看護師の過去問
第107回
午前 問86

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問題

看護師国家試験 第107回 午前 問86 (訂正依頼・報告はこちら)

ヒト免疫不全ウイルス< HIV >感染症( human immunodeficiency virus infection )について適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 本人より先に家族に病名を告知する。
  • 国内では異性間性的接触による感染が最も多い。
  • 適切な対応によって母子感染率を下げることができる。
  • 性行為の際には必ずコンドームを使用するよう指導する。
  • HIVに感染していれば後天性免疫不全症候群< AIDS >( acquired immunodeficiency syndrome )と診断できる。

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この過去問の解説 (4件)

01

正解は 3と4 です。

後天性免疫不全症候群(AIDS)の診断を行う時には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染しているかどうかをチェックします。しかし、ウイルスに感染をしているだけではAIDSを発症しているとは言いません。ウイルス感染に加え、エイズ指標疾患を発症してから、AIDSだと確定診断がつきます。

HIV感染の一因である母子感染は出産の先に産道感染、産後の母乳を介して起こります。そのため、どういった感染経路で母子感染を起こすのかを母親に指導し、感染経路を絶つ援助を行えば、母子感染のリスクを大きく軽減させることができます。抗HIV薬を使用し、出産方法は帝王切開を選びます。また母乳ではなく、粉ミルクで育てるよう指導しましょう。
性行為によってウイルスが体内に入ることも感染源のひとつです。コンドームをすれば精液と粘膜、皮膚との接触が避けられるので、感染防止に役立ちます。

1、この病気は患者さま本人が感染防止に努める必要があります。そのため、家族ではなく本人に告知します。

2、感染経路のひとつである性行為の中でも同性間性的接触が最も多くなっています。これは同性間性的接触の際に腸管粘膜を傷つけることが多いためで、傷からウイルスが侵入しやすくなります。

5、エイズの指標疾患には真菌症、原虫感染症、ウイルス感染症などがあります。これらの疾患を発症していない時にはHIV感染者ということになりますが、まだAIDSとは診断できません。

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02

正解:3. 適切な対応によって母子感染率を下げることができる。
   4. 性行為の際には必ずコンドームを使用するよう指導する。

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、リンパ球などに感染すると、免疫力を低下させてしまうウイルスです。
それにより、細菌、真菌やウイルス感染症(日和見感染)や悪性腫瘍が起こった状態を、後天性免疫不全症候群(AIDS)といいます。

<感染経路>
①性行為による感染
②血液を介した感染
③母子感染
 ※予め母親に抗HIV薬を内服してもらい、母乳を与えない等の対策をとることで、児への感染を抑えることができます。

<治療>
抗HIV薬によってウイルスの増殖を抑え、免疫力を維持させてAIDS発症を防ぐ治療が行われます。
完治することはなく、不特定の人との性交渉は避け、性的接触の際にはコンドームを正しく使用することが必要です。

1. →告知は、プライバシーに関わることであるため、本人に第一に行います。

2. →日本国内では、2015年以降はHIV、AIDS共にやや減少傾向にあります。
感染経路は、HIV、AIDSともに同性間性的接触が半数以上を占めて経過しています。
2019年の報告では、HIV感染者のうち、同性間性的接触が72.1%、異性間性的接触が15.1%となっています。

5. →HIVに感染していても、数年〜10年以上、無症状で経過し(無症候期)、その後にAIDSを発症する人もいます。

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03

正解は 3と4 です。

ヒト免疫不全ウイルス< HIV >感染症とは、
免疫細胞のTリンパ球やマクロファージにHIVが感染して起こる疾患です。
HIVが増殖すると免疫細胞が減少し、易感染状態になることで、
普段は感染しない病原体にも感染しやすくなり、様々な病気を発症します。この病気の状態を後天性免疫不全症候群< AIDS >といい、
発症した時点で診断されます。

主な感染経路は、以下の3つです。
 ①性的感染
  精液、膣分泌液に含まれるHIVが侵入することで感染するため、
  コンドームを正しく使用することで、感染率減少につながります。
  腸管粘膜は膣・口腔の粘膜より傷つきやすいため、
  男性同性間の性的接触による感染の方が多くみられます。
 ②血液感染
  麻薬など注射針の共用・医療現場による針刺し事故などで血液を介し
  感染します。
 ③母子感染
  出産時の産道感染・母乳による感染・胎内感染があげられます。
  妊娠中の抗HIV療法・帝王切開術・術中の抗HIV点滴・
  出生児への抗HIV薬予防投与・母乳ではなくミルクの選択などの
  適切な予防対策を実施することで、感染率は0.5%未満まで低下
  させることが可能となっています。

HIV抗体検査は、人権保護の観点から本人の同意を得て行うこと
とされています。
また、性的接触や血液曝露などによる二次感染が起きないよう、
本人へ告知し、指導を行う必要があります。

以上より、正解は3.と4.になります。

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04

ヒト免疫不全ウイルス< HIV >に関する問題は、国試の頻出問題です。特に以下の点は抑えておきたい知識です。これは覚えるしかありません。

①HIVとは、免疫細胞(Tリンパ球やマクロファージ)などに感染するウイルス。
②HIVが増殖した結果、免疫細胞が減って、普段は感染しない病原体にも感染しやすくなり、さまざまな病気を発症する「状態」を「エイズ(AIDS)」という。
③感染は、粘膜(腸管、膣、口腔内など)および血管に達するような皮膚の傷(針刺し事故等)から起こる。よって、主な感染経路は「性的感染」、「血液感染」、「母子感染」。
④抗HIV薬などの内服などによって、感染の危険性を低下させることができる。つまり感染、エイズ発症前の「早期発見」が重要。

以上の点から、正答は「3」と「4」になります。

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