皮膚皮下組織などの開放性あるいは表在性損傷のことを一般的に創傷といいます。この創傷の「創」とは皮膚の連続性が断たれた状態を、「傷」とは皮膚の連続性は保たれた状態でその下、皮下での組織創傷を言います。この「創」の状態を開放性創傷、「傷」の状態を非開放性創傷と言います。
1.切創は開放性創傷です。包丁やナイフなどの鋭利な刃物によって、皮膚が分断状に損傷されたもので、周囲の組織に挫滅(外部からの強い衝撃、圧迫を受けて内部の組織が破壊されること)を伴わないのが特徴です。
2.打撲傷は非開放性創傷です。いわゆる打ち身のことで、何らかの強い力で皮膚を圧迫することで起こります。1.切創とは違い、周囲に強い挫滅を伴います。
3.擦過傷は開放性創傷です。摩擦などの外力によって、皮膚表層が削り取られた創、つまり皮膚が剥がれた創のことを言います。
4.皮下出血は非開放性創傷です。強い外力が加わることで、皮下組織にある血管が切れ、出血することを言います。体外に出血することはなく、あくまで皮下に留まります。外傷性のもの以外に、血液の凝固系に異常がある場合も皮下出血を伴う場合があります。
5.内臓創傷は非開放性創傷です。腹部に強い外力が加わることで、膵臓や肝臓など腹部の臓器が損傷する、または破裂することを言います。自動車での交通事故で腹部に強い力が加わる、自転車で転倒して腹部に強い力が加わる、などの事例がよく挙げられます。