看護師の過去問
第106回
午前 問49

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問題

看護師国家試験 第106回 午前 問49 (訂正依頼・報告はこちら)

点滴静脈内注射によって抗癌薬を投与している患者の看護で適切なのはどれか。
  • 悪心は薬で緩和する。
  • 留置針は原則として手背に挿入する。
  • 血管痛がある場合は直ちに留置針を差し替える。
  • 2回目以降の投与では過敏症の症状の確認は必要ない。

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この過去問の解説 (5件)

01

1 . 悪心は薬で緩和する。
○正解
抗がん剤による副作用の一つが悪心です。
化学療法や分子標的薬による抗がん剤によって脳の嘔吐中枢が刺激を受けることが原因です。
抗がん剤投与前に制吐剤を使用することで予防や症状の軽減が出来ます。よって、正解です。

2 . 留置針は原則として手背に挿入する。
×不正解
抗がん剤が血管外漏出してしまうことで局所壊死や炎症を起こす可能性があります。
留置針は関節の動きがない場所が優先されます。場所としては前腕をが第一選択で手背や肘関節周囲の静脈は避ける必要があります。よって、不正解です。

3 . 血管痛がある場合は直ちに留置針を差し替える。
×不正解
抗がん剤の薬剤によってはpHが低いことにより投与時に血管壁が酸にさらされたり、薬剤による血管内膜刺激により静脈炎を発症しやすくなり、血管痛や硬結などの症状を起こしやすい状態になります。
しかし、ホットパックなどによる温罨法を用いる事で血管痛が緩和することもあります。
また、留置針の固定には問題がないか、血管外漏出はしていないかの観察が必要になります。よって、不正解です。


4 . 2回目以降の投与では過敏症の症状の確認は必要ない。
×不正解
抗がん剤は初回で過敏症が出る事もありますが、2回目以降でも出る事があります。
また抗がん剤に限らず、アレルギーを起こす可能性のあるものは2回目以降の曝露で反応が起こるまでの時間が短くなるので、開始後しばらく観察することが看護上大切になってきます。よって、不正解です。

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02

1.抗がん剤の副作用でよく見られるのは、悪心・嘔吐です。
  悪心・嘔吐の一番の治療は「予防」で、処方された制吐剤の確実な内服を
  行うことが大切です。そして、必要であれば制吐剤内服期間の延長や症
  状、生活に合わせた屯用の制吐剤の内服方法の調整を行います。
  また内服だけではなく、点滴として制吐剤の投与を行うこともあります。

2.太くまっすぐな、弾力のある血管を選びます。手背や関節部位は体動の影
  響を受けやすく、固定が緩みやがて針先が動いて、抗がん剤の血管外漏出
  につながる恐れがあることから、穿刺する部位としては避けましょう。
  また、血管外漏出のリスクが高まるため、24時間以上経過した留置針の使
  用は推奨できないとされています。

3.血管痛も抗がん剤の点滴静脈内注射時の代表的な副作用です。これは、抗
  がん剤の浸透圧が高く、酸またはアルカリに傾いているから、さらに抗が
  ん剤自体に刺激が強く、血管の細胞にダメージを与えているためと考えら
  れています。
  刺入部だけでなく、その周囲の激しい痛みや灼熱感、腫脹などが見られる
  場合は抗がん剤の血管外漏出が考えられるため、すぐに滴下を中止し医師
  に指示を仰ぐ必要があります。そのような場合ではなければ、温罨法を実
  施しながら抗がん剤投与を継続すると良いでしょう。

4.抗がん剤に限らず、あらゆる薬剤にも言えることですが、何度か投与を重
  ねた薬剤に対してもアレルギーを起こすことがあります。
  抗がん剤の種類によっては、回数を重ねるとアレルギーを認める症例もあ
  ることから、毎回抗がん剤投与時にはアレルギーの有無を観察する必要が
  あります。

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03

正解は 1 です

○1 . 悪心は薬で緩和する。
悪心は抗がん剤の代表的な副作用であり、制吐剤の使用はスタンダードな治療方針です。

×2 . 留置針は原則として手背に挿入する。
抗がん剤は血管外漏出をした際には重篤な皮膚トラブルを発症するリスクが高いため、太くまっすぐな血管を選択する必要があります。

×3 . 血管痛がある場合は直ちに留置針を差し替える。
抗がん剤は血管刺激性の高い内容のものもあるため、逆血や刺入部の観察をして問題がない場合は、温めながら投与を続行してもよいでしょう。

×4 . 2回目以降の投与では過敏症の症状の確認は必要ない。
薬剤アレルギーは複数回使用している薬剤でも発症するリスクは十分あり、抗がん剤での例外ではないため、毎回確認する必要があります。

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04

正解は 1 です

1:○
抗がん剤の副作用でよく見られるのが悪心(胸のムカつき)や嘔吐です。
これは抗がん剤の強い作用により、消化管の粘膜も影響を受けるからであり、ある意味抗がん剤が体内にきちんと影響を及ぼしている証拠とも言えます。
かといって、この副作用をそのままにしておくと食欲不振の原因となり、治療を続けるための体力も低下しますし、抗がん剤を少なくするということも不可能です。
そのため、こういった消化管症状には内服薬や薬剤の事前投与などにより、副作用の軽減に努めます。

2:×
手背部分は体動や日常動作による動きが多く、手首の角度などにより滴下に影響を及ぼす危険性が高い部位です。
数時間、時には何日間か連続で行う抗がん剤の点滴の部位には向いていないため、もっと厳重に固定でき、体動や腕の角度により滴下に影響を及ぼすことのない前腕のまっすぐした部分を選択すべきです。

3:×
血管痛も抗がん剤の治療で多く見られる副作用です。
これは抗がん剤自体に細胞への攻撃性があり、血管壁が障害を受けてしまうためであり、薬剤の種類により強度は異なりますが、どうしても起こり得る副作用です。
しかし、だからと言って放置すると静脈炎や薬剤の血管外漏出などの危険性もあるため、まずは薬液の滴下を止めてしばらく様子を観察し、医師に報告し指示を仰ぎ、差し替えは必要と判断された際のみに行います。

4:×
薬剤に対する過敏症(アレルギー)反応は確かに初回の投与日に起こりやすいですが、それ以降は全く起こらないというわけではありません。
そのため、症状の観察・確認は必ず毎回行います。

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05

→正解は1.です。

〇1.→悪心は抗癌剤に多く見られる副作用ですが、抗癌剤の点滴と合わせて予防的に制吐剤を投与したり、内服することで症状緩和が可能です。

✕2.→一回の治療に数時間かかる抗癌剤の点滴療法では、血管外漏出予防のため、手背に留置針を挿入することはなるべく避けるようにします。関節の動きなどの制限のない前腕部の太い静脈を選び留置します。

✕3.→薬剤により血管痛が起こりやすい場合もあり、その場合は血管を温めながら投与を行います。また、留置針が血管壁に当たっていたり、血管の走行に合わせた固定になっていない場合にも、痛みが生じることがあるため、まずは固定を確認します。

✕4.→抗癌剤では複数回投与後でもアレルギー反応が起こる場合もあるため、毎回症状の観察と確認が必要です。

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