看護師の過去問
第113回
午前 問105

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問題

看護師国家試験 第113回 午前 問105 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。
Aちゃんは出生前診断で羊水過多があり先天性食道閉鎖症(congenital esophageal atresia)の疑いを指摘されていた。在胎37週5日に帝王切開で出生、出生体重2,780g、Apgar(アプガー)スコア1分後8点、5分後9点である。出生後、Aちゃんは先天性食道閉鎖症(congenital esophageal atresia)と診断された。
Aちゃんは3歳6か月になった。現在は胃瘻を閉鎖し経口摂取をしているが、吻合部の狭窄による嚥下困難が生じ、これまでに食道バルーン拡張術を2回行った。現在も症状が残っていて、固形物の通過障害が軽度ある。身長92.5cm(25パーセンタイル)、体重11.5kg(3パーセンタイル)で、半年後に保育所へ入園する。両親が「Aはあまり体重が増えません。保育所ではみんなより食事に時間がかかるのではないかと心配です」と外来看護師に話したため、今後の対応について両親、看護師および医師で話し合った。
Aちゃんの摂食に関する対応で適切なのはどれか。
  • 再度、胃瘻を造設する。
  • 食事を保育士に介助してもらう。
  • 昼前に保育所から帰宅し、家で昼食を摂る。
  • 同じクラスの子ども達と同量を食べられるよう訓練する。
  • Aちゃんに適した食事形態の提供が可能か保育所に確認する。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は「Aちゃんに適した食事形態の提供が可能か保育所に確認する」です。

Aちゃんは、先天性食道閉鎖症の治療後、嚥下困難が残っており、固形物の通過障害があるため、保育所で適切な食事形態を提供できるかどうかを確認することが重要です。

保育所での生活がAちゃんにとって安全で、無理のないものとなるように、環境を整える必要があります。

選択肢1. 再度、胃瘻を造設する。

現在、Aちゃんは経口摂取が可能であり、食道バルーン拡張術も行っているため、再度胃瘻を造設することは直ちに必要な対応ではありません。胃瘻造設は経口摂取が困難な場合の対応策ですが、現状では固形物の通過障害が軽度であり、経口摂取ができていることから、別の対応を検討するべきです。

選択肢2. 食事を保育士に介助してもらう。

保育士の介助を受けることは一つの方法ですが、まずはAちゃんに適した食事形態を提供することが優先されます。食事の介助が必要かどうかは、食事の形態やAちゃんの状態次第です。保育士がサポートできるか確認することは大切ですが、まずはAちゃんが安全に食事を摂れるようにすることが重要です。

選択肢3. 昼前に保育所から帰宅し、家で昼食を摂る。

昼前に帰宅して家で昼食を摂る方法は、保育所での適切な対応が難しい場合に考えられる方法ですが、保育所での生活において食事も含めた集団生活を行うことがAちゃんの成長にとって大切です。まずは保育所で適切な食事形態の提供ができるかを確認し、保育所での生活にできる限り適応させることが望ましいです。

選択肢4. 同じクラスの子ども達と同量を食べられるよう訓練する。

Aちゃんは嚥下困難や食道の狭窄があるため、無理に同じ量を食べさせることは適切ではありません。食事の量や形態は個々の発育や健康状態に応じて調整されるべきであり、訓練によって同量を食べさせることが目標になるべきではありません。Aちゃんの体調や嚥下能力に合った適切な対応が必要です。

選択肢5. Aちゃんに適した食事形態の提供が可能か保育所に確認する。

Aちゃんは固形物の通過障害があるため、適切な食事形態が提供されることが非常に重要です。保育所がAちゃんの嚥下困難を理解し、個別に対応できるかどうか確認することで、Aちゃんが安全に食事を摂ることができる環境を整えることができます。この対応がAちゃんの生活の質を向上させるために最も重要です。

まとめ

Aちゃんのように食道閉鎖症の治療後、嚥下困難が残る場合、保育所での食事形態やサポート体制が重要です。

再度胃瘻を造設するのではなく、まずは保育所でAちゃんに適した食事形態が提供できるかを確認し、安心して食事を摂る環境を整えることが優先されます。

無理に量を増やしたり、特別な対応を避けるのではなく、Aちゃんに合ったサポートを考えることが必要です。

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02

この問題で特に押さえておくべきポイントは、症状の程度とAちゃんの年齢です。

3歳6か月という年齢が発達段階ではどの段階にあたるのか、子どもの成長のために適切な支援が何なのかを考えてみましょう。

選択肢1. 再度、胃瘻を造設する。

Aちゃんの現在の通過障害は軽度のため、再度胃瘻を造設する必要はありません。

選択肢2. 食事を保育士に介助してもらう。

保育士に食事を介助してもらうことで、Aちゃんの自立を遅らせてしまう可能性があります。

よって、この対応は適切ではありません。

選択肢3. 昼前に保育所から帰宅し、家で昼食を摂る。

3歳6か月の子どもは、エリクソンの発達段階で幼児後期にあたり、保育園や幼稚園に通い家族以外との関わりをもつことで、社会性を身に付けていく時期です。

昼前に保育所から帰宅することで、Aちゃんが保育所で過ごす時間が短くなり、発達を遅らせてしまうおそれがあります。

 

また、家族にとっても負担となる可能性があるため、この対応は適切ではありません。

選択肢4. 同じクラスの子ども達と同量を食べられるよう訓練する。

子どもによって食事量は異なるため、それぞれに合った量をきちんと食べることが大切です。

クラスの子どもたちと同じ量を食べられるように訓練する必要はありません。

選択肢5. Aちゃんに適した食事形態の提供が可能か保育所に確認する。

Aちゃんは固形物の軽度の通過障害があるため、Aちゃんが食べやすい形態で食事を提供してもらうことができるか確認することは適切だといえます。

 

まとめ

先天性食道閉鎖症の子どもは、慢性疾患として長期の療養と外来受診が必要になります。

そのため、子どもの年齢に応じて、発達段階に合わせた対応をしていくことが重要なのです。

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