看護師の過去問
第107回
午前 問53

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問題

看護師国家試験 第107回 午前 問53 (訂正依頼・報告はこちら)

Aちゃん( 生後4か月、女児 )は、嘔吐とけいれんのため病院を受診した。受診時、Aちゃんは傾眠状態で、顔色不良と眼球上転がみられたため入院となった。受診時の体温は36.8℃であった。四肢は硬直し、数か所の内出血斑があった。大泉門は平坦であったが、次第に膨隆を認めるようになった。このときの頭部CTを下に示す。
Aちゃんの所見として考えられるのはどれか。
問題文の画像
  • 急性脳症( acute encephalopathy )
  • てんかん( epilepsy )
  • 硬膜下血腫( subdural hematoma )
  • 細菌性髄膜炎( bacterial meningitis )

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この過去問の解説 (4件)

01

正解は3です。

CT検査は、外傷・脳出血・脳血管の異常に対してメリットのある検査です。(ちなみに、MRIもCTと同様、身体の断層撮影を行うことに優れています。MRIでは骨が映し出されないため、骨の異常はCTが優れています。)


1 . 急性脳症は×
脳にまでも感染してしまう病気です。発熱から始まり、痙攣ないし意識障害を発生させます。CT検査では脳萎縮が見られます。画像からは脳萎縮の判断はできません。


2 . てんかんは×
脳の神経細胞に突然発生する興奮により、痙攣、意識消失、手足が突っ張り体が硬直したりします。CTでは判断が出来ず、脳波を測定することで診断できます。


3 . 硬膜下血腫は〇
CT画像にて、左側に見える白い三日月が血腫です。これが硬膜下血腫の一つの特徴です。血腫により脳圧が上がり、脳室が圧迫されることにより脳室が見られません。


4 . 細菌性髄膜炎は×
細菌によるものなので発熱が見られるはずですが、この症状が見られないためこれは不適切です。

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02

正解3.硬膜下血腫(subdural hematoma)


硬膜下血腫

硬膜の内側で脳の表面に出血が起こり、硬膜の直下で脳との間に血液が溜まった状態です。溜まった血液が固まり、脳を圧迫します。
意識障害が徐々に起こります。
診断は、頭部CTで行い、脳表を被う三日月形の高吸収域としてみられます。


1.急性脳症は、通常はウイルス感染症をきっかけに起こります。発熱、嘔吐、下痢、意識障害、けいれんなどの症状があります。CTやMRIで脳の病変はありません。従って、発熱がみられず頭部CTに所見があるため、急性脳症は考えにくいです。


2.てんかんは、突然意識を失って反応がなくなるてんかん発作を起こす疾患です。
原因や症状は様々です。脳波にてんかん性異常波がみられます。MRIで脳腫瘍の有無を確認します。
今回のCTは、脳腫瘍の所見はありません。


4.細菌性髄膜炎は、脳や脊髄を覆っている髄膜に起こる炎症で、細菌の感染が原因で起こります。
発熱・頭痛・嘔吐・項部硬直・意識障害・けいれんなどの症状があります。
確定診断は、腰椎穿刺を行い髄液の検査を行います。発熱もなく、頭部CTでは脳に病変がみられるので、細菌性髄膜炎ではありません。

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03

正解は3です。
このCT画像では、画像右側の頭蓋骨に沿って三日月型の高吸収像が見られるため、硬膜下血腫と診断されます。
小児の硬膜下血腫では、脳圧の上昇に伴い、大泉門が膨隆します。

急性脳症やてんかんでは、痙攣の症状があります。
また、細菌性髄膜炎では発熱を伴いますが、Aちゃんは発熱していないため、可能性は低いです。

小児の硬膜下血腫の場合は転倒や虐待が疑われます。

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04

解答は③です。

CT上向かって右側(解剖学的には左脳)の頭蓋骨に沿って白い影が見えます。これが教科書でいう「三日月形の高吸収域」です。これが血種のサインです。

また、血種が押して画像左側にはある「側脳室」が右側にはありません。出血で押されているためです。

選択肢にある脳症、髄膜炎、てんかんでは出血を疑うような所見はほとんど見られません。

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