看護師の過去問 第110回 午前 問75
この過去問の解説 (3件)
正解: 3. ツベルクリン反応
ツベルクリン反応は、Ⅳ型アレルギー反応です。
Ⅳ型アレルギー反応は、遅延型アレルギーとも呼ばれ、抗原を認識するとTリンパ球からリンホカインが放出され48〜72時間後に反応が現れます。
1. →花粉症は、Ⅰ型アレルギー反応です。
Ⅰ型アレルギー反応とは、即時型アレルギー・アナフィラキシー型とも呼ばれ、抗原が認識されるとIgE抗体を介して15〜30分で反応し、ヒスタミンやロイコトリエンというアレルギー物質が遊離されてアレルギー症状を起こします。
2. →蕁麻疹は、Ⅰ型アレルギー反応です。
4. →アナフィラキシーショックは、Ⅰ型アレルギー反応です。
ヒスタミンやロイコトリエンが遊離されると血管透過性が亢進するため、重症の場合、血管拡張による血圧低下などのアナフィラキシーショックを起こすことがあります。
5. →インフルエンザの予防接種は、病気を予防するために弱毒化させた病原体を体内に入れることで免疫細胞に抗体を作らせる獲得免疫です。
正解は3「ツベルクリン反応」です。
この問題は少し難しいと思います。「抗原」「感作」「Tリンパ球」というワードからアレルギーの問題だと分かれば知識として十分です。そして「花粉症」「蕁麻疹」「アナフィラキシー」は同じような原理で起きるなと分かればその3つを消去できます。残る「ツベルクリン反応」と「インフルエンザの予防接種」で、予防接種はアレルギー反応ではないから消去法でツベルクリン反応を選択することができれば立派です。
<アレルギー性疾患>
Ⅰ型:アナフィラキシー型
体液性免疫
主体はIgE
肥満細胞、好塩基球からヒスタミンを放出
アナフィラキシー・気管支喘息・食物アレルギー・花粉症・蕁麻疹
Ⅱ型:細胞傷害型
体液性免疫
主体は血清補体・IgG・IgM
貪食細胞、補体による細胞融解
血液型不適合輸血による溶血・血小板減少症
Ⅲ型:免疫複合体型
体液性免疫
主体はIgG・IgA・IgM・免疫複合体
免疫複合体による組織や血管の障害
血清病・SLE・急性糸球体腎炎
Ⅳ型:T細胞依存型
細胞性免疫
主体は感作Tリンパ球
リンホカインの産生
アレルギー性接触性皮膚炎・ツベルクリン反応・移植後慢性拒絶反応
1.花粉症は上記の表からⅠ型アレルギーです。体液性免疫によるので不正解です。
2.蕁麻疹は上記の表からⅠ型アレルギーです。体液性免疫によるものなので不正解です。
3.ツベルクリン反応は上記の表からⅣ型アレルギーです。細胞性免疫によるもので、主体は感作Tリンパ球によるものです。正解です。
4.アナフィラキシーショックは上記の表からⅠ型アレルギーです。体液性免疫によるものなので不正解です。
5.インフルエンザの予防接種とは無毒化したインフルエンザウイルスを体内に入れることによってインフルエンザウイルスに対する抗体を作らせ、インフルエンザに罹患したときにその抗体が働いて重症化を防いでくれるものです。
正解は3です。
1.花粉症はIgE抗体にアレルゲンが結合して起こるⅠ型アレルギーです。
Ⅰ型は即時型というタイプでアレルゲンが体内に入った直後から数時間以内に症状が出ます。
2.蕁麻疹も花粉症同様Ⅰ型アレルギーです。食物アレルギーなども同様にⅠ型アレルギーです。
3.ツベルクリン反応は結核菌やBCGに感作された免疫細胞を司るTリンパ球と抗原物質となるツベルクリンとの特異的結合によって発赤をおこす体内物質が集まって現れる反応です。
反応は48時間後に判定します。Ⅳ型アレルギーです。
4.アナフィラキシーショックはⅠ型アレルギーが重症化した場合に起こる症状です。
アレルゲンが体内に入った後、突如皮膚や粘膜症状が現れるとともに、血圧の低下、あるいは呼吸器症状が現れた場合にアナフィラキシーショックと診断されます。
5.インフルエンザの予防接種は、無毒化されたインフルエンザウイルスからつくられる不活化ワクチンを抗原として投与し、抗体生産を促します。そのため、実際にインフルエンザウイルスが体内に侵入した場合、獲得した抗体が働きウイルスを撃退するため、インフルエンザを発症しなかったり、発症しても軽症で済みます。
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