看護師の過去問
第109回
午前 問100
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問題
看護師国家試験 第109回 午前 問100 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文を読み以下の問いに答えよ。
Aさん( 80 歳、男性)は、妻( 80 歳)と 2 人暮らし。血管性認知症( vascular dementia )でパーキンソニズムがみられる。認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクⅡb、要介護 2 。普段は妻がAさんの身の回りの世話をしているが、妻が入院したため短期入所療養介護のサービスを受けることになった。入所時のAさんは歩行開始困難、加速歩行、すくみ足などの歩行障害がみられた。Aさんは「最近、家の中でつまずくことが多くなりました」と入所中の施設の看護師に話した。
Aさんへの歩行指導で適切なのはどれか。
Aさん( 80 歳、男性)は、妻( 80 歳)と 2 人暮らし。血管性認知症( vascular dementia )でパーキンソニズムがみられる。認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクⅡb、要介護 2 。普段は妻がAさんの身の回りの世話をしているが、妻が入院したため短期入所療養介護のサービスを受けることになった。入所時のAさんは歩行開始困難、加速歩行、すくみ足などの歩行障害がみられた。Aさんは「最近、家の中でつまずくことが多くなりました」と入所中の施設の看護師に話した。
Aさんへの歩行指導で適切なのはどれか。
- 歩行時の方向転換は素早く行うようにする。
- 目線を足元に向けて歩くようにする。
- 足踏みをしてから歩くようにする。
- 歩行時はすり足で歩くようにする。
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この過去問の解説 (3件)
01
血管性認知症(vascular dementia)
脳血管障害により酸素・栄養が行きわたらず脳細胞の死滅により、認知症を発症する状態。
症状
・物忘れなどの記憶障害
・時間や場所や人物の認識がうまくできなくなる見当識障害
・ものごとを計画立てて順にこなすことが困難になる実行機能障害 など
<パーキンソニズム>
パーキンソン病以外の原因で引き起こされるパーキンソン症状を言います。
動作緩慢、無動・寡動、筋強剛、手足の振戦、姿勢保持障害などがみられます。
主な特徴は、すり足になる、小股で歩く、前かがみになる、一歩目の足が出にくい、などがあります。
そのため、転倒に注意が必要です。
歩行時の工夫例
・腕を大きく振り、足を上に持ち上げるようにする。
・自分で「1、2、1、2」と号令をかけ、リズムを取りながら歩く。
・身体が前かがみにならないよう、かかとをしっかり付けて歩く。
1. →方向転換時は、急いで小さく回ると転倒しやすくなります。出来るだけ大きくゆっくりと回ることが望ましいです。
2. →目線が足元に向くと、前屈みになり転倒しやすくなります。目線は歩く方向に向けることが望ましいです。
4. →すり足歩行は、転倒しやすくなります。足はなるべく上に持ち上げるようにして歩行します。
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02
(解説)
すくみ足とは、パーキンソニズムで見られる症状のひとつで、最初の一歩がなかなか踏み出せないという症状になります。足踏みをすることで、リズムをつけてから歩くようにすると、最初の一歩が踏み出しやすくなり、すくみ足の改善につながるため、指導・助言する必要があります。よって、「3」が正解です。
(補足)
1について
:Aさんには加速歩行が見られることから、歩行時の方向転換が困難であり、素早くしようとすると転倒する可能性があります。よって、正解には該当しません。
2について
:パーキンソニズムでは、姿勢反射障害から前傾姿勢になりやすく、重心が前方になることから転倒につながりやすくなります。そのため、目線を足元にするのではなく、目線を上げることで背筋を伸ばし、重心が前方に偏りすぎることを防ぐ必要があります。よって、正解には該当しません。
4について
:すり足は、小さな段差でもつまずきやすく、かえって転倒リスクを高めることになるため、歩行しどうとして適していません。よって、正解には該当しません。パーキンソニズムでは、すり足歩行も歩行障害のひとつとして出現することがあります。
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03
血管性認知症(vascular dementia)
脳血管障害に伴い認知機能が低下します。高齢者に起こる認知症で2番目に多く見られます。
症状としては、運動機能障害が早くから起こります。
脳血管障害の起こった部位の機能低下が起こるので、障害の場所により症状が違います。
脳血管障害が再発すると症状が進行していくので、再発予防も重要です。
歩行障害や麻痺等の症状があるので、リハビリテーションは必須になります。運動機能や言語機能など症状に応じたリハビリテーションを行います。
パーキンソニズムは、パーキンソン病以外にも引き起こされるパーキンソン症状のことです。
動作緩慢・無動・寡動があります。段差のない所でつまづいたり、歩行障害が起こります。
すり足、小股で歩く、一歩目の足が出にくいなどの特徴があります。
歩行障害があるため、転倒への注意が必要になります。
1.歩行時の方向転換は、バランスを崩しやすくなり転倒の危険があります。手すりなどを使用して、ゆっくり動くことが望ましいです。
2.目線は歩く方向の先に向けて、目標を定めて歩きます。足元などの近い点を見ると前かがみになりやすく転倒の危険があります。
4.歩行が小刻みですり足になるので、つまずきやすくなります。背中が丸くならないように姿勢を正して、一歩目を高く上げるように歩きだしてもらいます。
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