看護師の過去問
第107回
午後 問162
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問題
看護師国家試験 第107回 午後 問162 (訂正依頼・報告はこちら)
造影CTの際に最も注意が必要なのはどれか。
- 閉所に対する恐怖がある患者
- 気管支喘息( bronchial asthma )の既往がある患者
- ペースメーカーを装着している患者
- 既往に上部消化管造影検査後の腹痛がある患者
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この過去問の解説 (3件)
01
閉所恐怖症の患者へは何らかの配慮が必要ですが、最も注意が必要ではありません。また、CT検査は輪の中をくぐるような検査であり、MRIと比較すると閉塞感はそこまで強くないと考えられます。
2.正解です。
気管支喘息の既往がある患者は、造影剤によって起こるアナフィラキシーショックの頻度が高いことが報告されており、最も注意する必要があります。
3.誤りです。
一部のペースメーカーでは、CT検査を行った際にペースメーカーの設定がリセットされたと報告されています。検査中は注意して観察を行うことが必要ですが、発生頻度を考慮すると(2)の気管支喘息患者への造影剤使用の方が優先度が高いです。したがって本設問において、ペースメーカーを使用していることは最も注意するべき項目ではないと考えられます。
4.誤りです。
検査後に患者の状態に異常がないか観察することは大切です。しかし(2)のアナフィラキシーショックリスクの方が優先度が高く、本設問において検査後の腹痛は最優先で注意するべき項目ではないと考えられます。
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02
2 気管支喘息の既往がある患者は造影剤の副作用が出る可能性があるため、注意が必要となります。
3 ペースメーカーを装着している患者の観察は必要ですが、最も注意をすることではありません。
4 上部消化管造影後の腹痛は関係ありません。
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03
CTとは、コンピュータ断層撮影と言い、X線を利用して身体の内部を画像化する検査のことです。CT検査は造影剤を使用しなくても、もちろん検査できます。しかし造影剤を使用すると、より画像にコントラストがつくため、精度の高い画像診断が可能となります。
造影CTで使用する造影剤は非イオン系のヨード造影剤である、イオパミロンやオイパロミンといった薬剤です。これは、X線をよく吸収するため、造影剤が流れている部分は白く映ります。造影剤は静脈注射で投与します。
造影剤も薬剤ですので、もちろん副作用があります。一番重篤な副作用はアナフィラキシーショックです。頻度は決して高くはないですが、死亡例も報告されている重篤な副作用です。咽頭浮腫、意識消失、著名な血圧低下などが主な症状です。造影CT時の造影剤は静脈注射で急速投与されるため、症状出現時にはすでに心肺停止状態になっていることも少なくないため、患者の顔色や喘鳴や咳嗽などの呼吸状態の変化、欠伸(あくび)や冷汗など血圧低下のサインなどを見逃さないようにする必要があります。心肺停止時には応援の人を呼び、すぐにBLSを行う必要があります。
アナフィラキシーショックは、初回投与時に起こりやすいですが、何度も造影CTを施行した、という患者もアナフィラキシーショックとなり、死亡例が報告されています。初回投与時だけではなく、何回目の投与時でも注意が必要です。
また、ヨードアレルギーのある患者、重篤な甲状腺疾患のある患者は造影剤の使用が禁忌です。
ヨードアレルギーのある患者は、造影CTで使用する造影剤がヨード造影剤であるため、使用するとアレルギー症状が出現し、アナフィラキシーショックとなることもあるためです。ではなぜ甲状腺疾患のある患者が造影剤の使用が禁忌となるかというと、甲状腺クリーゼという病態に陥りやすいためです。
甲状腺は元々、ヨードを栄養として甲状腺ホルモンを産生します。ヨードが過剰となると、元々バセドウ病など甲状腺機能が亢進する疾患を持っている人が、さらに甲状腺の機能が亢進しすぎるため、様々な臓器に障害が起き、生命に危機が及ぶ状態(甲状腺クリーゼ)となるためです。
次に、原則禁忌(投与する場合は慎重に行う必要がある場合)の説明をします。原則禁忌に当たる場合は、全身状態の悪い患者、気管支喘息の患者、重篤な心障害・肝障害・腎障害のある患者、急性膵炎のある患者、などなどがあります。
気管支喘息の既往のある患者は、アレルギーの既往がない患者と比較して重篤な副作用が出現する可能性が10倍、心疾患のある患者は心疾患のない患者と比較して重篤な副作用が出現する可能性が3倍となる、という報告がそれぞれあり、注意が必要です。
1.閉所に恐怖のある患者、つまり閉所恐怖症の患者は造影CTに限らず通常の
CTでも注意が必要です。しかし、最優先事項とはなりません。
3.ペースメーカーを挿入している患者は心疾患を有しており、注意して観察
する必要がありますが、気管支喘息の患者より最優先されることはないで
しょう。
4.上部消化管造影後の腹痛は、造影剤の副作用による腹痛なのか、この設問
だけでは不明なため、注意して観察する必要がありますが、最優先事項と
はならないでしょう。
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