看護師の過去問
第109回
午後 問217

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問題

看護師国家試験 第109回 午後 問217 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み以下の問いに答えよ。
Aさん( 72 歳、男性)は、2 か月前に右中大脳動脈領域の脳梗塞( cerebral infarction )を発症した。本日、病院を退院し、介護老人保健施設に入所した。
既往歴: 1 年前に前立腺癌( prostatic cancer )のため腹腔鏡下前立腺全摘除術。
身体所見:左上下肢に軽度のしびれがある。半側空間無視がある。構音障害はない。
生活機能:改訂長谷川式簡易知能評価スケール〈 HDS − R 〉26 点、Barthel〈バーセル〉 インデックス 65 点。
Aさんは排尿コントロールについて「脳梗塞( cerebral infarction )になってから、尿意を感じるとがまんできずに大量の尿が漏れてしまう。1 日に何回も漏らす」と看護師に話した。
Aさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。
  • 過活動膀胱( overactive bladder )
  • 腹圧性尿失禁( stress incontinence of urine )
  • 溢流性尿失禁( overflow incontinence of urine )
  • 腹腔鏡下前立腺全摘除術の後遺症

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この過去問の解説 (3件)

01

正解1.過活動膀胱(overactive bladder)



過活動膀胱(overactive bladder)

膀胱内に尿が溜まっていない状況で、排尿筋が収縮して尿意を急に感じてしまいます。
急に尿意を感じるために、トイレの不安を常に抱えている状態になります。

脳梗塞などの脳血管障害では、脳と膀胱の神経回路が伝わりにくくなり、過活動膀胱の症状が出ることがあります。



2.腹圧性尿失禁は、くしゃみや重い荷物を持つなど腹部に強い圧力がかかることで、尿漏れが起こります。Aさんの症状とは違います。


3.溢流性尿失禁は、尿意があって排尿するが残尿が多く、尿が少しづつ漏れる状態です。前立腺肥大・前立腺癌・神経因性膀胱などで起こります。Aさんは残尿はないので違います。


4.腹腔鏡下前立腺全摘除術の後遺症は、性機能障害・尿失禁などが起こります。Aさんの症状は当てはまりません。

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02

正解:1. 過活動膀胱

過活動膀胱とは、尿が十分たまっていなくても、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮するという病気です。

脳梗塞などにより、脳と膀胱の神経回路に障害が起きると、過活動膀胱の症状が起こる事があります(神経因性過活動膀胱)。

2. →腹圧性尿失禁は、尿道括約筋など骨盤底筋の緩みが原因で、咳やくしゃみ、重い荷物を持った時などに腹部に強く圧力がかかることによって起こる尿漏れのことです。

3. →溢流性尿失禁は、排尿時に膀胱を十分に空にすることができなくなる排尿障害があり、自分で尿を出したいのに出せないが、少しずつ漏れてしまう状態のことをいいます。

4. →腹腔鏡下前立腺全摘除術後では、前立腺の周囲の神経や筋肉が傷つくことによって尿漏れが起こる事があります。
Aさんは脳梗塞になった後から症状を訴えており、後遺症とは考えにくいです。

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1.正解です。急に起こる我慢できない尿意や、日に
 何度も失禁してしまうということから、過活動膀胱
 が考えられます。

2.腹圧がかかることで起こる尿失禁であり、Aさん
 の症状と合いません。

3.膀胱内の残尿が漏れ出すことにより起こります。

4.前立腺全摘除術から1年経過しており、「脳梗塞
 になってから」というAさんの主張から、術後後遺
 症とは考えにくいです。

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