看護師の過去問
第110回
午前 問93

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問題

看護師国家試験 第110回 午前 問93 (訂正依頼・報告はこちら)

Aさん( 43歳、女性)は夫と2人暮らし。身長150cm、体重98kg。既往歴はない。先日、庭で転倒し右腓骨を骨折し、膝関節から足関節までのギプス固定をしている。来週、プレート固定術を受けることになっており、本日は夫と一緒に術前オリエンテーションに来院した。来院時のAさんのバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍80/分、血圧138/80mmHgであった。夫によると「妻は、寝ているときはいつも大きないびきと、時々無呼吸があるので、慌てて起こしている」と言う。

手術後2日。Aさんはバイタルサインも安定しているため、離床の準備を始めることになった。
初回離床時に最も注意すべき訴えはどれか。
  • 「息苦しい」
  • 「腰が重い」
  • 「痰が出る」
  • 「傷口が引きつる」

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1「息が苦しい」です。

術後の安静や長期臥床から血液のめぐりが悪くなり、下肢静脈にできた血栓が血液の流れに乗って運ばれ、肺の血管につまってしまうのが肺血栓塞栓症です。術後の離床期に最も注意が必要な病態です。多くの場合が初回離床時に呼吸苦を訴えます。発症すれば死亡する可能性もあります。

1.上記の通り初回離床時の呼吸苦の訴えは慎重に対応しなければなりません。呼吸苦の訴えが無かったとしても初回離床後は酸素飽和度の測定など呼吸状態の観察が必要です。

2.術後2日間臥床安静をしていたので、安静による腰の重たさを訴えたのだと考えられます。緊急性は低いです。

3.痰がでるのは正常な術後の反応です。積極的に咳嗽を促し、排痰するよう指導が必要です。術後の痛みにより咳嗽が難しい場合には薬剤による疼痛コントロールも検討する必要があります。

4.術後2日ですので、創部の痛みや違和感はあると考えられます。疼痛は鎮痛薬などでコントロールする必要がありますが、引きつるなどの違和感は緊急性は低いと考えられます。

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02

正解は1です。

1.初回離床時に「息苦しい」という訴えは注意が必要です。

術後の安静にて下肢に血栓が形成されることが多く、離床時に血栓が飛び肺塞栓症を引き起こすことがあります。そのため、離床時の呼吸状態は重要になります。

深部静脈血栓症は無症状の場合もあるため注意が必要です。

2.「腰が重い」は術後ベッドでの臥床が影響し出現することが多いです。

離床することにより症状が軽減していきます。

3.全身麻酔時の気管内挿管の影響により痰が出やすくなります。

飲み込まず、排出するよう指導を行います。Aさんはまだ若いため低いですが、高齢者の場合飲み込むことにより「誤嚥性肺炎」のリスクも高めます。

4.術後であるため傷口の症状は誰しもあるため、優先度は低くなります。

疼痛が強い場合は鎮痛剤の使用や、移動時は傷口を抑えながら動くと痛みが軽減されることがあります。

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03

正解: 1. 「息苦しい」

術後離床時の合併症には、以下のものがあります。

①起立性低血圧

②肺血栓・塞栓症

③不整脈

「息苦しい」症状は、肺塞栓症の疑いがあります。肺塞栓症の症状にはその他、胸背部痛・頻脈・SpO2低下などがあります。

下肢などの深部静脈にできた血栓が、離床時の血流変動により肺に飛んでしまう可能性がありますので、患者の状態に注意する必要があります。

2. →「腰が重い」は緊急度は低いです。ベッド上安静により腰痛が生じていることが考えられます。

3. →「痰が出る」は、術後にみられる正常な症状です。手術中の気管挿管や麻酔により、痰が増えます。逆に痰が出ずに肺や気管支に詰まってしまうと、無気肺や肺炎を起こしてしまいます。

4. →「傷口が引きつる」は、優先度は低いです。術後、創部の疼痛を訴える患者は多くみられます。激しい疼痛や出血を伴う場合は、創部等を確認する必要があります。

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