看護師の過去問
第113回
午前 問49
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問題
看護師国家試験 第113回 午前 問49 (訂正依頼・報告はこちら)
Aさん(86歳、女性)は、生まれ育った地域で、近所に住む友人と交流しながら1人で暮らしていた。買い物へ行く途中に転倒し、腰椎圧迫骨折(lumbar compression fracture)で入院治療を受けた。退院後は他県に住む長女夫婦と同居している。暮らし始めて間もなく、Aさんは「私はここで暮らして、新しい友人ができるかしら」と長女に訴えるようになり、徐々に口数が少なくなった。
このときのAさんの状況はどれか。
このときのAさんの状況はどれか。
- 閉じこもり
- 廃用症候群(disuse syndrome)
- セルフ・ネグレクト
- リロケーションダメージ
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この過去問の解説 (3件)
01
問題文は、他者と交流がある一人暮らしのAさんが
他県へ生活の場を移してから、
不安や口数が減っているという状況であると読み取れ、
活動性が著しく低下しているという情報はありません。
問題文の設定状況の読み取りと、
それぞれの用語の意味の理解がポイントとなります。
×:
ほぼ外出せず家の中で過ごす状況を閉じこもりと呼びます。
Aさんは、口数が少なくなった状況である為、該当しません。
×:
長期間の安静状態や運動量の減少により身体機能が衰え、
心身の様々な機能が低下してしまう状態を廃用症候群と呼ぶ為、
問題文の状況からは該当しません。
×:
生きていくために必要な衛生や健康、
安全維持の為のケアを怠り、損うこと、
またはそこに至るまでの行為を指す為、
問題文の状況からは該当しません。
〇:
リロケーションとは
英語の「Relocation」→「移転」という意味です。
それまで暮らしてきた 物的・人的環境から離れ、
新たな環境での生活により引き起こされる
身体的・精神的な不調をリロケーションダメージと呼び、
問題文の状況に該当します。
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02
高齢者が生活環境の大きな変化に直面すると、身体的・心理的な影響を受けることがあります。
このケースでは、Aさんが住み慣れた地域を離れ、
他県に住む家族と同居することになった背景があります。
状況を適切に把握し、高齢者の心理的負担や適応の支援方法を考える必要があります。
閉じこもりとは、高齢者が自宅に引きこもり、
外出や社会参加が著しく減少する状態を指します。
Aさんは「新しい友人ができるかしら」と希望を語っており、
完全に閉じこもっている状況ではありません。この選択肢は不適切です。
廃用症候群は、長期間の安静や活動制限により、
筋力や骨密度の低下、心肺機能の衰えが起こる状態を指します。
このケースでは、Aさんの身体的な活動制限については記載がないため、
この選択肢は適切ではありません。
セルフ・ネグレクトは、
個人が自分の基本的な生活維持行動(食事、清潔保持、医療受診など)を行わなくなる状態を指します。
Aさんは自らの環境について考え、不安を抱いているものの、
セルフ・ネグレクトの特徴とは一致しません。
この選択肢は不適切です。
リロケーションダメージ(移転症候群)は、
高齢者が住み慣れた環境を離れ、新しい環境に移ることで心理的・身体的なストレスを感じ、
適応が難しくなる状態を指します。
Aさんは住み慣れた地域を離れて長女夫婦と同居を始めた後、
「新しい友人ができるかしら」と不安を訴え、
口数が少なくなるなどの適応困難の兆候が見られます。
この状況はリロケーションダメージに該当します。
Aさんの状況は「リロケーションダメージ」です。
住み慣れた環境を離れたことで、心理的ストレスや適応困難を感じていると考えられます。
他の選択肢である閉じこもり、廃用症候群、セルフ・ネグレクトは、Aさんの状況と一致しません。
リロケーションダメージに対する支援として、新しい環境での社会参加や交流を促し、
不安を軽減する取り組みが重要です。
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03
このときのAさんの状況は、「リロケーションダメージ」です。
リロケーションダメージとは、高齢者が住み慣れた環境から離れ、新しい環境に移り住むことで、心理的・身体的な不調をきたすことです。
Aさんは新しい環境で不安を感じ、友人がいないことから孤立感や喪失感を抱き、口数が少なくなるなどの変化がみられます。
「閉じこもり」は、生活範囲が限られ、外出や他者との交流が減り、家に引きこもりがちになる状態を指します。
Aさんの場合、長女夫婦の家に住み始めて間もなく、環境への不適応が原因で心理的な変化が現れたものと考えられ、「閉じこもり」とは異なります。
廃用症候群とは、活動量が減少することによって筋力低下や関節拘縮などの身体機能低下が生じる状態です。
Aさんの口数が少なくなった心理的変化は、身体機能の低下ではなく、新しい環境への適応によるストレスや不安からくるものであり、廃用症候群とは異なります。
セルフ・ネグレクトは、自分自身の健康や生活の管理が行えず、衛生管理や食事摂取ができなくなる状態を指します。
Aさんの場合、口数が減少したり新しい友人作りへの不安を訴えるなどの心理的な影響が主であり、セルフ・ネグレクトの特徴とは異なります。
リロケーションダメージとは、高齢者が住み慣れた地域や住環境を離れ、新しい環境に適応する際に、心理的・身体的な不調を来すことです。
Aさんは住み慣れた地域から他県へ移り、環境の変化や友人の不在により不安感や喪失感を抱いていることから、リロケーションダメージが考えられます。
Aさんの心理的な変化は、リロケーションダメージによるものである可能性が高いです。
高齢者が新しい環境に適応する際には、不安や孤独感を感じやすいため、心のサポートや社会交流の場を提供し、スムーズに新しい生活に馴染めるよう支援することが重要です。
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