看護師の過去問
第107回
午前 問71
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問題
看護師国家試験 第107回 午前 問71 (訂正依頼・報告はこちら)
胸腺腫( thymoma )に合併する疾患で多くみられるのはどれか。
- Parkinson< パーキンソン >病( Parkinson disease )
- 筋ジストロフィー( muscular dystrophy )
- 重症筋無力症( myasthenia gravis )
- 多発性硬化症( multiple sclerosis )
- 多発性筋炎( polymyositis )
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この過去問の解説 (4件)
01
胸腺は、胸骨裏面の前縦隔に位置する免疫担当臓器で、Tリンパ球と
呼ばれる白血球を作っています。成長するにつれて次第に萎縮し、成人に
なると退化しますが、この退化した細胞から発生する腫瘍が「胸腺腫」
です。初期は無症状であることも多いですが、進行すると咳や胸痛、
呼吸困難などを伴います。自己免疫疾患を合併していることも多く、
10~50%の患者が「重症筋無力症」を合併しており、筋力低下や貧血
症状などがみられます。
×1. ドパミンは、脳の奥の黒質にあるドパミン神経で作られ、運動の
調整を指令している神経伝達物質です。このドパミン神経が減少
し、ドパミンが十分に作られないことで、身体の動きに障害が出る
のがParkinson< パーキンソン >病の特徴です。
精神症状や自律神経障害を合併することが多いですが、胸腺腫とは
関連しません。
×2. 筋ジストロフィーとは、筋肉の機能に不可欠なタンパク質の
遺伝子に変異が生じおきる疾患です。筋肉が壊れやすく、再生
されにくいため、運動機能の低下をはじめ、拘縮や変形、心筋
障害、嚥下機能障害、消化管症状、内分泌代謝異常、難聴など
様々な機能障害や合併症を伴いますが、胸腺腫とは関連しません。
×4. 神経は髄鞘というもので被われています。この髄鞘が壊れ、中の
神経がむき出しになる病気が脱髄疾患です。この脱髄が多数でき、
再発を繰り返すのが多発性硬化症です。しびれ、運動機能障害、
精神障害、視力低下などの合併症がみられますが、胸腺腫とは
関連しません。
×5. 多発性筋炎とは、手足など身体の筋肉に原因不明の炎症が生じ、
それに伴い力が入らなくなったり、筋肉痛を起こしたりする疾患
です。多発性関節炎や間質性肺炎、寒冷時に手指が白くなる
レイノー現象、不整脈や心不全、胃癌などの悪性腫瘍を合併する
こともありますが、胸腺腫とは関連しません。
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02
胸腺腫は、リンパ球を作っている胸腺に生じる腫瘍です。
胸腺腫は、種々の自己免疫性疾患を合併することが知られており、22〜25%程度に重症筋無力症を合併することが分かっています。
1. →パーキンソン病は、大脳の下にある中脳の黒質ドーパミン神経細胞が減少し、振戦、筋強剛、動作緩慢、姿勢保持障害などの運動症状を生じる疾患です。
2. →筋ジストロフィーは、骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患の総称です。症状は、病型によって異なりますが、手足の筋肉の萎縮による関節の運動障害が主にみられます。呼吸機能障害、嚥下機能障害、心筋障害、骨代謝異常、甲状腺機能障害、難聴など、様々な合併症を引き起こします。
4. →多発性硬化症は、中枢神経系の脱髄疾患の一つです。症状はどこに病変が生じるかによって異なります。
5. →多発性筋炎は、膠原病の一つであり、筋肉に炎症が生じることで筋肉が破壊され、力が入りにくくなり、筋肉を動かしたときに痛みを感じる疾患です。多発性筋炎の患者は間質性肺炎を併発しやすいです。
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03
質問にあげられている疾患は全て難病なので、難病同士で合併しやすい組み合わせを覚えておくことが重要です。胸腺腫に代表的な合併症は重症筋無力症なので、3が正解になります。
1、パーキンソン病は、原因がはっきりとは分かっていませんが、脳に異常があることで発症すると言われています。日本には約15万人の患者さんがいるとされており、高齢者に多く見られます。しかし、若く発症する方もおり、発症後には体の動きの障害があらわれて、歩く速度が遅くなるので、生活に支障をきたす恐れがあります。
2、筋ジストロフィーは遺伝性疾患であり、骨格筋の壊死・再生を主病変とする疾患の総称なので、再分化するといくつかの種類がありますが、どれも筋肉の機能に不可欠なタンパク質の遺伝子に変異が生じることが特徴です。
4、多発性硬化症はMSと呼ばれており、脳や脊髄、視神経のあちこちに病巣ができることが特徴です。そのため、現れる症状は人によって様々です。症状が出る再発と症状が治まる寛解を繰り返します。
5、多発性筋炎は筋肉に炎症が起こることで、正常に筋肉を使うことが難しくなる病気です。力が入りにくい、疲れやすいと言った特徴的な症状があります。また手指の関節背側の表面にがさがさとして盛り上がった紅斑ができることもあります。
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04
1.(×) パーキンソン病は、脳からの運動の指令がうまく調節できなくなり、身体の動きに障害が現れる疾患です。代表的な合併症としては、抗パーキンソン病薬の服用に伴う、副作用の悪心、幻覚、妄想や、薬の中断や全身状態の悪化に伴う、高熱や意識障害などが生じる悪性症候群などがあります。また、嚥下機能の低下による誤嚥性肺炎も併発しやすい疾患です。
2.(×) 筋ジストロフィーは、筋肉が壊れやすく再生されにくいため、進行性の筋力低下が現れる遺伝性の疾患です。代表的な合併症としては、心筋障害による心不全、呼吸筋障害による呼吸不全があります。
3.(○) 重症筋無力症は、神経から筋肉への指令が伝わらなくなり、動くと筋肉がすぐに疲れて、力が入らなくなる自己免疫疾患です。代表的な合併症は胸腺腫です。
4.(×) 多発性硬化症は、脳や脊髄などの中枢神経が「脱髄」によって障害されることによって、様々な症状が現れる疾患です。簡単に言うと「脱髄」とは、神経を電線に例えると、電線のカバーが剥がれ、うまく電気が送れない状態のことをいいます。病巣ができた部位によって、症状が異なります。代表的な合併症としては、肺炎などの感染症やうつ状態などがあげられます。
5.(×) 多発性筋炎は、筋肉の炎症と変性が生じ、筋力低下や筋肉痛を主な症状とする疾患です。代表的な合併症としては、間質性肺炎、心筋炎、悪性腫瘍などがあります。
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