看護師の過去問
第109回
午前 問94

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問題

看護師国家試験 第109回 午前 問94 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み以下の問いに答えよ。
Aさん( 56 歳、男性、会社員)は、デスクワークが多い仕事をしている。40 歳時の会社の健康診断で 2 型糖尿病( type 2 diabetes mellitus )と診断され、紹介されたクリニックで血糖降下薬を処方されて内服を継続していた。50 歳ころから視力の低下と持続性蛋白尿を指摘され、腎臓内科を受診し食事指導を受けた。しかし、仕事が忙しく食事指導の内容を守れていなかった。1 年前から、足のしびれが出現するようになった。
Aさんの現在の状況のアセスメントで適切なのはどれか。
  • 緑内障( glaucoma )が疑われる。
  • 運動療法が必要である。
  • 糖尿病性神経障害( diabetic neuropathy )が疑われる。
  • 高蛋白質の食事摂取が必要である。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:3 . 糖尿病性神経障害( diabetic neuropathy )が疑われる。


糖尿病神経障害

糖尿病の三大合併症の1つです。高血糖による神経細胞の変化と、動脈硬化を介した神経細胞への血流不足(栄養不足)から生じます。

症状
・安静時によく足がつる
・手足の痺れ、疼痛
・手足の感覚が鈍る
・立ちくらみ
・下肢の潰瘍 など

治療は、まず血糖コントロールが重要となります。


1. 緑内障( glaucoma )が疑われる。
→頻度は多くないですが、糖尿病網膜症が重症化すると血管新生緑内障を起こすことがあります。緑内障では足のしびれは出現しないため、不正解となります。

2. 運動療法が必要である。
→血糖コントロールのため、運動療法も必要ですが、足のしびれが生じているため、転倒のリスクにもなります。運動を行うには、強度や頻度は医師に相談する必要があります。現在の状態では、まず薬剤調整による血糖コントロールが先決となりますので、不正解です。

4. 高蛋白質の食事摂取が必要である。
→50歳の頃に持続性蛋白尿を指摘されており、糖尿病性腎症も発症している状態であると考えられます。腎障害がある場合には、低たんぱく質、塩分を制限した食事が必要となります。

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02

(正解) 3
(解説)
糖尿病の3大合併症として、糖尿病性神経障害・糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症があります。
その中でも、糖尿病性神経障害は、高血糖が持続することにより、神経そのものの浮腫や変性、神経を栄養する血管の閉塞により、末梢神経や自律神経が障害され、手足のしびれなどの感覚障害が生じます。
Aさんの場合、足のしびれが出現していることから、糖尿病性神経障害の可能性が高いと考えられます。よって、正解は「3」です。

(補足)
他の選択肢については、以下の通りです。
1について
:糖尿病であることを考慮すると、視力の低下は糖尿病性網膜症であることが考えられます。糖尿病性網膜症は、高血糖が持続することにより、網膜の細い血管が障害され、網膜やその内側の硝子体に多彩な病変をもたらし、日本の成人の失明原因で常に上位を占める重要な疾患の一つでもあります。網膜剥離をきたし、視野欠損や高度の威力低下に陥ることもあります。よって、正解には該当しません。

2について
:Aさんが糖尿病の初期であれば、血糖コントロール目的での運動療法も治療のひとつではありますが、足のしびれなどの合併症も出ており、この時期になると運動療法での症状の改善は期待できません。よって、正解には該当しません。

4について
:持続性の蛋白尿が出現していることから、糖尿病性腎症を発症していると考えられます。糖尿病性腎症とは、高血糖が持続することにより、糸球体に硬化病変が生じ、通常では濾過されない蛋白質が尿中に排泄され、蛋白尿、低蛋白血症、浮腫などが生じる状態になります。Aさんの場合は、持続性の蛋白尿が出ており、過剰な蛋白質の摂取は腎臓の負担になるため、蛋白質の摂取を制限する必要があります。よって、正解には該当しません。

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03

正解:3.糖尿病性神経障害(diabetic neuropathy)が疑われる。


糖尿病性神経障害(diabetic neuropathy)

糖尿病の合併症として起こります。
高血糖が続くと神経の働きが障害されて、しびれや痛みが起こったり、感覚が無くなったりします。下痢や便秘を繰り返したり、立ちくらみなど多様な症状が現れます。
血糖値のコントロールが重要になります。

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