看護師の過去問
第107回
午前 問103

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問題

看護師国家試験 第107回 午前 問103 (訂正依頼・報告はこちら)

在胎38週4日、骨盤位のため予定帝王切開術で出生した男児。看護師はインファントラジアントウォーマー下で児の全身を観察した。羊水混濁はなかった。
身体所見:身長49.0cm、体重2,900g、頭囲33.0cm、胸囲32.0cm。直腸温37.8℃、呼吸数55/分、心拍数150/分。大泉門は平坦、骨重積なし、産瘤なし、頭血腫なし。胎脂は腋窩にあり。筋緊張は強く、四肢は屈曲位。皮膚は厚い。うぶ毛は背中の1/2にあり。耳介は硬い。精巣は両側ともに完全に下降。外表奇形はなし。
検査所見:Apgar< アプガー >スコアは1分後9点、5分後10点。臍帯動脈血pH7.30。

出生後2時間。児のバイタルサインを確認したところ、直腸温37.5℃、呼吸数75/分、心拍数160/分、経皮的動脈血酸素飽和度< SpO2 >87%であった。心雑音はなし。鼻翼呼吸および呻吟がみられた。四肢末端にチアノーゼあり。
この児の状態で考えられるのはどれか。
  • 胎便吸引症候群< MAS >(meconium aspiration syndrome)
  • 呼吸窮迫症候群< RDS >(respiratory distress syndrome)
  • 心室中隔欠損症< VSD >(ventricular septal defect)
  • 新生児一過性多呼吸< TTN >(transient tachypnea of newborn)

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この過去問の解説 (4件)

01

1.誤りです。
胎便吸引症候群とは、胎児が羊水内に排泄した胎便を自分自身で吸ってしまうことで生じる呼吸障害をさします。
羊水内に胎便がみられますが、母体の羊水は混濁していないため、胎便吸引症候群の可能性は低いと考えられます。

2.誤りです。
呼吸窮迫症候群とは、肺胞サーファクタントの産生不足によって生じる呼吸障害をさします。
サーファクタントは34~36週頃に十分産生されるので、未熟児であればそのリスクが高まります。
児は38週で出生しているため、呼吸窮迫症候群の可能性は低いと考えられます。

3.誤りです。
心室中隔欠損症とは、左右の心室を隔てる壁に穴が空いていることに起因した呼吸障害をさします。
心雑音が聴取されますが、児から心雑音は聴取されていません。
また、大きな欠損孔であっても症状出現は比較的遅いため、生後2時間後での症状出現は他の原因である可能性が高いです。

4.正解です。
新生児一過性多呼吸とは、出生後に肺内の体液吸収が遅れることで生じる一時的な呼吸障害をさします。
多呼吸、鼻腔の膨らみ、呻吟が見られることが多く、児の状態と合致しています。
また、予定帝王切開で出生した児では発症する可能性が高まることから、児の出生状況とも合致しています。
これらのことから、児は新生児一過性多呼吸である可能性が高いと考えられます。

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02

正解は 4 です。

×1. 胎便吸引症候群< MAS >とは、
   胎児が酸素欠乏などのストレスにより排出した胎便が、
   肺に吸い込まれることによって、呼吸障害を起こした状態です。
   ここでは「羊水混濁はなかった」とあり、
   胎便吸引症候群の可能性は低いと考えられます。

×2. 呼吸窮迫症候群< RDS >とは、
   肺胞を膨らます働きを持つ肺サーファクタントが不足しており、
   肺胞が拡張した状態を保てないことで起こる状態で、
   33週未満の早産児に生じることが多いです。
   この男児は「38週」と正期産(妊娠37週〜41週)での出生であり、
   呼吸窮迫症候群の可能性は低いと考えられます。

×3. 心室中隔欠損症< VSD >とは、
   左右の心室間にある心室中隔に穴がある先天性心疾患の1つで、
   心雑音が特徴的所見です。
   この男児は「心雑音はなし」とあり、
   心室中隔欠損症ではないと考えられます。

○4. 新生児一過性多呼吸< TTN >とは、
   出生後、肺に肺胞液が残り、肺の湿った状態が続いて起こる、
   一時的な呼吸困難や血液中の酸素量が低下した状態です。
   陣痛前の計画的帝王切開の場合に多く起こり、
   多呼吸・チアノーゼ・呻吟・陥没呼吸などが特徴的な症状です。
   新生児の呼吸数は40~50/分が正常です。
   この男児は予定帝王切開で特徴的な症状もみられることから、
   新生児一過性多呼吸であると考えられます。

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03

正解は4です

一過性多呼吸の新生児には、呼吸が速くなる、息を吸い込む際に胸壁がくぼむ、呼吸窮迫がみられます。血液中の酸素レベルが低くなった場合は皮膚が青みがかった色(チアノーゼ)になります。

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04

正期産であり、骨盤位のため予定帝王切開になったところから、出生前の児の異常はなかったと考えられます。
また、問題を解くには身体所見、検査所見の正常値・基準を理解しておく必要があります。
問題では、出生直後の身体所見、検査所見に異常はみられません。
出生後2時間の児の状態に注目します。体温は正常値範囲内。呼吸は多呼吸、spo2が低く、鼻翼呼吸・呻吟・四肢末端チノーゼがみられ、呼吸障害が疑われます。
分娩方法が予定帝王切開であったことは注目しておく必要があります。

1.胎便吸引症候群とは、出生前あるいは出生時とその直後などに、肺に胎便を吸い込んだ新生児に呼吸窮迫がみられることをいいます。問題は羊水混濁なしとなっています。

2.呼吸窮迫症候群は、早産児にみられる呼吸疾患で肺サーファクタントという肺胞を覆う物質がつくられない、もしくは不足しているために、肺胞が拡張した状態を保てないことで起こります。問題は正期産時であり、母親が糖尿病であるという情報もありません。

3.心室中隔欠損症は、先天性の心疾患です。問題は心雑音はなしとなっています。

4.新生児一過性多呼吸は、出生後肺の中に過剰の液体があるために一時的な呼吸困難が起こって、血液中の酸素レベルが低くなる病気です。早産児や陣痛開始前の予定帝王切開で生まれた児に起こる可能性が高くなります。

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