看護師の過去問
第106回
午前 問48
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問題
看護師国家試験 第106回 午前 問48 (訂正依頼・報告はこちら)
術中の仰臥位の保持によって発生することがある腕神経叢麻痺( brachial plexus palsy )の原因はどれか。
- 上腕の持続的圧迫
- 前腕の回外の持続
- 肘関節の持続的圧迫
- 上肢の90度以上の外転
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この過去問の解説 (5件)
01
1 . 上腕の持続的圧迫
×不正解
腕枕をしたり、腕を伸ばして頭を乗せた状態でうたた寝した時に起こるのが橈骨神経麻痺です。
橈骨神経が上腕の中央部で圧迫されると下垂手(drop hand)、肘関節の屈側で圧迫されると下垂指(drop finger)になります。
2 . 前腕の回外の持続
×不正解
前腕の手術中の良肢位は回内回外中間位です。
回外(親指を外に回す=手のひらが上)の持続により橈骨神経麻痺が起こります。下垂指(drop finger)になるのが特徴です。
3 . 肘関節の持続的圧迫
×不正解
肘関節の手術中良肢位は0度or軽度屈曲位ですが、体位により90度以内になるようにします。
肘関節には尺骨神経が通っており、傷害されると細かい動きが上手くできなくなります。
尺骨神経麻痺では、母指以外の手内筋の筋萎縮と鉤爪変形(鷲手変形)が特徴です。
4 . 上肢の90度以上の外転
○正解
肩関節の手術中の良肢位は側方拳上位、0~90度外転です。長時間の固定により腕神経叢麻痺の原因となります。
腕神経叢麻痺の症状としては、肩の挙上と肘屈曲ができない、肩から上肢全体が全く動かない、外傷後徐々に軽快する、全く回復しないなど様々です。
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02
✕1.→上腕が持続的に圧迫されると、橈骨神経麻痺が生じ、下垂手となることがあります。
✕2.→前腕の回外(腕を水平に保ち、掌を外側に向ける動作)を持続すると、後骨間神経麻痺(橈骨神経の分枝のひとつ)が生じ、下垂指になることがあります。
✕3.→肘関節の持続的圧迫は尺骨神経麻痺を生じ、鷲手となることがあります。
〇4.→胸部外科手術などで、上肢を過度に外転させると腕神経叢麻痺を引き起こす原因となります。予防のため、術中、上肢は支持手台にのせて90度未満の角度に外転させるようにします。
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03
手術を受ける患者は、麻酔薬や筋弛緩薬などによって疼痛や、筋緊張などの生理的な防御反応がなくなります。全身麻酔の手術では患者は苦痛を訴えることもできないため、しばしば神経系・呼吸器系・循環器系に不測の障害をまねくことがあります。
神経系に及ぼす影響は、末梢神経が牽引や圧迫によって障害されることで起こります。走行の長い、体表に近い部位を走る神経が障害されやすく、30~40分の体位固定でも神経麻痺は起こりえます。
仰臥位で上肢が高度の外転(下肢や上肢を体の正中線から遠ざける動き。腕を真横に挙げていく動き)・外旋(長軸に対して、骨を外向きにねじる動き)・回外(腕を外側に回す動き)で側方に固定されると、腕神経叢が鎖骨・小胸筋・上腕骨頭のところで強く牽引されて腕神経叢麻痺がおこります。側方に出した上肢と反対側に頭部を曲げると、牽引を助長することになります。
全身管理上、手を横に出したほうが都合が良いですが、横に出すときは90°以上には外転しないように注意します。
1.上腕の持続的圧迫は、橈骨神経麻痺の原因となります。手指の伸展障害や
母指の外転障害、手関節背屈障害、母指側手背~上肢背面の障害などの症
状があります。
2.前腕の回外の持続は、後骨間神経麻痺の原因となります。
3.肘関節の持続的圧迫は、尺骨神経麻痺の原因となります。最も頻度が高
く、小指や環指外側の知覚障害(しびれ)と掌屈力、手指内外転(指間の
開閉)、細かい指の動きが出来なくなる、などの症状があります。
予後は非常に悪く、全く回復が認められないこともあります。
4.上肢の90°以上の外転は上記にあるように、腕神経叢麻痺の原因となりま
す。頻度は尺骨神経麻痺に次いで多く、予後は良いです。
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04
×1.上腕の持続的圧迫は橈骨神経麻痺を引き起こす原因となります。別名「腕枕症候群」などともいい、うたた寝などで腕枕をしたまま寝たりするとみられることがあります。
×2.前腕の回外の持続は後骨間神経麻痺を引き起こす原因となります。机に伏せて寝た状態で、肘関節が頭によって圧迫されて、障害される場合もあります。
×3.肘関節の持続的圧迫は尺骨神経麻痺を引き起こす原因となります。机の上で長時間肘をついた姿勢のままでいると、手のしびれが生じることがあります。
○4.上肢の90度以上の外転は腕神経叢麻痺を引き起こす原因となります。万歳のポーズをずっととっていたり、リュックを背負った状態が長いと腕がしびれてくる状態です。
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05
腕神経叢は首にある頚椎から出ている第5頚神経から第8頚神経、それに加え第1胸神経から形成されています。
その神経根が脊柱管から出て行き、腋下に到達するまでの間に様々な神経をまとめ上げ、束となり、末端は上肢部分の正中・尺骨・橈骨・筋や皮膚部分の神経となります。
1:×
上腕の持続的圧迫は橈骨神経麻痺の原因となるものです。
特に腕枕などで上腕骨後面を走る橈骨神経を圧迫すると、指や手首がうまく伸ばせない下垂手が生じます。
俗にハネムーン症候群と呼ばれる状態です。
2:×
回内・回外は肘を伸ばした状態で手のひらを天に向けたり、床に向けたりする動きです。
この動きの持続は後骨間神経麻痺の要因となります。
後骨間神経は橈骨神経の枝の一つで、橈骨と尺骨の間を通って回外筋の中を通り、指の背側周囲を受け持ちます。
回外状態を持続させることで、神経が貫通している回外筋の緊張状態が続き、神経に麻痺が起こり、指のみの運動障害である下垂指が生じます。
3:×
肘関節の持続的圧迫は尺骨神経麻痺の原因となります。
尺骨神経は腋窩から肘頭を通り、第4指と第5指の掌側に達する神経で、その部分に麻痺が生じると、中央の2本が伸びにくくなる鷲手となります。
4:○
外転とは、体幹の中心から外方向へ離されていく動きのことです。
つまり肘を伸ばした状態で、手首を肩と同じ高さへ挙上するということです。
この動きにより頸部〜肩部分を通る神経の束のいくつかに圧迫、もしくは損傷が起き、神経の麻痺や運動障害が引き起こされます。
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