看護師の過去問
第104回
午後 問146

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問題

看護師国家試験 第104回 午後 問146 (訂正依頼・報告はこちら)

内臓痛が生じるのはどれか。
  • 臓器の切開
  • 管腔臓器の受動的な過伸展
  • 細胞内カリウムイオン濃度の上昇
  • 細胞外ナトリウムイオン濃度の上昇

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は 2 です


1:×
内臓には、実は痛みなどの刺激を感じるための受容体がほとんどありません。特に胃や腸など、常に中に物体を入れておく役割をした袋状の臓器は鈍くできており、熱湯や冷水を飲み込んでも口腔内で感じるほどの刺激を感じることは少ないと思います。

胃切除や盲腸切除などで手術をして感じている痛みは実は皮膚や腹部の筋肉を切除されて感じている痛みであり、内臓自体からくる疼痛ではないのです。
よってこの選択肢は誤りです。


2:◯
上記で挙げられた胃や腸などの消化管、呼吸時に吸い込んだ外気を入れておく袋状の肺などの呼吸器、生成された尿をためておく泌尿器、そして胎児を保持しておき保護する役割を持った女性生殖器など、体内でなにかを溜めておく役割を持った臓器を総称して「管腔臓器」と呼びます。名前の通り、その袋状の臓器につながる管である気管・気管支や尿管なども含まれます。

この臓器は受動的、つまり何か自分以外のせいで引き起こされた刺激による過剰な伸展や過剰な収縮によって痛みを感じます。

具体的な例としては容量の限界近くまで息を吸い込んだ時、胃カメラの検査時に飲む膨張剤により胃内部にガスが充満している時、便秘や腸閉塞などにより腸内に固形物である便が多量に停滞し広げている時、また月経などで古い子宮内壁を排出するために子宮が収縮している時などが挙げられます。


3・4:×
生体内には様々なイオンが存在していますが、その主たるものがカリウム・ナトリウム・カルシウムなどの陽極に属するイオンです。

筋肉をはじめとした各種細胞壁の、常に「内側にカリウム」が、「外側にナトリウム」が存在するよう調整する働きを持つのがナトリウム-カリウム交換ポンプですが、設問ではそれぞれこの通りの事が起こっている状態ですので特に痛みを感じることはありません(それでなければ、人体は恒常を保つためのイオン交換ポンプが機能するたびに痛みを感じてしまうことになります)。

ただし、この反対に「外側にカリウムが出て行く」ことで細胞内のカリウム濃度が減少したり、「細胞内にナトリウムが入ってきて」細胞外のナトリウムイオンが不足(カリウムとナトリウムでは出入りする量が基本的に違います)したりすると、細胞内の電位が上がり”脱分極”という状態になり、痛みの感じ方が平常時よりも強くなる方向に傾きはじめることはあります。



痛みの基礎知識 - 日本ペインクリニック学会
https://www.jspc.gr.jp/igakusei/igakusei_bunrui.html

痛みとは - 痛み取り専門 楽楽痛み研究会 
https://itamikenkiyu.jimdo.com/

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02

正解は「2」です。
疼痛について理解しておくことがポイントです。

疼痛には体性痛と内臓痛があります。内臓痛とはその名の通り、内臓が感じる痛みです。

1 . ×
特に管腔臓器(解説は下記のとおり)では切開で痛みを感じることはありません。

2 . 〇
管腔臓器とは、管状・袋状の形態を有する臓器を指します。管腔臓器は、切開で痛みを感じることはありませんが、受動的な過伸展で痛みを感じます。また、平滑筋の痙攣性収縮でも痛みを感じます。

3 . ×
細胞内カリウムイオン濃度の上昇によって内臓痛が生じることはありません。

4 . ×
細胞外ナトリウムイオン濃度の上昇によって内臓痛が生じることはありません。

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03

内臓である胃や腸は出血するようなことがあっても、痛みを感じることはありません。
つまり、刺す、切るなどの損傷が加わっても、痛みを感じません。

内臓痛として感じるのは管腔臓器の過伸展、もしくは過収縮です。

よって2.を選択します。

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