看護師の過去問
第113回
午前 問116
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問題
看護師国家試験 第113回 午前 問116 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文を読み、問いに答えよ。
Aさん(87歳、女性、要介護1)は1人暮らしで、長女(52歳、会社員)が同じマンションの隣の部屋に住んでいる。5年前に乳癌(breast cancer)ため左乳房切除術を受けた。1年前に肺への転移が確認され、胸水の貯留への対症療法のため入退院を繰り返していた。退院後は、状態観察と体調管理のため大学病院の外来を月に2回受診し、訪問介護と訪問看護を週に1回ずつ利用して在宅療養を続け「これ以上の積極的な治療はせずに自宅で最期まで過ごしたい」と話している。
ある日、長女から「最近、母は通院がつらそうで、先月は1回しか受診していません。医師の診察は大事だと思うので、受診を続けるために主治医に何を相談すればよいでしょうか」と訪問看護師に相談があった。
3か月後、Aさんは呼吸状態の悪化のため在宅酸素療法<HOT>(3L/分、24時間)を受けることになった。要介護3に変更され訪問看護を週に3回利用することになった。毎日午前は訪問介護、午後は長女が介護休業制度の短時間勤務等の措置を利用して介護することになった。訪問介護員から「Aさんの食事を作り、食べた後の片付けをしているのですが、Aさんが食事の後に少し息が苦しいと言うことがあります。どうすればよいでしょうか」と訪問看護師に相談があった。
訪問介護員への助言で適切なのはどれか。
Aさん(87歳、女性、要介護1)は1人暮らしで、長女(52歳、会社員)が同じマンションの隣の部屋に住んでいる。5年前に乳癌(breast cancer)ため左乳房切除術を受けた。1年前に肺への転移が確認され、胸水の貯留への対症療法のため入退院を繰り返していた。退院後は、状態観察と体調管理のため大学病院の外来を月に2回受診し、訪問介護と訪問看護を週に1回ずつ利用して在宅療養を続け「これ以上の積極的な治療はせずに自宅で最期まで過ごしたい」と話している。
ある日、長女から「最近、母は通院がつらそうで、先月は1回しか受診していません。医師の診察は大事だと思うので、受診を続けるために主治医に何を相談すればよいでしょうか」と訪問看護師に相談があった。
3か月後、Aさんは呼吸状態の悪化のため在宅酸素療法<HOT>(3L/分、24時間)を受けることになった。要介護3に変更され訪問看護を週に3回利用することになった。毎日午前は訪問介護、午後は長女が介護休業制度の短時間勤務等の措置を利用して介護することになった。訪問介護員から「Aさんの食事を作り、食べた後の片付けをしているのですが、Aさんが食事の後に少し息が苦しいと言うことがあります。どうすればよいでしょうか」と訪問看護師に相談があった。
訪問介護員への助言で適切なのはどれか。
- 「食事を介助しましょう」
- 「食事の後に短速呼吸を促しましょう」
- 「食事以外の時間は安静に過ごしてもらいましょう」
- 「Aさんの1回分の食事量を減らし回数を増やしましょう」
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この過去問の解説 (2件)
01
胸水が貯留することで、呼吸面積が狭くなり呼吸困難が生じやすくなります。
さらに、食事により胃が膨張して横隔膜が挙上すると、より呼吸面積が狭くなるため、呼吸困難感も増強します。
これを踏まえて、現在のAさんにとって最適な対処法を考えましょう。
食事介助を行った場合でも、食事を摂取することで胃は膨張するため、食後の息苦しさを軽減することにはつながりません。
また、Aさんは現在自分で食事をとることができているため、無理に介助してしまうと、AさんのQOLを低下させてしまうおそれもあります。
よって、この選択肢は適切ではありません。
短速呼吸は努責をしないための呼吸法であり、呼吸困難感を軽減することはできません。
呼吸困難がある場合には、ゆっくりと深呼吸をして、呼吸を落ち着かせることが大切です。
安静に過ごすことは、呼吸状態を安定させるためには重要です。
しかし、Aさんは食後の呼吸困難が出現している状態であり、食事以外の時間を安静に過ごしたとしても、食後の呼吸困難を軽減することにはつながりません。
そのため、Aさんの状態に合わせて、食事によって引き起こされる呼吸困難を軽減するための方法を考える必要があります。
1回の食事量を減らすと、胃の膨張を抑え、横隔膜が圧迫されるのを防ぐことにつながります。
これにより、食後の呼吸困難感を軽減する効果が期待できます。
ただし、ターミナル期にあるAさんは、栄養もしっかり摂る必要があるため、食事回数を増やして調整することが重要です。
胸水貯留がある場合、血圧や体温、脈拍などのバイタルサインに加えて、SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)、呼吸回数や呼吸音などの呼吸状態、咳嗽や喀痰の観察も重要です。
胸水貯留が悪化すると、呼吸音や症状(胸痛や呼吸困難感など)にも変化が出てくるため、注意して観察しましょう。
また、ターミナル期の患者にとって、呼吸困難は不安を増強させる大きな要因になります。
身体的なサポートだけではなく、精神的にも患者に寄り添った看護ができるようにしておきましょう。
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02
正解は「Aさんの1回分の食事量を減らし回数を増やしましょう」です。
食事後の呼吸困難は、食事量が多すぎて胃が膨らみ、横隔膜を圧迫することで起こることがあります。
そのため、1回の食事量を減らし、回数を増やすことで呼吸への負担を軽減できます。
食事の介助は、Aさんが自分で食事を取ることが困難な場合には有効ですが、今回の相談内容は「息が苦しい」という呼吸状態に関するものです。
食事を自力で取ることに問題がない場合、食事の介助が呼吸困難の解決には直結しないため、この助言は適切ではありません。
短速呼吸(短く速い呼吸)を意図的に促すことは、逆にAさんの呼吸困難を悪化させる可能性があります。
呼吸困難がある場合は、深くゆっくりとした呼吸を促し、呼吸を落ち着けることが重要です。
安静に過ごすことは呼吸状態の管理において重要ですが、今回の問題は食事後の呼吸困難に焦点を当てています。
食事そのものが引き起こす息苦しさを解決するための具体的な対策が必要です。
食事を少量に分け、回数を増やすことで胃の膨張を抑え、横隔膜への圧迫を軽減できます。
これにより、食後の息苦しさが軽減される可能性があります。
呼吸困難が食後に生じる場合、食事量を減らして回数を増やすことで横隔膜への圧迫を減らし、呼吸の負担を軽減することが可能です。
Aさんのように在宅酸素療法を受けている方にとって、食事の工夫は呼吸管理において非常に重要な要素となります。
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