看護師の過去問
第106回
午前 問50
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問題
看護師国家試験 第106回 午前 問50 (訂正依頼・報告はこちら)
Aさん(60歳、男性)は、慢性心不全( chronic heart failure )の終末期で、積極的な治療を行わないことを希望している。現在、入院中で、リザーバーマスク10L/分で酸素を吸入し、水分制限がある。時々息切れがみられるが、Aさんは面会に来た長女との会話を楽しみにしている。バイタルサインは呼吸数28/分、脈拍110/分、血圧76/50mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉88%であった。
このときの対応で最も適切なのはどれか。
このときの対応で最も適切なのはどれか。
- 面会は制限しない。
- 水分制限を厳しくする。
- Aさんに仰臥位を維持してもらう。
- 面会中は酸素マスクを鼻腔カニューラに変更する。
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この過去問の解説 (5件)
01
1 . 面会は制限しない。は正解です。
終末期であり延命治療を希望していないこと、長女との面会を楽しみにしているとの記載から、最も適した対応であると考えられる。
2 . 水分制限を厳しくする。は不正解です。
延命治療は希望しない中で、水分制限は行われており、この対応はAさんの現状況にはふさわしくありません。
3 . Aさんに仰臥位を維持してもらう。は不正解です。
心不全の患者において仰臥位になることで、肺全体に水分貯留しさらに呼吸困難感が増す恐れがあります。ファーラー位にすることにより、肺に少し空間が出来呼吸しやすくなります。
4 . 面会中は酸素マスクを鼻腔カニューラに変更する。は不正解です。
リザーバーマスクで酸素10L/分投与していても、SPO2が88%であることから、さらに簡易な経鼻カニューレへの変更は難しいと考えられる。
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02
慢性心不全(chronic heart failure)
心不全は、心臓のポンプ機能が低下し有効な心拍出が行えなくなった状態です。
慢性心不全は、日常的に心臓の機能が低下して動悸や息切れの症状が現れることがあります。
Aさん自身が、長女との会話を楽しみにしており、息切れがみられるものの会話も可能であるため、終末期のAさんの希望を優先して面会は制限しません。
2.現状で水分制限を行っており、呼吸数やSpo2も著しい変化はなく、家族との会話も可能であることから、今以上に制限する必要はないと考えられます。
3.心不全の状態では、有効な心拍出が行えないため、息切れがあり酸素投与も行っています。有効な換気量を維持するためにも、体位はファーラー位が望ましいです。仰臥位は、呼吸困難を増悪させる可能性があります。
4.リザーバーマスクは、60%以上の酸素濃度が必要な場合に使用します。リザーバーバック内に貯めた酸素を吸気時に吸入して高濃度の酸素投与を行います。鼻腔カニューラでは、酸素濃度40%までなので、リザーバーマスクと同じ酸素濃度は維持できません。
呼吸困難が増悪する可能性があります。
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03
○1 . 面会は制限しない。
全身状態は良いとはいえませんが、すでに終末期として延命治療を希望されていないことが確認できています。本人の楽しみとしていることを制限する必要はないでしょう。
×2 . 水分制限を厳しくする。
すでに水分制限はされており、これ以上の水分制限に病状を改善させるメリットがないため不要です。
×3 . Aさんに仰臥位を維持してもらう。
心不全で呼吸数も上昇しており、Spo2値も低下していることから胸水の貯留が考えられます。胸水貯留時にはやや上体を起こしたファーラー位のほうが少しでも胸郭を広げて呼吸面積を広げることができます。
×4 . 面会中は酸素マスクを鼻腔カニューラに変更する。
酸素マスクよりも鼻腔カニューラの方が見た目は良いですが、リザーバーマスクで酸素10L吸入してもSpo2値が90%以下であることを考えると、酸素供給が間に合わず、呼吸状態を悪化させてしまう可能性があるため難しいでしょう。
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04
1:○
すでに終末期であり、積極な治療を行っていないAさんのQOLを上げるためには家族と接する時間を増やし、できる限りのコミュニケーションをとることが重要と思われます。
よって面会の制限はせず、ご本人の病状と苦痛、バイタルサインの状況を見ながら、短時間でもご家族との面会の時間は確保すべきでしょう。
2:×
すでに水分制限は行われており、積極的な治療行為を行わないと決められた中でさらなる制限を行うのは、ただAさんに苦痛を与えるだけです。
3:×
通常の状態であっても、仰臥位は内臓により横隔膜が圧迫され、胸郭を広げるのに多少の労力を要します。
心不全の終末期であるAさんは労作性呼吸困難がある上、肺の鬱血や胸水等により、通常時よりも胸郭が圧迫されているので、少しでもその負担を軽減するために頭部を挙上したファウラー位を勧めることが望ましいでしょう。
4:×
鼻腔カニューラの特性を有効に活用するためには口を閉じ、常に鼻呼吸でいる必要があります。
面会中はおそらくですが会話をし、頻回に口を開くこととなるでしょう。そうすると現時点でさえ、低いSpO2がさらに低下する危険性があります。
会話中も有効に酸素を取り入れるためには、多少Aさんの声がこもってしまい聞こえにくくなるリスクを負ってでも、口呼吸のままでも酸素を吸引することができる酸素マスクを使う必要があります。
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05
〇1.→面会により負荷がかかることで、若干の状態変化の可能性はありますが、終末期で積極的な治療を希望していず、長女との面会が楽しみであるため、面会制限の必要はないと考えます。
✕2.→すでに水分は制限されており、これ以上の制限は必要ないと考えられます。
✕3.→心不全の終末期であり、肺にも水が溜まり呼吸状態が悪化していると考えられます。そのため、仰臥位よりも上体を起こしたファーラ―位などが安楽です。
✕4.→リザーバーマスクで酸素10L/分を使用し、SPO2が88%であることから、鼻腔カニューラへの変更は難しい(SPO2が低下する)と考えます。
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