に「病気はもう治ったのに、いつまで薬を飲まなければならないのか。薬を飲むと頭がぼんやりする。体力がなくなった気がする」と話した。Aさんの退院の準備のために行う支援で優先度が高いのはどれか。
  • 回想法
  • 復学準備
  • 服薬心理教育
  • 筋力トレーニング

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は「3」です。

1 . ×
回想法とは心理療法の1つで、昔の懐かしい写真や思い出に触れたりするもので主に認知症患者に対して行います。よって×となります。

2 . ×
Aさんは退院の準備を行っており、まずは退院後家庭にて安定した生活を送ることが目標です。そのため学校に復帰するための準備としてはまだ早い段階です。よって×となります。

3 . 〇
服薬心理教育とは、Aさん自身が受けている薬物療法について正しい知識と情報を持ち、病気と付き合っていくために重要な教育となります。よって、これから退院を迎えるAさんに適切な援助といえます。

4 . ×
Aさんは薬を飲むと頭がぼんやりすると話しており、薬の副作用が考えられます。筋力トレーニングによって解決するものでもないため不適切となります。

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02

正解は 3 です

1:×
回想法とは、主に認知症の治療に用いられる心理療法の手法です。
テーマに沿って、過去の思い出を振り返り、他人に話すことで脳が刺激され、精神状態を安定させたり、長期的には認知機能が改善するという効果が報告されています。
Aさんは認知症でもありませんし、精神的に不安定な状態でもないため、この手法を用いる必要はありません。

回想法 - 認知症フォーラム
https://www.ninchisho-forum.com/knowledge/iryou/008.html


2:×
復学準備とはすなわち、休学していた大学の授業に復帰するための諸々の準備のことです。
確かに、社会生活に馴染むための準備は必要ですが、退院してすぐの復学は思うようにいかないことが多いと予測され、病状の悪化も招きかねないため、まずは先に病院外での生活に慣れてから、復学について準備した方がよいでしょう。


3:○
Aさんの発言からは、「症状がなくなれば、すでに病気としては治癒しており、再発することもない。よって、服薬の必要はない」と考えていることが推測されます。
しかし、統合失調症の場合はそう簡単に治癒したと判断できるものではなく、言うなれば再発を繰り返す病気です。
病識が欠如したまま自己判断で服薬を中断した場合、ほとんどの患者に症状が現れ、再び苦しめられることとなります。

そのため、こういった意識を抱いている患者本人、あるいはご家族には、今一度統合失調症がどういった病気なのか、そして発症から治癒までどういった経過を辿るのか、そしてそれにどれほどの時間を要するのかという疾病への理解、および抗精神薬がどのように作用して、疾病の治療を行なっているのかについての心理教育が重要となります。

むしろ、こういった発言がある患者に服薬心理教育を行わないままに退院を許可した場合、ほぼ必ずといっていいほど自己判断で服薬を中断し、再発して再び入院することとなります。
抗精神薬は服薬を中断してもすぐに症状が悪化しない場合もあり、数ヶ月、あるいは数年単位でそのまま経過する可能性もあり、その場合は再発は患者本人の社会復帰の遅れにもつながります。

疾病の理解を深め、そして薬剤治療の重要性と必要性を理解してもらうことで、患者本人も納得の上で治療を続け、被害妄想や自己判断での服薬の中断などを起こす可能性を下げ、安定した社会生活を送ってもらうことを目指します。

服薬指導 - eらぽ〜る
https://www.e-rapport.jp/medicine/direction/direction06/02.html
https://www.e-rapport.jp/medicine/direction/direction06/03.html

4:×
Aさんが「体力がなくなった気がする」、と述べているのは、もしかすると
抗精神薬の副作用として現れている眠気や倦怠感である可能性があります。
もちろん副作用は少ないにこしたことはありませんが、服薬とは薬効と副作用のバランスを調整し、症状を抑える効果と副作用の出現してしまう危険性、どちらをメリットととるかという取捨選択でもあります。

そのため、選択肢3の服薬心理療法を行うことで、薬剤の作用機序を学び、現在の薬効を得るためにはこれだけの内服量が必要であり、副作用が出るのは致し方ない現象であると、Aさん本人が理解できることが期待されます。


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03

Aさんはよくなった=薬は不要と考えています。
Aさんに対し、病気をコントロールしていくためにも内服が必要であることを説明していく必要があると考えます。

復学することで再発することも考えられます。また体力がなくなったと自覚するのは薬の影響も考えられます。

よって適切な方法は3.です。

回想法は認知症の方に対して行われる技法です。

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