公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午前 問2

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問題

公認心理師試験 第1回(2018年) 午前 問2 (訂正依頼・報告はこちら)

児童虐待について、緊急一時保護を最も検討すべき事例を1つ選べ。
  • 重大な結果の可能性があり、繰り返す可能性がある。
  • 子どもは保護を求めていないが、すでに重大な結果がある。
  • 重大な結果は出ていないが、子どもに明確な影響が出ている。
  • 子どもは保護を求めていないが、保護者が虐待を行うリスクがある。
  • 子どもが保護を求めているが、子どもが訴える状況が差し迫ってはいない。

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この過去問の解説 (3件)

01

児童虐待の緊急一時保護の判断に関する問題です。
詳細は厚生労働省の子ども虐待対応の手引き
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv12/05.html
「一時保護に向けてのフローチャート」をご参照ください。

フローチャートに沿って判断していくと、2が正答であると分かります。

緊急一時保護の必要性を検討されるのは下記3項目がポイントです。
・当事者が保護を求めている
・当事者の訴える状況が差し迫っている
・すでに重大な結果がある 

1.重大な結果の“可能性”、かつ、繰り返す”可能性”の場合は
発生前の一時保護が検討されます。

2.当事者が保護を求めていない場合も、
すでに重大な結果があれば緊急一時保護の検討に該当します。

3.重大な結果が出ていないが子どもに明確な影響がある場合は、
集中的な援助もしくは一時保護が検討されます。

4.保護者の虐待リスクがある場合は、
集中的・総合的な援助もしくは一時保護が検討されます。

5.子どもが保護を求めていても、その状況が差し迫っていなければ、
緊急一時保護ではなく、一時保護の検討に進みます。

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02

正解は2です。

「子どもの虐待対応の手引き」第5章に緊急一時保護を検討すべき状況としてのフローチャートが記載されています。
緊急一時保護を検討すべき状況として、
①当事者(子ども)が保護を求めている場合
②当事者(子ども)が訴える状況がさし迫っている場合
③すでに重大な結果がある場合
という3つが挙げられています。

各選択肢については、以下の通りです。

1→選択肢の内容は、①~③のどれにも当てはまりません。
この場合は、一時保護を検討すべきです。
よって、緊急一時保護を最も検討すべき事例とはいえません。

2→すでに重大な結果が起きており、②に該当します。
よって、緊急一時保護を最も検討すべき事例といえます。

3→選択肢の内容は、①~③のどれにも当てはまりません。
この場合は、集中的な援助や一時保護を検討すべきです。
よって、緊急一時保護を最も検討すべき事例とはいえません。

4→選択肢の内容は、①~③のどれにも当てはまりません。
この場合は、集中的な援助や一時保護を検討すべきです。
よって、緊急一時保護を最も検討すべき事例とはいえません。

5→①には当てはまりますが、②に当てはまりません。
フローチャートに則り、その先の③に当てはまるか、アセスメントを行う必要があります。
よって、緊急一時保護を最も検討すべき事例とはいえません。

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03

この問題で覚えておくべきポイントは以下の通りです。緊急一時保護の要件、一時保護の要件だけでなく、通告から援助の開始に至る流れを包括的に整理しておくことが必要です。では問題を見てみましょう。

選択肢1. 重大な結果の可能性があり、繰り返す可能性がある。

重大な結果の可能性であって、重大な結果が生じている事実ではありません。緊急一時保護においては、実際に事実が存在する必要があります。繰り返す可能性がある、という点は今後一時保護が必要か、今後の推移を見守る必要性はありますが、今すぐに一時保護を行うこともできません。いずれにせよ、緊急一時保護にはあたらないため間違いです。

選択肢2. 子どもは保護を求めていないが、すでに重大な結果がある。

すでに重大な結果、つまり事実があり、当事者にとり切迫した状況であるため、緊急一時保護にあたります。子供は保護をもとめていない、とありますが、求めることができない状況である可能性もあるため、保護を求めているか否かだけでは緊急一時保護の判断はできません。以上より正解です。

選択肢3. 重大な結果は出ていないが、子どもに明確な影響が出ている。

重大な結果がでていないため、現時点で事実が確認できないことから緊急一時保護にはあたりません。尚、子どもに明確な影響がでていることは事実ですが、集中的に援助を行い、今後一時保護が必要か注意深く判断していく必要はあります。そのため間違いです。

選択肢4. 子どもは保護を求めていないが、保護者が虐待を行うリスクがある。

保護者が虐待を行うリスクがあるだけであり、実際に虐待を行っているという事実ではないため、緊急一時保護にはあたりません。集中的な援助を行い、今後一時保護が必要か注意深く判断していく必要はあります。そのため、間違いです。

選択肢5. 子どもが保護を求めているが、子どもが訴える状況が差し迫ってはいない。

子どもが保護を求めていることは重く受け止めるべきですが、子どもが訴える状況が差し迫ってはいないため、この情報のみでは緊急一時保護が必要か判断することができません。そのため、間違いです。

まとめ

緊急一時保護は、当事者にとり切迫した人権侵害が現時点で起こっていることが条件です。「子どもの虐待の手引き」の一時保護に向けてのフローチャートによれば、3つのパターンが該当します。まず、①当事者が保護を求めていて②当事者の切迫した状況が差し迫っている場合 次に①当事者が保護を求めていないが③すでに重大な結果がある場合 さらに①当事者が保護をもとめていて②当事者の切迫した状況は差し迫っていないが③すでに重大な結果がある場合 です。

全体の流れについても、整理しておきましょう。

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