看護師 過去問
第114回
問215 (午後 問95)

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問題

看護師試験 第114回 問215(午後 問95) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。
Aさん(55歳、男性、会社員)。激しい胸痛で救急搬送され、心筋梗塞(myocardial infarction)と診断された。冠動脈バイパス術<CABG>を受け、ICUに入室した。
手術中の輸液量2,700mL、輸血量400mL、出血量280mL、尿量200mLであった。手術から6時間が経過し、人工呼吸器が装着され、心囊ドレーンと、胸腔ドレーンが留置中である。
身体所見:体温37.1℃、脈拍63/分、血圧126/62mmHg、末冷感はなし。肺野全体に湿性ラ音を聴取、漿液性の気道分泌物を認める。
検査所見:吸入酸素濃度40%、動脈血酸素分圧<PaO2>95Torr、動脈血炭酸ガス分圧<PaCO2>36Torr、中心静脈圧12cmH2O、心エコー検査では左室駆出率<LVEF>45%、心囊液の貯留なし。胸部エックス線写真では両肺野の広範に透過性の低下を認める。
術後2日、Aさんは人工呼吸管理を離脱し、離床が検討されたが中止となった。看護師がAさんの離床中止を判断した指標はどれか。2つ選べ。
  • ドレーンが留置中である。
  • 安静時の呼吸数が20/分である。
  • 安静時の心拍数が100/分である。
  • 新たな不整脈(心房細動)(arrhythmia atrial fibrillation)が発生している。
  • 時間尿量0.5mL/kg/時が3時間持続している。

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この過去問の解説 (1件)

01

正しい選択肢:新たな不整脈(心房細動)が発生している

時間尿量0.5 mL/kg/時が3時間持続している

離床は循環・呼吸に追加負荷をかけるため、安全に行うには「中止基準」を満たしていないことが前提です。

術後早期リハビリの代表的な中止基準には 

①新規の不整脈出現

②尿量低下(0.5 mL/kg/時以下が2~4時間以上続く) が含まれます。

この2項目に該当したため、看護師は離床をいったん見合わせました。

選択肢1. ドレーンが留置中である。

排液量や固定が安定していれば離床自体は可能で、中止基準にはなりません。

選択肢2. 安静時の呼吸数が20/分である。

成人の正常範囲(12~20回/分)内で問題ありません。

選択肢3. 安静時の心拍数が100/分である。

多くのガイドラインでは「安静時110~120回/分以上」を警戒ラインとするため、100回/分だけでは中止には至りません。

選択肢4. 新たな不整脈(心房細動)(arrhythmia atrial fibrillation)が発生している。

循環動態が不安定化するリスクが高く、離床は中止すべき指標です。

選択肢5. 時間尿量0.5mL/kg/時が3時間持続している。

術後早期の離床基準では 0.5 mL/kg/時を下回る、あるいは下限付近が数時間続く場合は循環不全や腎機能低下のサインとみなし、離床を見合わせます。

Aさんは下限値ぎりぎりが3時間続いており、中止判断に該当します。

まとめ

新規不整脈尿量低下は、術後離床を中止・延期する代表的な生体指標です。

逆に、胸腔ドレーン留置や呼吸数20回/分、心拍数100回/分程度は、他の条件が安定していれば離床を試みることが一般的です。

看護師はこれらの基準を踏まえ、チームで再評価しながらタイミングを調整していきます。

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