看護師の過去問
第107回
午後 問159

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問題

看護師国家試験 第107回 午後 問159 (訂正依頼・報告はこちら)

成人男性に対する全身麻酔下の膵頭十二指腸切除術が9時に開始されてから40分間の経過を表に示す。

9時40分の時点で、間接介助の看護師が医師に確認の上、実施することとして適切なのはどれか。
問題文の画像
  • 輸血を準備する。
  • 下半身を心臓より高くする。
  • 加温マットの設定温度を上げる。
  • 次の尿量測定を40分後に実施する。

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この過去問の解説 (3件)

01

解答、3
開腹手術における、バイタルサインの観察は出血、体液喪失による循環血液量減少性ショックに注意して観察します。
×1.循環血液量の20%以上(体重50kgの人で800ml)を急激に出血するとショックを引き起します。その場合にはすぐに輸血が必要と考えられます。設問では、輸血が必要なほどの出血量に達していません。
×2.ショック状態に陥った場合、静脈循環血還流の上昇を図るために下肢を挙上しますが、肺うっ血や心不全があるときは行いません。設問では、ショック状態ではないので、下肢挙上は不要です。
〇3.手術中に低体温となると、麻酔からの覚醒時にシバリングが起こりやすくなり酸素消費量が増加し、脳神経や心筋のような酸素が不可欠な器官に酸素不足状態が起き、低酸素障害につながってしまいますので、術中の体温管理は重要です。
低体温とは、中枢温が36℃未満になることです。
設問では体温が35.4℃で、低体温の状態です。低酸素障害を防ぐためにも加温マットの設定温度の確認が必要です。
×4.循環血液量減少性ショックでは、血圧低下による腎血流量の低下と抗利尿ホルモンにより尿量が低下します。設問の図から読み取れる通り20分間隔で注意深く観察しなければなりません。また、尿量が減少傾向にあることからも、観察の間隔は伸ばさない方がよいでしょう。

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02

膵頭十二指腸切除術や全身麻酔時の看護がしっかり確認できていなくても、設問の表をしっかり確認することで解決できます。

1.手術時において、体重の20%以上の出血でショックと考えられています。
  9時40分の時点で出血量が30mlであり、この段階では輸血の適応とはなり
  ません。

2.下半身を心臓より高くする目的は、下肢を循環している血液を心臓に戻り
  やすくするために行います。これは、簡単に言えば重力の影響で上(この
  場合は心臓より高い下肢)から下(この場合は下肢より低い心臓)へ水
  (この場合は血液)が流れるのと同じということです。この体位は正常値
  より血圧が低い場合に行います。
  9時40分時点での血圧は正常値より低い値ではありません。よって、必要
  ありません。

3.この表のバイタルサインの中で、明らかに正常値とは違うものは何か、と
  いう視点で観察すると、体温が35.4℃と低体温になっているのがわかりま
  す。手術室において、低体温は36.0℃未満とされています。手術時に低体
  温となると、麻酔時の覚醒の遅延や覚醒時にシバリング(悪寒のこと)を
  起こし、低酸素血症の原因となります。他にも低体温の影響は多々あるた
  め、医師に加温マットの設定温度を上げるか確認が必要です。

4.設問の表を確認すると、20分当たりの尿量は減少傾向にあります。尿量
  は、循環血液量の指標となりますので頻回な確認が必要です。

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03

1 9時40分の時点では出血量は30mlであるため、輸血の必要性はないと考えられます。

2 ショック状態ではないため、下肢挙上の必要性はありません。

3 体温が35.4度に低下しているため、加温マットの温度を上げるか医師に確認します。

4 尿量の減少がみられるため、40分後ではなく、適宜経過観察を行います。

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