看護師の過去問
第104回
午前 問116

正解は「4」です。
在宅にて人工呼吸器療法を行っている患者への緊急時の対応ポイントを押さえておくことが大切です。

1 . ×
停電後、人工呼吸器は正常に作動しておりAさんの体調にも変化がないことから救急車に乗って病院を受診する必要はありません。

2 . ×
こちらも停電後、人工呼吸器は正常に作動しておりAさんの体調にも変化がないことから主治医に緊急で連絡をとる必要はありません。

3 . ×
在宅にて人工呼吸器を使用する場合、緊急時に備えて非常用のバッテリーが必ず用意されています。そのため、用手換気に切り替える必要はありません。

4 . 〇
現時点では正常に人工呼吸器は作動しておりますが、今後停電の影響で作動しなくなることが予測されるため、主電源を外部バッテリーに切り替えるという指示は適切です。

正解は　4　です


1：×
何も対策を行わないままに救急車を呼んでも、状況が改善する訳ではありません。
反対に、停電直後や発生してからそう時間が経過していない場合、暗闇の中で動き回り、落とした食器などで負傷したり、転んだりした人からの救助要請などで救急車が出はらい、到着までに普段以上の時間を要す可能性があります。
その間に人工呼吸器が止まってしまっては一大事です。
よって、この選択肢ははじめの行動としては不適切です。


2：×
医師も看護師と同様、機器のスペシャリストではありません。このような状況で電話をかけて手を煩わせるべきではありません。


3：×
用手換気とは、チューブの先を人工呼吸器ではなくアンビューバッグにつなぎ変え、人間の手を用いて吸気を吹き込む方法です。
人工呼吸器を持ち込むスペースのない場所(例えば救急車やベッド移動中など)に行く場合に行います。
これは主電源も予備バッテリーも無くなってしまった場合の最終手段であり、まだこの時点で使用すべき手段ではありません。


4：○
呼吸機をレンタルする場合、必ず緊急時の備えについて説明があります。
その際に渡されるのが、停電時に人工呼吸器を動かすための外部(予備)バッテリーと用手換気用のアンビューバッグです。
なぜなら、人工呼吸器も電気機器である以上、停電が致命的であり、電力の供給が途絶えることが患者の苦痛と直結するからです。

今回の設問のAさんの場合、人工呼吸器を使用しているのは睡眠時のみであり、短時間の停電であれば最悪の場合、眠らなければ良いことかもしれません。
ただ停電が長時間に及んだ場合、14歳の子供に長時間起きていろというのも酷ですし、これが人工呼吸器がなければ、自発呼吸も難しい患者だった場合は命にも関わります。

よって、レンタルを受ける際には緊急時の対応もしっかりと説明されたかどうかを看護師側からも確認する必要があります。

停電が起きただけで、Aさんの健康には問題ありません。

よって、救急車を利用することは適切ではなく、主治医に連絡を取ることも必要ではありません。

人工呼吸器が作動しているのであれば、用手圧迫で換気を行うより、外部のバッテリーに変更することが必要です。

よって４．が正答と考えます。