看護師 過去問
第114回
問214 (午後 問94)

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問題

看護師試験 第114回 問214(午後 問94) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。
Aさん(55歳、男性、会社員)。激しい胸痛で救急搬送され、心筋梗塞(myocardial infarction)と診断された。冠動脈バイパス術<CABG>を受け、ICUに入室した。
手術中の輸液量2,700mL、輸血量400mL、出血量280mL、尿量200mLであった。手術から6時間が経過し、人工呼吸器が装着され、心囊ドレーンと、胸腔ドレーンが留置中である。
身体所見:体温37.1℃、脈拍63/分、血圧126/62mmHg、末冷感はなし。肺野全体に湿性ラ音を聴取、漿液性の気道分泌物を認める。
検査所見:吸入酸素濃度40%、動脈血酸素分圧<PaO2>95Torr、動脈血炭酸ガス分圧<PaCO2>36Torr、中心静脈圧12cmH2O、心エコー検査では左室駆出率<LVEF>45%、心囊液の貯留なし。胸部エックス線写真では両肺野の広範に透過性の低下を認める。
Aさんに起こっている可能性が高い合併症はどれか。
  • 低心拍出量症候群<LOS>(low output syndrome)
  • 心タンポナーデ(cardiac tamponade)
  • 肺水腫(pulmonary edema)
  • 無気肺(atelectasis)

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この過去問の解説 (1件)

01

正しい選択肢:肺水腫(pulmonary edema)
術後わずか6時間で両肺に著しい透過性低下があり、全肺に湿性ラ音が聞こえます。

中心静脈圧は12cmH₂Oとやや高めで、左室駆出率も45%に低下しているため、心原性の肺水腫が疑われます。

選択肢1. 低心拍出量症候群<LOS>(low output syndrome)

LOSでは血圧低下、末梢冷感、尿量減少など循環不全が前面に出ます。

Aさんは血圧が安定し末冷感もないため典型像と合いません。

選択肢2. 心タンポナーデ(cardiac tamponade)

心嚢液の急激な貯留で血圧低下と頸静脈怒張を来しますが、心エコーで心嚢液なしと確認されており否定的です。

選択肢3. 肺水腫(pulmonary edema)

両側びまん性の陰影、湿性ラ音、漿液性痰は典型所見です。

左室機能低下と輸液過多が重なりやすいCABG直後に高頻度で起こります。

選択肢4. 無気肺(atelectasis)

部分的な肺虚脱で気道分泌物は少なく、聴診では呼吸音減弱が主です。

びまん性陰影や湿性ラ音は一般的ではありません。

まとめ

CABG直後は左心機能の一過性低下手術中の輸液負荷が重なり、肺水腫を起こしやすいです。

早期対応として利尿薬投与や呼吸設定の見直しを行い、酸素化と循環動態を安定させることが重要です。

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