看護師の過去問
第110回
午後 問238

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問題

看護師国家試験 第110回 午後 問238 (訂正依頼・報告はこちら)

Aさん( 88歳、男性)は、10年前に脳梗塞( cerebral infarction )を発症し左半身麻痺の後遺症がある。杖歩行はでき、要介護2で介護保険サービスを利用中である。Aさんが最近食欲がなく、水分もあまり摂らず、いつもと様子が違うことを心配した妻がAさんに付き添って受診した。
身体所見:呼びかけに対して返答はあるが反応はやや遅い。麻痺の症状に変化はない。
バイタルサインは、体温 37.5℃、呼吸数 20/分、脈拍 100/分、血圧 140/60mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2> 98%( room air )。
検査所見:赤血球 410万/μL、白血球 6,800/μL、Ht 50%、総蛋白 6.5g/dL、尿素窒素 25mg/dL、Na 150mEq/L、K 3.8mEq/L、血糖値 110mg/dL、CRP 0.01mg/dL。胸部エックス線写真に異常なし。

Aさんの状態をアセスメントするために、外来看護師が収集すべき情報で優先度が高いのはどれか。
  • 口渇感
  • 呼吸音
  • 尿比重
  • 腹部膨満感

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3です。

1.Aさんは脱水を起こしていると考えられるため、口渇感の情報は必要ですが、高齢者は口渇感を感じないことも多いため、この選択肢の中での優先度は高くないです。

2.血液の炎症反応がないことや、レントゲンでの異常がなかったため、肺炎を起こしている可能性は低いでしょう。呼吸音の聴取は必要ですが、優先度は高くはありません。

3.水分をあまりとっていないこと、発熱、脈も速いことから脱水が疑われます。脱水では尿が濃縮されるため、尿比重が高くなります。そのため、この選択肢の中で一番優先度が高いでしょう。

4.腹部膨満感は優先度が低いです。それに伴う症状もなく、レントゲンでも異常はないからです。

参考になった数1

02

Aさんは高齢者で「最近食欲がなく、水分もあまり摂らず」「呼びかけに対して返答はあるが反応はやや遅い」「脈拍 100/分」の情報から脱水症状を疑います。

ここでは、所見を1つずつ正常かどうか確認していきます。

身体所見:

呼びかけに対して返答はあるが反応はやや遅い。意識障害疑い

麻痺の症状に変化はない。→脳梗塞の再発等は考えにくい。

バイタルサイン:

体温 37.5℃→やや高めだが異常とは言えない(基準値:36~37℃)

呼吸数 20/分→正常(基準値:12~28回)

脈拍 100/分頻脈(正常値:60~70回/分)

血圧 140/60mmHg→やや高めだが異常とは言えない(正常値:140/90mmHg未満)

経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2> 98%( room air )→異常なし

検査所見:

赤血球 410万/μL→異常なし(基準値:400-500万/μL)

白血球 6,800/μL→異常なし(基準値:3500-9000/μL)

Ht 50%→異常なし(基準値:40-50%)

総蛋白 6.5g/dL→やや低値。(基準値:6.6-8.1%)高齢者であること、食事量が減っていることが関係していると考えられる。

尿素窒素 25mg/dL→高値(基準値:8-20mg/dL)

Na 150mEq/L→高値(基準値:138-145mg/dL)

K 3.8mEq/L→異常なし(基準値:3.6-4.8mEq/L)

血糖値 110mg/dL→異常なし(基準値:73-109mg/dL)

CRP 0.01mg/dL→異常なし(基準値:≦0.1mg/dL)

胸部エックス線写真に異常なし→肺炎等は否定された

これらの情報から脱水を疑います。

選択肢1. 口渇感

脱水時の主な症状として口渇感がありますが、Aさんは高齢者であり、口渇中枢の感受性の減弱により口渇感を感じていない可能性があります。

選択肢2. 呼吸音

呼吸数と胸部エックス線写真の異常がなかったことや呼吸器症状がないことから、優先度は低いです。

選択肢3. 尿比重

尿比重とは、尿中のナトリウム、尿素、糖、タンパク質などの溶質成分の含まれる量を示します。脱水時は高値となります。

選択肢4. 腹部膨満感

消化器症状の訴えはないため優先度は低いです。

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03

「3」が正解です。


水分をあまり摂らず、呼びかけに対する反応がやや遅いことから、脱水症状を起こしていることが懸念されます。尿比重は、尿の水分と固形成分の比率、つまり、尿の濃さを調べますので、脱水症状の判断に役立ちます。

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