看護師の過去問
第107回
午前 問94
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問題
看護師国家試験 第107回 午前 問94 (訂正依頼・報告はこちら)
Aさん( 55歳、男性 )。胃癌( gastric cancer )のため胃全摘出術を受けた。術中の出血量は300mLで、輸血は行われなかった。既往歴に特記すべきことはない。入院時身長166cm、体重78kg。手術後1日、硬膜外持続鎮痛法が行われているが、Aさんは創部痛が強いため呼吸が浅く、離床はできていない。このときのバイタルサインは、体温37.1℃、呼吸数22/分、脈拍120/分、血圧162/90mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度< SpO2 >93%( 鼻カニューラ2L/分酸素投与下 )。Hb13.8g/dL。尿量60mL/時。意識清明、心音および呼吸音に異常なし。頸静脈怒張なし。下肢に浮腫なし。創部に熱感や発赤を認めない。腹腔ドレーンからは少量の淡血性排液があるが、膿性ではなく、異臭もない。
手術後5日からAさんの食事が開始された。Aさんは食事の後に、めまい、顔面紅潮、動悸、下腹部痛を伴う下痢が出現し、冷汗がみられるようになった。
現状で最も考えられるのはどれか。
手術後5日からAさんの食事が開始された。Aさんは食事の後に、めまい、顔面紅潮、動悸、下腹部痛を伴う下痢が出現し、冷汗がみられるようになった。
現状で最も考えられるのはどれか。
- 術後せん妄
- 乳糖不耐症
- 偽膜性大腸炎(pseudomembranous colitis)
- ダンピング症候群(dumping syndrome)
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この過去問の解説 (3件)
01
胃を切除した後は食べた食物が急速に小腸に流れ込むようになり、ダンピング症候群を起こす危険が大きくなります。ダンピング症候群の症状は食事を食べた後に症状が起こるのが特徴です。
1、術後せん妄は手術の影響で様々な精神症状を起こしてしまう状態です。意識清明と記載があるので、特別な精神症状が起きているとは考えられません。
2、乳糖不耐症は分解酵素のラクターゼが不足して、下痢を起こす病気ですが、胃の手術を受けたAさんが発症する病気ではありません。胃の手術との関連性がないので誤りです。
3、偽膜性大腸炎は抗生物質を治療に用いた時に腸内の最近バランスが乱れることで起こります。Aさんが受けた胃の手術との関連はないので不正解です。
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02
胃切除後は、摂取した食物が急速に小腸に流入するためダンピング症候群が生じやすくなります。
・早期ダンピング症候群
食事中や食後30分以内に、動悸、めまい、冷汗、顔面紅潮、全身倦怠感などが生じます。腹痛、下痢、悪心、嘔吐などの腹部症状も見られることがあります。
・後期ダンピング症候群
食後2〜3時間程度で生じ、食物が腸で吸収され、一時的に高血糖になった後、インスリンが分泌されることで低血糖の状態になります。頭痛や倦怠感、冷汗、めまい、手指のふるえなどが現れます。
1. →術後せん妄は、手術時の薬剤使用などによって生じる精神障害です。Aさんは、意識清明であり、せん妄は生じていません。
2. →乳糖不耐性は、乳糖を体内で適切に消化できない結果、消化不良や下痢などを起こす状態です。胃の手術とは関連はありません。
3. →偽膜性大腸炎は、抗菌薬の使用などによって、大腸にクロストリディオイデス・ディフィシルが異常に増殖し、大腸粘膜に炎症を起こす疾患です。胃の手術とは関連はありません。
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03
噴門部(胃の入口)を切除した場合は、食べ物が食道に逆流しやすくなる
「逆流性食道炎」、幽門部(胃の出口)を切除した場合は、小腸に一度に
食べ物が流れ込むため起こる「ダンピング症候群(dumping syndrome)」に
注意が必要です。
食後30分以内に、発汗・めまい・脈拍上昇などの全身症状と、
悪心・腹満感・下痢などの消化器症状が出現する早期ダンピング症候群と、
食後2~3時間に、頭痛・発汗・めまい・脈拍上昇・脱力感、ひどい場合は
気を失ってしまうこともある、後期ダンピング症候群があります。
×1. 術後せん妄とは、手術をきっかけにして起こる精神障害で、
術後1~3日後の発生が多いです。高齢者では発生率が高く、
意識の混濁・知覚の障害・睡眠障害などが見られます。
×2. 乳糖不耐症とは、分解酵素のラクターゼが欠乏または活性低下し、
乳糖が分解されず腸管内の浸透圧が上がり、下痢になります。
遺伝子異常による先天性のもの、消化管感染症・自己免疫疾患・
抗生物質などによる後天性のものがありますが、
胃癌や胃全摘出術に直接関連して起こることはありません。
×3. 偽膜性大腸炎(pseudomembranous colitis)とは、抗生物質の
使用をきっかけに腸内細菌が乱れ、クロストリジウム・
ディフィシル(Clostridium difficile)などの菌毒素によって
起こる疾患です。胃癌や胃全摘出術に直接関連して起こることは
ありません。
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