看護師の過去問
第105回
午後 問221

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問題

看護師国家試験 第105回 午後 問221 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。

Aちゃん(11歳、女児)は、両親と3人で暮らしている。3週前から疲労感を訴え昼寝をするようになった。そのころから夜間に尿意で起きてトイレに行くようになり、1日の尿の回数が増えた。2日前から食欲がなくヨーグルトや水分を摂取していたが、今朝から吐き気と嘔吐とがあり水分も摂れない状態になったため、母親とともに受診した。血液検査データは、赤血球580万/μL、Hb13.9g/dL、Ht44%、白血球9,500/μL、尿素窒素31mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、Na141mEq/L、K4.8mEq/L、Cl94mEq/L、随時血糖900mg/dL。動脈血ガス分析は、pH7.21、BE−12.3、HCO3−10.9mEq/L。尿検査は、尿糖2+、尿ケトン体3+であった。Aちゃんは1型糖尿病(type 1 diabetes mellitus)の疑いで入院した。

Aちゃんは、インスリンの持続的な注入を開始し、3日後、血糖値が安定した。1型糖尿病(type 1 diabetes mellitus)と診断が確定しインスリン自己注射を始めることになった。ペン型注入器を用いて、毎食前に超速効型インスリンの皮下注射、21時に持効型溶解インスリンの皮下注射を行うという指示が出ている。
Aちゃんと両親に対するインスリン自己注射の指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
  • インスリンを注射する部位は前回と違う部位に行う。
  • 超速効型インスリンは単位数を変更せずに注射する。
  • 食欲がないときは食後に超速効型インスリンを注射する。
  • 血糖値が100mg/dL以下のときは持効型溶解インスリンの注射を中止する。
  • インスリンの注射をした後は針を刺した場所をよくもむ。

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この過去問の解説 (3件)

01


1 . ○インスリンを注射する部位は前回と違う部位に行う。
→インスリン皮下注射の注射部位が毎回同じだと、硬結(注射部位が硬くなる)等の副作用が出現する可能性があります。また、皮下組織が硬くなる事でインスリンの吸収が悪くなるので、前回注射した部位より2~3㎝離して注射するようにします。

2 . ×超速効型インスリンは単位数を変更せずに注射する。
→自己判断で単位数の変更はせず、医師の指示のもと、指示された方法で使用するようにします。

3 . ○食欲がないときは食後に超速効型インスリンを注射する。
→食欲がない時に食前に超速効型インスリンを注射すると、食事摂取量が少ない際には低血糖となる可能性があります。その為、インスリン注射を食後に変更し、食事摂取量に合わせて皮下注射を実施するようにすることは適切です。
(※自己判断にて注射時期を決めず、医師の指示のもとで行う)

4 . ×血糖値が100mg/dL以下のときは持効型溶解インスリンの注射を中止する。
→インスリンには種類によって、作用出現時間と持続時間が異なり、病状により組み合わせて使用する場合もあります。インスリンの種類は超速効型、速効型、混合型、中間型、時効型です。速効型のものは、10~30分といった短時間で作用があり、時効型に比べると持続時間も比較的短い為、食事等によって一時的に上がった血糖を下げるのに適しています。時効型は作用開始までに1~2時間かかり、効果は1日持続する。そのため、1日の血糖値を変動を少なくし、数値を安定させる為に用いられます。

5 . ×インスリンの注射をした後は針を刺した場所をよくもむ。
→注射部位をもむと、インスリンの吸収が早くなり、低血糖となる可能性がある為、注射部位は揉まないようにします。

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02

正解:1・3
1、インスリン注射は前回と違う部位に行う必要があります。同じ場所に注射していると、皮膚が硬く盛り上がったり、赤くなったり、むくんだようになったりします。

2、医師が判断した目標値に合わせて、決められた単位数、決められた回数の注射を行う必要があります。

3、持続型溶解インスリンは、不足しているインスリンの基礎分泌を補い、空腹時血糖の上昇を抑制して、1日中の血糖値を全体的に下げる働きがあります。注射してから効果が出るまでの時間は1~2時間で、インスリンの作用が持続する時間はほぼ1日にわたります。自己判断で注射の時間をずらすことは危険です。

4、血糖値が100mg/dL以下の時でも、食事ができれば注射可能な場合もあります。自己判断はせず、医師に相談して指示に従う必要があります。

5、インスリンは皮下注射です。体内にゆっくりと吸収させるのが狙いで、逆に揉んでしまうと吸収が早まるため、低血糖につながる可能性があるので危険です。

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03

正解は1と3です。
1.注射部位は前回と違う部位にします。広い場所の中で少しずつずらすようにします。 同じ場所に注射していると、皮膚が硬くなる、盛り上がる、赤くなる、むくむなどしてしまいます。
3.食欲がないときは自己判断で中止せず、食事内容に応じて食後に超速効型インスリンを注射します。

2.目標となる血糖値に合わせて、1日決められた回数、血糖値を自己測定し、その結果を見ながら投与量を調節します。
4.持効型溶解インスリンは、インスリンの基礎分泌を補うことを目的とした製剤です。作用時間が長く、インスリン濃度のピークが小さいため、低血糖を起こしにくいという特徴があります。血糖値が100mg/dL以下のときでも食事ができれば注射可能な場合もあります。具体的な血糖値をもって、担当医に相談して指示に従います。決して自己判断で中止しないことが重要です。
5.インスリンは皮下注射で投与します。皮下注射する薬剤はゆっくり吸収させ、効果を長続きさせたいため、もみません。もむと吸収が早まるため、インスリンの場合は低血糖を起こす可能性があります。

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