看護師の過去問
第104回
午前 問115
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問題
看護師国家試験 第104回 午前 問115 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文を読み、問いに答えよ。
Aさん(14歳、男子、中学生)は、両親と弟(7歳)との4人で暮らしている。Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)で2年前に誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)を繰り返し、経鼻経管栄養法と在宅酸素療法とを開始した。その後、呼吸障害が進行し、非侵襲的陽圧換気による呼吸管理目的で入院した。Aさんは「特別支援学校に戻って友達に会いたい。夜に使うマスクに早く慣れたい」と訴えた。Aさんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳(肢体不自由1級)が交付されている。
Aさんと両親への呼吸管理の説明で最も適切なのはどれか。
Aさん(14歳、男子、中学生)は、両親と弟(7歳)との4人で暮らしている。Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)で2年前に誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)を繰り返し、経鼻経管栄養法と在宅酸素療法とを開始した。その後、呼吸障害が進行し、非侵襲的陽圧換気による呼吸管理目的で入院した。Aさんは「特別支援学校に戻って友達に会いたい。夜に使うマスクに早く慣れたい」と訴えた。Aさんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳(肢体不自由1級)が交付されている。
Aさんと両親への呼吸管理の説明で最も適切なのはどれか。
- 鼻根の皮膚トラブルにはマスクを外す。
- 機器が故障したときは訪問看護師に連絡する。
- 機器が過剰送気を示したときは回路の点検をする。
- 息苦しいときは非侵襲的陽圧換気の設定を変更する。
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この過去問の解説 (3件)
01
在宅での非侵襲的陽圧換気による呼吸管理の看護のポイントを押さえておくことが大切です。
1 . ×
鼻にマスクをあてるため皮膚トラブルが起こりやすくなります。ただし、皮膚トラブルによって自己判断で家族がマスクを外すことは禁止です。皮膚トラブルへの対応、予防策についても予め伝えておくことが大切です。
2 . ×
機器が故障したときは、主治医・機械業者に連絡することが適切です。
故障時の対応について、事前にわかりやすく家族に説明しておくことが大切です。
3 . 〇
故障・事故の防止のために、日常的に管理・点検することは大切です。
4 . ×
家族が自己判断で設定の変更をすることは禁止です。Aさんの体調に変化が見られたときは、主治医・看護師に速やかに連絡することが大切です。
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02
「非侵襲的陽圧換気」とは、院内でよく見る”気管支挿管”や”気管支切開”のように、患者の身体に何かしらの負担のある方法で、人工呼吸器を装着するのではなく、鼻部分のみ・または顔面全体を覆うような”装着型のマスク”を使用して、呼吸機と接続し、呼吸管理を行う方法です。
現場では、頭文字の略称をもとに「NIPPV」とも呼ばれます。
主に、設問のような睡眠時のみの呼吸管理に使われ、睡眠時無呼吸症候群の治療にも利用される呼吸管理法です。
医師の判断と本人の病状にもよりますが、
・人工呼吸器からは陽圧をかけるだけ(本人の吸気を補助するだけ)で、呼気の補助は行わない
・一定の秒数の間、吸気が感知できない場合にのみ、陽圧をかける
といったような設定にすることが多いです。
1:×
鼻マスクを使用する場合、強制的に空気を吹き込むという方法上、鼻の周囲だけという狭い範囲にぴったりとマスクを押し付ける必要があるため、小鼻のわきや鼻の先端(眉間の下あたり)に皮膚トラブルを発生しやすい状況にあります。
しかし、だからといって毎回マスクを外していると、人工呼吸器から送られる空気が適切に患者まで届かずに、正しい呼吸管理が行われなくなってしまいます。
皮膚トラブルが続く場合は、マスクの形状やサイズの変更を業者に依頼したり、専用のマスクに装着するタイプのクッション材や肌に貼り付けてマスクのあたり方をよくするような被覆材などを探してみるといった対策が必要です。
2:×
訪問看護師はレンタル機器メーカーと患者の橋渡しは行いますが、機器の修理は専門ではありません。
レンタル手続きを行う際に渡されるはずのメーカーの修理相談窓口に連絡してもらう必要があります。
3:○
「過剰送気」とは、医師が設定した呼吸量の許容範囲を超えて機械が空気を送り込んだということです。
Aさんの場合は、気管切開ではなく鼻マスクを使用しているため、そのマスクに隙間があれば、そこから漏れてしまう場合もありますが、隙間もないのに空気が漏れていた場合が問題です。
人工呼吸器〜チューブ〜患者の肺までは本来閉じられた環境であり、ストローで風船を膨らませているのと同じことです。過剰な空気が流れるはずがありません。
よって、過剰送気アラームが示されるということは、どこかに空気が漏れる隙間があったということになります。
隙間があるということは、患者の肺まで空気が届いていないということになり、その状態が続けば夜間Aさんは十分に呼吸ができないという状態となってしまいます。
それでは呼吸器を導入した意味が全くなくなるため、直ちに空気が通る経路を隅々まで確認する必要があります。
最も可能性が高いのは、排水トラップのケースが外れていたり、チューブ自体に、裂けや穴が空くなどの物理的なものです。
そのどれもが見られない場合、今一度マスクおよびチューブ類の付属品のフィッティングや適応をメーカに調整してもらうか、それでも続く場合は呼吸器の設定を医師と相談する必要も出てきます。
4:×
患者が「息苦しい」と感じる原因には、『必要とするだけの空気が入ってきていない』という吸気側の問題と『十分に肺の中の空気を排気できないせいで次を入れられない』という呼気側、大きく分けると2種類の問題に分かれます。
ただし、それが機械の設定による物理的な問題なのか、患者の気管支などの病状による問題なのかは調べてみないと分かりません。
まずは訪問看護師に連絡してもらい、医師の診察を経て、病状の悪化等による問題でないのであれば、機器メーカーに連絡して、機械の設定を調整してもらいます。
勝手に両親が機器の設定をいじるのは、故障や更なる苦痛の増加、ひいては医療事故の原因にもなりかねませんので、絶対に行わないよう説明します。
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03
装着具合の確認や保湿剤を使用する、被覆材を貼付するなどして予防が必要です。
機器トラブルは看護師ではなく、メーカーの担当に連絡する必要があります。
過剰送気などの場合は、回路に問題がある(もれ、はずれ)場合が想定されるので、点検が必要です。
機器の設定を変更することがかえって症状を悪化させる恐れがあり、その場合は訪問看護師への連絡が必要です。
よって3.が正答と考えます。
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