看護師の過去問
第109回
午前 問71
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問題
看護師国家試験 第109回 午前 問71 (訂正依頼・報告はこちら)
Aさん( 88 歳、男性)は、長女( 60 歳、無職)と 2 人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準ランク C2 。仙骨部の褥瘡の治療のため、膀胱留置カテーテルを挿入することになった。
膀胱留置カテーテルを挿入中のAさんを介護する長女に対して、訪問看護師が指導する内容で適切なのはどれか。
膀胱留置カテーテルを挿入中のAさんを介護する長女に対して、訪問看護師が指導する内容で適切なのはどれか。
- 「褥瘡が治癒するまでおしりは洗浄しないでください」
- 「体位変換ごとに蓄尿バッグを空にしてください」
- 「カテーテルは太ももに固定してください」
- 「尿に浮遊物がないか確認してください」
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この過去問の解説 (3件)
01
仙骨部に褥瘡がある場合、排泄により患部が汚染されてしまうため、清潔を保つために膀胱留置カテーテルを挿入することがあります。
膀胱留置カテーテルの合併症
・尿路感染
・カテーテル閉塞
・膀胱刺激症状・尿漏れ
・尿路結石 など
※参考<障害高齢者の日常生活自立度>
J 何らかの障害を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する
J1.交通機関等を利用して外出する
J2.隣近所へなら外出する
A 屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしには外出しない
A1.介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する
A2.外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている
B 屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ
B1.車いすに移乗し、食事、排泄はベッドから離れて行う
B2.介助により車いすに移乗する
C 1日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替において介助を要する
C1.自力で寝返りをうつ
C2.自力では寝返りもうてない
1. →褥瘡部位は看護師が処置する必要があります。しかし、肛門と仙骨部が近いため、排便時に褥瘡部位が汚染される可能性があり、褥瘡悪化のリスクが考えられます。そのため、褥瘡部位はドレッシング剤で覆う等して、陰部及び肛門を洗浄してもらうよう家族に指導する必要があるでしょう。
2. →頻回な蓄尿バッグの開放は、尿路感染のリスクを高めます。また、体位変換で蓄尿バックの高さが膀胱より高い位置になっていないか、チューブの捻じれやベッド柵等での圧迫閉塞に注意してもらうよう家族への指導が必要です。
3. →男性の場合、陰茎を下向きにして固定をすると、カテーテルにより尿道が圧迫され尿道損傷を起こしやすくなります。そのため、陰茎を上向きにして、下腹部にテープ固定します。
しかし、Aさんは日常生活自立度 C2であり、寝返りを自力でうてない状態であるため、カテーテル抜去及び自己抜去のリスクは少ないと考えられます。テープ固定は、皮膚トラブルの原因にもなるため、状態によっては、カテーテルが引っ張られないように注意すれば、テープ固定はしない場合もあります。
4. →尿路感染の兆候として、尿浮遊物や血尿の有無、発熱などがあります。ご家族にも観察していただくことで、早期発見に繋がります。
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02
膀胱留置カテーテルとは、膀胱にカテーテルを挿入して尿を持続的に排出します。安全に持続的に尿を排出することができますが、合併症のリスクがあります。
○尿路感染症:膀胱と外界がカテーテルでつながっている状態であり、感染のリスクが高まります。従って、尿の性状や感染徴候の観察が必要になります。
○膀胱結石:カテーテルの周囲に結石が形成されやすくなります。
○膀胱委縮:膀胱内に尿を蓄積していないので、機能が低下して萎縮が起こります。
○膀胱刺激症状・尿漏れ:カテーテルによる膀胱粘膜への刺激や感染が原因で下腹部痛や尿意などの膀胱刺激症状や尿漏れが起こることがあります。
1.褥瘡の管理として感染を起こさないように、患部を清潔に保つ必要があります。おしりを洗浄した後の適切な処置を行う必要があります。
2.体位変換で蓄尿バックの高さが膀胱より高い位置になっていないか確認する必要があります。また、チューブの捻じれやベッド柵等での圧迫閉塞に注意が必要です。少しの量で度々蓄尿バックから尿を捨てると感染の機会が増すので、ある程度溜まった状態で廃棄します。
3.男性の場合は、陰茎を頭側に引き上げるようにして、ゆとりを持たせて固定します。
陰茎を下向きにして固定をすると、カテーテルにより尿道が圧迫され尿道損傷を起こしやすくなります。
女性の場合は、カテーテルによる刺激を少なくするために足側に固定します。
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03
(解説)
膀胱留置カテーテルの挿入により、膀胱と外界が常にカテーテルでつながっている状態にあるため、尿路感染症のリスクがあります。尿路感染症の早期発見のためにも、尿量・尿の性状・浮遊物の有無など観察していくことが重要であり、在宅の場合はご家族に指導していく必要があります。よって、正解は「4」になります。
(補足)
他の選択肢については、以下の通りです。
1について
:褥瘡の処置は、深さや感染徴候の有無などで方法は異なりますが、基本的には、感染予防も含めて、褥瘡とその周囲を洗浄することが推奨されています。よって、正解には該当しません。
2について
:蓄尿バックは、決まった時間に尿を破棄すれば問題はありません。頻回の蓄尿バックの開放は、感染の機会を増やすことにもなります。体位変換の際にカテーテルがねじれたり、身体の下敷きになってしまったりするリスクがあること、また蓄尿バックが膀胱より高い位置になることで、逆行性感染が起こるリスクが高まることといった注意点の指導は必要でしょう。正解には該当しません。
3について
:男性の場合、陰茎陰嚢角の圧迫による尿道損傷を防ぐために、陰茎を頭部側に向けて、腹部でカテーテルを固定し、女性と同様に大腿外側も1 カ所固定します。また、カテーテルが大腿部だけに固定されていると、大腿の動きに伴ってカテーテルも動くため、膀胱頚部がカテーテルによって牽引されて疼痛が生じやすくなります。よって、正解には該当しません。
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