司法書士 過去問
令和6年度
問48 (午後の部 問13)

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問題

司法書士試験 令和6年度 問48(午後の部 問13) (訂正依頼・報告はこちら)

登記の申請人に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
なお、判決による登記及び代位による登記については考慮しないものとする。

ア  Aを所有権の登記名義人とする甲土地に、Bを抵当権者とする抵当権の設定の登記がされており、当該抵当権の設定の登記についてBが死亡した時に抵当権は消滅するとの定めの登記がされている場合において、その後、Bが死亡し、当該抵当権が消滅したときは、Aは、単独で、当該抵当権の設定の登記の抹消を申請することができる。
イ  Aを根抵当権者とする元本確定前の根抵当権の債務者Bが破産手続開始の決定を受けた場合において、Cが当該根抵当権の被担保債権を代位弁済したときは、Cは、単独で、当該根抵当権の移転の登記の申請と併せて当該根抵当権の元本の確定の登記を申請することができる。
ウ  Aを登記名義人とする地上権の設定の登記がされている甲土地について、Aが当該地上権をAの相続人であるBに遺贈する旨の遺言書を作成した場合において、その後、Aが死亡したときは、Bは、単独で、遺贈を登記原因とするAからBへの地上権の移転の登記を申請することができる。
エ  Aを委託者とし、B及びCを受託者とする所有権の移転の登記及び信託の登記がされている甲土地について、Bが受託者を辞任し、その任務が終了した場合には、Cは、単独で、Bの任務の終了による権利の変更の登記を申請することができる。
オ  Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、売買を登記原因とするAからBへの所有権の移転の登記手続を行う旨の公正証書が作成された場合には、Bは、当該公正証書を添付情報として提供したとしても、単独で、甲土地についてAからBへの所有権の移転の登記を申請することはできない。
  • アイ
  • アオ
  • イウ
  • ウエ
  • エオ

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この過去問の解説 (2件)

01

近年不動産登記法の問題は長文化しており、法律の知識だけでなく正確な日本語能力が問われます。過去問を通じて慣れていきましょう。

 

各選択肢については以下の通りです。

選択肢1. アイ

ア: 所有権以外の権利について「権利の消滅に関する定め」が登記されている場合には、登記権利者は単独で登記の抹消を申請することができます。ただし所有権の場合には共同申請により所有権移転登記を申請することになります。

 

イ: 元本確定前の根抵当権の債務者が破産手続き開始決定を受けた場合には元本が確定します。この場合根抵当権者は単独で元本確定登記を申請することができますが、代位弁済による根抵当権移転登記は共同で申請することとなります。

選択肢2. アオ

オ: 不動産登記は、権利者と義務者の共同により申請することが大原則であり、このような規定が仮にあるとすればそのような原則を潜脱することになるため、認められません。(判決による登記などの例外はありますが、この問題では考慮の対象外です。)

選択肢3. イウ

ウ: 遺贈による所有権移転については単独で申請することができますが、地上権移転についてはこの限りではなく共同申請によります。

選択肢4. ウエ

エ: 受託者2名が選任されている信託登記がされている場合において、受託者の一部に辞任解任などの事由が生じたときは、残存受託者と旧受託者の共同により合有登記名義人変更登記を申請することになります。

 

一方で、受託者が1名の場合には残存受託者と旧受託者の共同により所有権移転登記を申請することになります。

選択肢5. エオ

解説は他選択肢に記載しておりますので、そちらを参照してください。

まとめ

イの選択肢など根抵当権の元本確定に関する問題は確定事由を正確に理解している必要があります。この機会にぜひ復習をしてください。

また、オのような問題は不動産登記法の原則に立ち返って「認められるべきか」という視点も重要となります。個々の知識だけでなく法律の趣旨も併せて考えると良いでしょう。

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02

登記の申請においては、登記原因の内容や関係当事者の合意の有無に応じて、単独で申請できるかどうかが変わります。条文や登記実務で認められている例外的な取り扱いを踏まえて判断することが重要です。

選択肢2. アオ


抵当権の登記に「抵当権者の死亡により消滅する」との特約がある場合、抵当権は当然に消滅する。この場合、登記名義人でない所有者Aも、単独で抵当権抹消登記を申請できます(不動産登記令3条1項5号)。
本記述は正しいです。


根抵当権の移転登記は、原則として登記義務者と登記権利者の共同申請が必要(不登法60条)です。Cが代位弁済したとしても、根抵当権の移転登記を単独で申請することはできません。元本確定の登記はできますが、移転登記と同時に単独で申請することはできません。
本記述は誤りです。


遺贈による登記申請は、原則として相続人全員との共同申請または登記義務者の協力が必要です。受遺者Bが単独で登記申請をするには、遺言執行者の選任が必要です(不登規則73条)。
単独申請できるとする本記述は誤りです。


信託の登記において、受託者が複数いる場合、一部の受託者の任務終了を理由とする登記の申請は、他の受託者単独ではできません。任務終了の登記には、権利の変更に関与する者全員の共同申請が原則です(不登法60条)。
本記述は誤りです。


売買による所有権移転登記は、原則共同申請だが、公正証書がある場合でも、B単独で申請することはできません(不登法60条)。
「できない」とする本記述は正しいです。

まとめ

登記の申請に関する問題では、申請人が単独で行えるかどうかを判断する際、登記原因・特約の有無・法定代理・代位・公証力のある書類の有無などに注目する必要があります。共同申請が原則である一方、例外となる単独申請が明確に定められている場合は、それに従って正確に判断することが必要です。

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