看護師の過去問 第110回 午前 問58
この過去問の解説 (3件)
正解は4「頻尿」です。
妊娠中のマイナートラブルは妊娠全期において様々なものがあります。
初期(ホルモンバランスの急激な変化により起こる)
・頻尿・・・妊娠によって分泌量の増えたプロゲステロンが膀胱周りの筋肉を緩めるので起きる
・吐き気・・妊娠によって急激に増えた女性ホルモンが影響して起こる。いわゆる「つわり」
・便秘・・・妊娠によって分泌量の増えたプロゲステロンの影響で起こる。
中期(母体の循環血漿量の増大によって起きる)
・貧血・・・赤ちゃんが成長するにつれ血液を増やそうと循環血漿量は増えるが、血球はあまり増えないために、母体の血液が薄まってしまい貧血になる。これにより動悸や息切れも起こる。
・便秘・・・子宮が大きくなるにつれ腸を圧迫するので起きやすい。
・掻痒感・・妊娠中に基礎代謝が上がり発汗が増えることで起きやすい。またホルモンの影響で皮膚が敏感になり、痒みを感じやすくなる。
後期(子宮が大きくなることで起こる)
・頻尿・・・大きくなった子宮が膀胱を圧迫することで起きる
・下肢静脈瘤・・大きくなった子宮の圧迫によって下肢への血行が悪くなり静脈瘤ができる
・浮腫・・・循環血漿量の増大に加え、子宮による圧迫で下肢の血行が悪くなり起きる
・胸やけ・・大きくなった子宮が胃を圧迫することで起きる。妊娠初期のつわりにも似ているが、つわりのような嘔吐がみられることはまれ。
・便秘・・・大きくなった子宮が腸を圧迫することで起きる。お腹が大きく、母体がなかなか体を動かさせないことも要因の一つ。
・掻痒感・・中期と同様の理由で起こる。症状が強い場合は「妊娠性痒疹」といって治療の適応となる場合もある。
1.下肢静脈瘤は妊娠後期に起きるマイナートラブルです。
2.掻痒感は妊娠中期以降にみられるマイナートラブルです。
3.つわりは妊娠初期にみられるマイナートラブルです。妊娠後期には胃が圧迫されて胸やけのような症状が起きます。これと混同しないように注意が必要です。
4.頻尿は妊娠初期と後期に起きるマイナートラブルです。これは初期と後期とで起こる原因が異なるので注意が必要です。
便秘は妊娠期間全期においてみられるマイナートラブルです。注意しましょう。
正解は4です。
1.下肢静脈瘤は妊娠3か月ごろより出現するといわれます。
原因としては足の血液が心臓に戻りにくくなり、血液がうっ滞するため起こります。
また、妊娠により多く分泌される女性ホルモンにより血管が拡張、収縮抑制がおこり足の静脈が膨れるためといわれています。
出産後は徐々に改善していきます。
2.妊娠性掻痒感は妊娠初期に起こりやすい湿疹です。
お腹や手足にかゆみを伴う赤い湿疹が出現します。産後には改善します。
3.つわりは妊娠4週ごろより出現します。
8~9週でピークを迎え15週頃まで続きます。つわりは人により様々でつわりがない人も居れば、出産まで続く人もいます。
妊娠後期は大きくなった子宮や胎児に胃を圧迫され、胃部の不快感やつわり様の症状が現れるとも言われています。
4.妊娠により血液量が増え、妊娠6週ごろより頻尿の症状が現れると言われています。
妊娠中期には症状が和らぎますが、妊娠後期に入ると大きくなった子宮や胎児により膀胱が圧迫されることにより症状が再発するといわれています。さらに出産目前になり、胎児が下りてくるとさらに症状は悪化するといわれています。
正解: 4. 頻尿
マイナートラブルとは、妊娠に伴って起こる様々な身体的症状のことを言います。つわり、便秘、頻尿、全身掻痒感、腰痛、足の腓返りなどがあります。
頻尿は、妊娠初期と後期のどちらも現れます。初期では、子宮が膀胱を圧迫したり、腎機能が高まり尿が排出されやすくなることから生じます。後期では、児頭の増大で膀胱が圧迫されることから生じます。
1. →下肢静脈瘤は、妊娠中期〜後期にかけて生じます。
子宮が増大して骨盤内の臓器が圧迫され、血液が停滞することから起こります。
2. →搔痒感は、妊娠中期〜後期にかけて生じます。
妊娠によって、基礎代謝が上がり汗をかきやすくなったり、ホルモンバランスの影響で皮膚が敏感になることから生じます。
3. →つわりは、妊娠5〜10週頃から始まり、16週頃には症状は落ち着きます。
エストロゲンやヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が影響していると言われています。
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