看護師の過去問
第105回
午前 問71
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問題
看護師国家試験 第105回 午前 問71 (訂正依頼・報告はこちら)
Aさん(60歳、男性)は、胃癌(gastric cancer)の手術目的で入院した。大動脈弁置換術を受けた既往があり、内服していたワルファリンをヘパリンに変更することになった。
確認すべきAさんの検査データはどれか。
確認すべきAさんの検査データはどれか。
- PT-INR
- 赤血球数
- 白血球数
- 出血時間
- ヘモグロビン値
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この過去問の解説 (3件)
01
この問題では、Aさんの既往歴、大動脈弁置換術によりワルファリン(抗凝固剤)を内服している、というところが特に気をつけるべき項目になります。
1 . PT-INR
○正解
INRはワルファリンを内服している患者さんが定期的にチェックしなければいけない血液検査の項目です。
ワルファリンを内服している患者さんで、手術を控えている人は特に注意して確認する必要があります。
ワルファリンは内服し始めてから、薬が効き始めるまでに時間がかかり、また内服を中止しても半減するまでに2.5日かかります。
手術を控えている患者さんでは、ワルファリンを数日~1週間程度中止します。中止している間に血栓が出来る可能性があるので、ヘパリンの持続点滴を行います。
また、ワルファリンはビタミンKを阻害することで、血液凝固の反応を阻害します。なので、手術前の患者さんで、緊急の場合にはビタミンKを注射する事でINRを調節することがまれにあります。
ヘパリンは半減期が短いので、手術開始の4時間前くらいまで継続できます。なので、血栓ができるリスクを軽減できます。また、ヘパリン持続点滴をしている患者さんは、定期的にAPTTをチェックし、滴下速度の調節が必要になります。
2 . 赤血球数
×不正解
酸素化、貧血の有無の指標としてヘモグロビン値と共に手術前にはチェックします。
しかし、Aさんのワルファリンに対する血液検査が特に必要となるので、不正解になります。
3 . 白血球数
×不正解
白血球は感染をすると上昇します。手術前には確認しますが、Aさんのワルファリンに対する血液検査が特に必要となるので、不正解になります。
4 . 出血時間
×不正解
出血時間は血小板の機能を見る手術前に行われるテストの一つです。
良く用いられているのは、Duke法で、耳たぶをランセットで軽く切開して出血させます。その後、30秒ごとにろ紙で血液を吸い取り、血液が出なくなった地点が出血時間といいます。通常は3分以下止血しますが、5分以内が正常値です。
ワルファリンとも間接的に関係はしてきますが、血小板の機能を見ているので、不正解になります。
5 . ヘモグロビン値
×不正解
ヘモグロビンは酸素化を見る上で手術前には必ずチェックする項目です。貧血であれば、点滴による鉄材投与、もしくは輸血が必要になります。
しかし、Aさんのワルファリンに対する血液検査が特に必要となるので、不正解になります。
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02
出血を伴う外科手術時や内視鏡処置時には、術前に抗血栓薬を休薬する必要がありますが、術後、長期間経口内服ができず、体動が制限される状況下では血栓塞栓症の発症リスクも高くなります。したがって、設問の症例においてはヘパリン静注による代替療法を行います。
同じ抗血栓薬でも、ワーファリンとヘパリンの違いはその血中濃度の半減期にあります。
経口のワーファリンの半減期は40時間前後、作用時間は48〜72時間と長く、最低でも術前72時間前には休薬する必要があります。一方、静注のヘパリンの半減期は1時間前後と短く、術前3〜6時間前の投与中止で処置が可能になります。
1.正解。PT-INR(プロトロンビン時間)は血液の凝固時間を測定する検査です。血液凝固の第Ⅱ因子(これがプロトロンビン)、Ⅴ因子、Ⅶ因子、Ⅹ因子の凝固活性を調べることができます。血液が凝固しにくくなると、この値の延長を認めます。
ワーファリンは肝臓でビタミンKのはたらきを阻害し、結果、その後の過程で生成される血液凝固の第Ⅱ、Ⅴ、Ⅶ、Ⅹ因子の合成を阻害することで、抗凝固作用が発現します。そのため、ワーファリン服用時には血液凝固の指標として、PT-INRを使用します。
2.誤り。
3.誤り。
4.誤り。出血時間は皮膚に一定の刺傷を作り、その出血が自然止血(血小板の凝集により、一時止血血栓ができる)するまでの時間のことです。おもに血小板の数や機能を調べる検査であり、厳密に凝固異常を判断する指標ではないため、この場合に確認すべき検査データではありません。
5.誤り。ヘモグロビン値は酸素を運搬する赤血球に含まれるヘモグロビンの量のことです。鉄欠乏性貧血などを判定するものです。
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03
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