看護師の過去問
第108回
午後 問239

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

看護師国家試験 第108回 午後 問239 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み問いに答えよ。

Aさん(55歳、男性、自営業)は、父親78歳と2人暮らし。Aさんは、2年前から食後に心窩部痛を感じていたが、医療機関を受診していなかった。午後3時、Aさんは胃部不快感を訴えた直後、突然コップ1杯程度の吐血があり倒れた。父親が救急車を呼び、救急病院に搬送された。到着時、意識はジャパン・コーマ・スケール<JCS> I-3。バイタルサインは、体温36.4°C、呼吸数20/分、脈拍124/分、整、血圧86/50mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>95%。顔面は蒼白で、皮膚は湿潤している。四肢冷感を認める。眼瞼結膜は軽度貧血様であるが、黄染を認めない。腹部は平坦で腸蠕動音は微弱、心窩部に圧痛を認めるが、筋性防御はない。胃部不快感は受診前よりも改善している。担当した医師に父親が「息子は黒い便が出ると言っていた」と伝えた。

Aさんは、医師から「検査の結果、スキルス胃癌(scirrhous gastric carcinoma)でした。膵臓や広範囲な腹膜への転移があって手術ができない状態でした。おそらく余命半年だと思います」と告知され、1週後に退院となった。退院後3か月、Aさんは外来看護師に「ずいぶん腰痛と腹痛がひどく、腹水が溜まって動くのも大変になってきました。最期は人工呼吸器の装着など延命をしたくないのですが、それを意識がなくなったあとにも医師に伝える方法はありますか」と尋ねた。そこで、看護師はAさんにリビングウィルの説明をすることにした。
Aさんに対して看護師が行うリビングウィルの説明で正しいのはどれか。
  • 「法律で定められた文書です」
  • 「父親のグリーフケアに必要な書類です」
  • 「Aさんの自由意思で作成することができます」
  • 「一度作成すると内容を変更することはできません」

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

リビングウィルは終末期の医療やケアについての意思表明書のことで、書いた本人の終末期医療のありかたを決定する重要な書類です。

1 . 「法律で定められた文書です」
×不正解
リビングウィルは法律で定められていません。よって、不正解です。

2 . 「父親のグリーフケアに必要な書類です」
×不正解
グリーフケアとは死別した家族が、悲しみから立ち直り、元の生活に戻っていく過程をサポートするケアです。
Aさんのリビングウィルとは関係なく、Aさんの父親にグリーフケアが必要な場合に提供されます。よって、不正解です。

3 . 「Aさんの自由意思で作成することができます」
〇正解
リビングウィルは本人の自由意思で終末期の医療についての希望を記すことができます。よって、正解です。

4 . 「一度作成すると内容を変更することはできません」
×不正解
リビングウィルは一度作成しても、内容を変更することはできます。よって、不正解です。

参考になった数1

02

1.×
 生前に自分の意志を文面化することがリビングウィルですが、その文書は法律で定められた文書ではありませんので、不適切です。
2.×
 生前に治療に対する自分の意志を表すものなので、父親のグリーフケアのための書類ではありません。
3.〇
 Aさんの自由意志で作成することができますので、これが正解です。
4.×
 治療の経過により自分の気持ちが変化してくることもあります。そのため、一度作成してからでも変更は可能です。

参考になった数0

03

リビングウィルとは、患者の価値観・思い・意思を記しておくことです。これに記載しておくことで、延命措置を控え、安楽に息を引き取るという患者自身の気持ちに寄り添うことを支援するものです。
よって3が正解です。


1 . 法律で定められたものではなく、患者自身の「生前意思」を示したものです。
よって不正解です。


2 . グリーフケアとは、亡くなった患者の関係者が悲しみから立ち直れるようにそばで支援することです。今回のリビングウィルとは関係ありません。
よって不正解です。

4 . 意思はいつでも変更できます。
よって不正解です。

参考になった数0