看護師の過去問
第110回
午前 問96
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問題
看護師国家試験 第110回 午前 問96 (訂正依頼・報告はこちら)
Aさん( 26歳、男性)は1か月前から動悸と20m程度の歩行でも息切れが出現するようになった。ぶつけた記憶もないのに下肢に出血斑ができるようになり、医療機関を受診した。Aさんは急性白血病( acute leukemia )を疑われ、緊急入院し、後腸骨稜から骨髄穿刺を受けた。
身体所見:意識清明、体温 37.2℃、呼吸数 17/分、脈拍 124/分、血圧 96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2> 97%( room air )、両下肢に散在する出血斑あり。
検査所見:Hb 5.1g/dL、白血球 44,960/μL、血小板 1.5万/μL、総ビリルビン 1.1mg/dL、尿素窒素 19.4mg/dL、クレアチニン 0.76mg/dL、CRP 2.2mg/dL。
胸部エックス線:縦郭・心陰影・肺野に異常なし。
造血幹細胞移植後、生着が確認された。皮膚にStageⅠの移植片対宿主病( graft versus host disease )を発症したが、免疫抑制薬の内服を継続しつつ退院することになった。
Aさんの退院に向けた看護師の指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
身体所見:意識清明、体温 37.2℃、呼吸数 17/分、脈拍 124/分、血圧 96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2> 97%( room air )、両下肢に散在する出血斑あり。
検査所見:Hb 5.1g/dL、白血球 44,960/μL、血小板 1.5万/μL、総ビリルビン 1.1mg/dL、尿素窒素 19.4mg/dL、クレアチニン 0.76mg/dL、CRP 2.2mg/dL。
胸部エックス線:縦郭・心陰影・肺野に異常なし。
造血幹細胞移植後、生着が確認された。皮膚にStageⅠの移植片対宿主病( graft versus host disease )を発症したが、免疫抑制薬の内服を継続しつつ退院することになった。
Aさんの退院に向けた看護師の指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 「皮膚の状態がよくなれば免疫抑制薬は中止してください」
- 「加熱していない魚介類を食べるのは避けましょう」
- 「インフルエンザワクチンの接種は避けてください」
- 「直射日光に当たらないようにしましょう」
- 「入浴は最小限にしてください」
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は2「加熱していない魚介類を食べるのは避けましょう」4「直射日光に当たらないようにしましょう」です。
移植片対宿主病(GVHD)とは、ドナー由来の細胞が患者さんの体を他人と認識して起こす免疫反応です。GVHDを予防するために患者は骨髄移植をする前日から免疫抑制剤を点滴で投与します。無事に移植した細胞が生着し、退院のころになると、免疫抑制剤は内服薬へ切り替えます。この内服の免疫抑制剤は医師が血中濃度をみながら量を調整するもので内服時間も決められているなど厳重に管理しなければならない大切な内服薬です。看護師は退院指導の際、免疫抑制剤は必ず内服すること、決められた時間を守ること、自己中断することは決して無いよう説明する必要があります。
1.上記の通り、患者の判断で免疫抑制剤を中止することは絶対にありません。
2.GVHDを予防するために免疫抑制剤を内服しますが、それは易感染状態を引き起こしているのと同じことです。免疫抑制剤内服中は、生の食べ物の摂取は控えるよう退院指導が必要です。
3.骨髄移植により免疫能が低下しているので、ワクチン接種によって免疫を獲得することが推奨されています。摂取時期の注意点としては、インフルエンザワクチンなどの不活化ワクチンは移植後6か月を経過していて慢性GVHDの憎悪が無いこと、弱毒化生ワクチンは移植後24か月が経過していて慢性GVHDが見られず、免疫抑制剤の投与が終了していることが必要です。
4.Aさんは皮膚にグレード1のGVHDがみられるとのことで、皮膚への刺激を抑える必要があります。直射日光の刺激は強いですから、皮膚に症状が出ているうちは、直射日光に当たることは控えるよう指導する必要があります。
5.免疫抑制剤を内服しているので、体の清潔を保つことはとても重要です。骨髄移植後で退院後に入浴制限がかかることはまずありません。ただし、Aさんが退院する前に自宅の浴室をきれいに掃除をする必要はあります。退院前に家族へ指導が必要です。
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02
正解は2・4です。
移植片対宿主病とは移植されたドナーの免疫細胞が、患者自身の細胞を異物と判断し攻撃する合併症です。
皮疹、下痢、黄疸が症状として有名です。治療薬にはステロイドが有効とされています。
1.自己判断での免疫抑制剤の中止は危険です。
皮膚やその他臓器の病変がないか確認しながら医師や看護師、薬剤師と確認しながら中止していきます。
2.Aさんは免疫抑制剤を内服中であり日和見感染を発症しやすくなっています。そのため十分加熱した食材を摂取するよう説明します。
3.インフルエンザのような不活化ワクチンは移植後6~12か月経てば摂取可能です。生ワクチンになると移植後24か月が経過し免疫抑制剤の投与が終了していないと接種できません。
4.移植片対宿主病を発症した皮膚は薄くなり刺激に弱くなっているため皮膚の炎症を起こしやすく、直射日光には当たらないように注意します。
5.皮膚、身体の清潔保持のため、入浴の制限はありません。
入浴後は皮膚の保湿に努めましょう。
免疫機能が回復するまでは共同浴場は使用を控える必要があります。
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03
正解: 2. 「加熱していない魚介類を食べるのは避けましょう」
4. 「直射日光に当たらないようにしましょう」
免疫力が健常者と同等レベルまでに回復するには、移植後1〜2年程度かかると言われています。退院後も引き続き感染予防が必要です。
1. →免疫抑制剤は皮膚の状態が良くなっても自己中断してはいけません。
患者さんの状態により異なるため主治医の適切な判断が必要ですが、移植後100日前後に認められる慢性GVHDについても問題がなければ、多くの場合、移植後6ヶ月頃には減量し終了となります。
2. →免疫抑制剤を内服している間は易感染状態のため、肉類・魚介類・卵の生ものなどは食べるのを避けた方が良いです。
3. →インフルエンザワクチンは、毎年接種するのが望ましいです。
インフルエンザワクチンのような不活化ワクチンは移植後6〜12ヶ月経過し、慢性GVHDの増悪がなければ接種可能です。
弱毒化生ワクチンは移植後24ヶ月を経過し、慢性GVHDを認めず、免疫抑制剤を使っていなければ接種可能です。
4. →皮膚が弱く刺激を受けやすくなっているため、直射日光は、皮膚の炎症を引き起こし、GVHDや皮膚がんの原因となりますので、避けた方が良いです。
5. →自宅での入浴は制限はありません。ただし、皮膚が弱く刺激を受けやすくなっているため、皮膚を強く擦らず、高温は避けた方が良いです。
また、レジオネラ菌の暴露を避けるため、公共浴場や循環式風呂は避けた方が良いでしょう。
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